「ペリリュー 楽園のゲルニカ」プロデューサーが劇場アニメ化への想いなど語る
2025年11月14日 09:00

終戦80年の節⽬である12⽉5⽇から全国公開されるアニメーション映画「ペリリュー 楽園のゲルニカ」の石川啓プロデューサーが、劇場アニメ化へのきっかけから制作への想いなどを語った。
本作は太平洋戦争、すでに⽇本の戦局が悪化していた昭和19年9⽉15⽇からはじまった「ペリリュー島の戦い」と、終戦を知らず2年間潜伏し最後まで⽣き残った34⼈の兵⼠たちを描いた作品。原作は⽩泉社ヤングアニマル誌で連載され、かわいらしいタッチでありながら戦争が⽇常であるという狂気を圧倒的なリアリティで描き、第46回⽇本漫画家協会賞優秀賞を受賞した武⽥⼀義による同名漫画(全11巻/外伝全4巻)。
声優を務めたのは、⼼優しい漫画家志望の主⼈公・⽥丸均に板垣李光⼈、頼れる相棒・吉敷佳助に中村倫也。確かな演技⼒で話題作への出演が続く2人が、過酷な戦場を⽣き抜こうとする若き兵⼠を熱く演じる。南国の美しい島で相次ぐ戦闘、飢えや渇き、伝染病―家族を想い、故郷を想いながら、若き兵⼠が次々と命を落としてゆく。⾃決も許されない持久戦、1万⼈中最後まで⽣き残ったのは僅か34⼈だった地獄のような戦場、ペリリュー島で若者たちは何を想い、⽣きたのか。観る者の感情を揺さぶる、壮絶な世界で紡がれた戦⽕の友情物語が描かれる。監督は「魔都精兵のスレイブ」の久慈悟郎。共同脚本は西村ジュンジ(西村純二)。アニメ制作は「ドラえもん」のシンエイ動画と「ドッグシグナル」の冨嶽が共同で担った。
「戦争という人類が引き起こす最も醜い所業の一つと、戦場で壊れゆく人間の姿が真逆とも言える絵柄で描いている点が大きな魅力だと思います」と改めて作品について語るのは、プロデューサーを務めた石川啓。凄惨なる戦場をまざまざと描き出したリアリティ性、可愛らしくデフォルメされたキャラクターたちのアニメーション、そして登場人物たちの友情と絆。戦争漫画の新たなる金字塔として、数多くの人々から愛され、世の中の平和を願う想いを乗せた一作として、過去から現在、そして未来まで、時代を超えて繋がれていく唯一無二の物語だ。
劇場アニメ化に至るきっかけについて、石川プロデューサーは「今年は終戦80年ですが、東映は創立以来、数えきれないほどの戦争実写映画を製作し、その多くで実際に戦争を経験した方々が携わっていました。戦争を経験していない自分がもし、戦争映画を企画することがあるなら、戦争と戦場を描きながらも、今までの戦争漫画と毛色の違う、この原作かもしれないと思いました。」と振り返り、以前から原作漫画のアニメ化を待ち望む声も多く挙げられていた中、戦後80周年の2025年末での劇場アニメ化にかける意気込みを語っている。
(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー 楽園のゲルニカ」製作委員会本作には、原作者・武田も共同脚本として制作に参加。企画段階から制作には入っていくにあたり、まず初めに武田と話し合ったこととして、「くれぐれも80年後の時代に生きている今の感覚で、映画を作らないということです」と石川プロデューサーは明かす。原作漫画の制作においても、武田による関係者への取材や現地訪問など、高い熱量と真摯な姿勢で徹底的に下調べしながら進められたことで知られるが、劇場アニメでも、戦時中の状況や当時を生きた人々の想いに沿って制作するということは不変であったようだ。加えて、「戦時中の兵士たちの考えは、現代を生きる我々には、共感しづらい部分もありますし、同じ戦場にいる兵士の中でも、考え方から生き方まで、一人一人が全然異なるんです。そういった点をしっかり理解することは最も意識しました。」と、大切にこだわってきた部分を語る。
そして最後に、本作の劇場公開を心待ちにする人々に向けて、「制作にあたりペリリュー島を訪問しましたが、米軍が上陸したオレンジビーチに足を運び、80年前、沖の米軍艦隊を目にした兵士たちはもう生きて日本に帰ることは出来ないと悟ったに違いないと身にしみて感じました。今はネットで調べれば、ペリリュー島の歴史と戦跡を知ることは出来る一方で、逆に知った気になりがちであることも事実です。本作はフィクションでありアニメーションですので、スタッフは誰一人として、戦争を経験していません。しかしそんな中でも、アニメーションだからこそ描けるリアルを模索して制作しましたし、観ていただく皆様にもそれを感じ取っていただけたら幸いです」と述べた。
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