オダギリジョー、中野量太監督の脚本に忠実「面白い本はそのままやるんだよ」【第38回東京国際映画祭】
2025年10月31日 22:30

第38回東京国際映画祭のガラ・セレクション部門に選出された「兄を持ち運べるサイズに」が10月31日、東京・丸の内ピカデリー2で上映された。オダギリジョー、中野量太監督が舞台挨拶に登壇し、2度目のタッグを組んだ感想などを語り合った。
中野監督は最初に「映画はたくさんの人に観てもらうのが一番うれしいこと。だから映画祭でやってもらえることはご褒美みたいなもの。しかも東京国際映画祭でやってもらえるなんて、最大のご褒美をいただいているなと思います」と喜びを口にする。
村井理子のノンフィクションエッセイ「兄の終い」を、「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野監督が映画化した本作。柴咲コウ、オダギリ、満島ひかりら豪華キャストを迎え、絶縁状態だった兄の訃報から始まる、家族のてんてこまいな4日間を描く。

オダギリと監督にとっては「湯を沸かすほどの熱い愛」以来のタッグ。オダギリはオファーを受けた時を振り返り「脚本がとても面白くて素晴らしくて、読んですぐに『素晴らしい脚本をまた書き上げましたね』と監督にメッセージを送りました。ちょうど監督は、ニューヨークの映画祭に参加されていましたが、『この映画に参加してもらえたらうれしいです』とメールが来て。何もひっかかることなく、すぐに参加したい、本当に素晴らしい作品だと思いました」と絶賛する。
オダギリに、とことんダメ男の兄役をオファーした中野監督は「映画を観てもらえればわかるんですが、どうしようもなくだらしなくて、迷惑をかけてしまう、でも愛されるという兄役なんです。1人しか思い浮かばなかった。でも、オダギリさんは、さんざんダメ人間をやり尽くしてきて、“ミスターダメ人間”みたいになっていて。『でも、またやるのか』となったら嫌だなと思っていましたが、そのだらしない、憎まれない役にしても、僕の中では今までなかった、さらに新しいそういう感じの役だなと思っていて。絶対にやってもらいたいとオファーしたら、ニューヨークに『YES!』ときました」と笑顔で振り返った。

また、2度目のタッグ作で感じた印象の変化などを問われると、中野監督は「『湯を沸かすほどの熱い愛』は10年前くらいの作品で、その時は自由というか感覚の鋭い方だなと思ったんです」と切り出したので、オダギリは「どういう意味? 過去形じゃん(笑)」とツッコむ。
中野監督は「今、過去を話してから、現在のかなりの素晴らしさを」と笑いながら前置きをし「昔は本当に自由で、テストをやっても毎回違うことをするんです。突然、アイスクリームを食べて芝居をしたいとか言い出して、プロデューサーが走って買いに行ったりして(笑)。セリフもだいたい合っているけど、毎回違うみたいな感じで。でも10年経ってお会いしたら、台本通りやるんです。それで『なんで台本通りにやるんですか?』と聞いたら『面白い本はそのままやるんだよ』と言っていて」と吐露した。

オダギリが「なんかトゲがある。やばいでしょ」と苦笑いすると、中野監督は「今、ドキッとしている監督たちがたくさんいそう」とニンマリ。オダギリは中野監督の印象を「相変わらず、すごく作品に対して誠実で真面目な方。こっちがちょっと面白いかなと思って出すアイデアを、たまに本気で怒り出すような雰囲気があって。作品に懸ける想いとか、監督がイメージする完成像とか、そういうものに対して、本当に真摯に、常に本気で向き合う方だと思っています」と感心しきりだった。
第38回東京国際映画祭は、11月5日まで開催。
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