フジコ・ヘミングの生き様と音色が刻まれた最後のドキュメントが公開 12年間フジコを追い続けた小松莊一良監督インタビュー
2025年10月23日 08:00

2024年4月21日に逝去した、ピアニストのフジコ・ヘミングさん最後のドキュメンタリー映画「フジコ・ヘミング 永遠の音色」が、10月24日公開を迎える。
波乱万丈だったフジコの生き様から生まれた、心揺さぶる唯一無二の演奏、初公開されるインタビュー映像・絵日記のほか、本作で存在が明らかになる異母妹エヴァにストックホルムで実施したインタビュー映像、俳優だった弟ウルフが語る新たな真実が紐解かれる。
©2025「フジコ・ヘミング 永遠の音色」フィルムパートナーズ2018年に公開された「フジコ・ヘミングの時間」を含め12年間追い続け、コンサートの企画・演出も手がけた小松莊一良監督。彼女をより近くで撮影し信頼を寄せられていた小松監督が、本作ではフジコ・ヘミングが世界的なアーティストに成長していくルーツと音色の秘密に迫り、知られざるフジコの素顔を映し出す。この度、監督がフジコさんとの思い出、本作制作を振り返るインタビューを映画.comが入手した。
©2025「フジコ・ヘミング 永遠の音色」フィルムパートナーズ2018年に公開したドキュメンタリー映画「フジコ・ヘミングの時間」を完成させた後、撮影時やその後に発見したことや謎だったことを、さらに深掘りしてみたいという思いがありました。フジコさんがアーティストとして成長していくルーツの部分、それは、多くの方が知っている家族や生い立ちのあらすじではなく、もっと肌ざわりがあるものとして見据えることができたので、物語にしようと思いました。
たくさんフジコさんから託されていたのですが、本作は40代の日記を中心に構成しました。ひとりぼっちでどうしようもなく孤独な気持ちなのに、「シャンパンを飲んで、お人形や写真の人々にハッピーニューイヤーを言って眠った」と、悲惨な時間をものすごくロマンティックな世界での出来事として記録している日もあったんです。
©2025「フジコ・ヘミング 永遠の音色」フィルムパートナーズフジコさんと縁の深かった菅野美穂さんに参加していただけたことが、何よりの喜びです。フジコさんが当時日記にしたためた心の言葉が、映像の中で命を持って息づいたなと思っています。切ない心情のところはより切なく、パリに到着して未来に希望を抱いた瞬間も菅野さんの表現で立体的に伝わってきました。菅野さんの中で何かを感じ取って、イメージを膨らませて挑んでいただけたのかなと思います。
本作の大きな目標は、フジコさんのお父さまの足跡を追うことでした。フジコさんは日頃から、好きの裏返しでお父さまに憎まれ口をきくこともありましたが、実際はどんな人だったのか。それを知りたくて、「誰に会ったら分かりますか?」とフジコさんに聞いたら「エヴァがいい」と教えてくれたので、連絡を取りました。取材した時、フジコさんはご存命だったので、撮影したことは伝えていました。実際にエヴァさんにお会いしてみると、とてもクレバーな考えの持ち主で、フジコさんとの共通点がたくさんある方でしたね。深刻な出来事も、人生の不条理も、生きてゆくためにポジティブに捉える人でした。

フジコさんは世界各国に行き、新しい挑戦もしながら、とにかくお客さんに伝えたい、みんなを幸せにしたいと強く願っていました。そのために、みんなが知っている名曲を弾くし、クライマックスとして「ラ・カンパネラ」があった。そして、ただ演奏が上手なだけでない“何か”。その“何か特別なもの”を受け取って帰ってもらうには、魂を込めて弾かないと伝わらないと思っていたアーティストです。フジコさんの演奏が、時代を超えた“永遠の音色”になって、必要としている人たちの元に届くことを願っています。
10月24日から、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。
(C)2025「フジコ・ヘミング 永遠の音色」フィルムパートナーズ
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