松村北斗主演、映像美で魅せる恋愛映画「秒速5センチメートル」はどの位ヒットするのか?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2025年10月11日 07:00

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。
また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。
更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)
今週末10月10日(金)から実写映画「秒速5センチメートル」が公開されました。
原作は、「君の名は。」などで知られる新海誠監督による63分のアニメーション映画「秒速5センチメートル(2007)」。注目したいのは、本作が「初の大型長編映画監督作」となった奥山由之監督の存在でしょう。
本作の主題歌を担当しているのは米津玄師です。そんな彼の楽曲「KICK BACK」(テレビアニメーション版「チェンソーマン」のオープニング曲)のミュージックビデオは、なかなか奇抜でエッジの効いた作品でしたが、この映像を作り出したのが奥山由之監督でした。
(C)2025「秒速5センチメートル」製作委員会「秒速5センチメートル」では、その映像センスを「リアルに表現する」ことに徹していて、風景は言うまでもなく、子役の演技に至るまで見事に表現されていました。
まず、風景については、ワンシーン、ワンシーンをこだわり抜いて撮影していることが一目瞭然ですし、最新のデジタルで撮影しつつも、その映像データを16ミリのフィルムに焼き付けることで、全体的に温かみのあるような「質感」も上手く表現しています。
そして、俳優陣も演技派が揃っていましたが、個人的には小学生、中学生時代を演じた2人(上田悠斗、白山乃愛)が印象的でした。特にカギとなる明里を演じた白山乃愛の存在感を感じましたが、プロフィールを見ると、東宝「シンデレラ」オーディションでグランプリを最年少で受賞していました。なるほど、その原石を奥山由之監督との化学反応によって最も強く輝かせることに成功したのでしょう。
(C)2025「秒速5センチメートル」製作委員会
(C)2025「秒速5センチメートル」製作委員会このように作り手も役者も「今後が楽しみになるような新たな才能が見られる」という面からも大いに注目される作品なのです。
さて、実写映画「秒速5センチメートル」では、原作アニメーションではしっかりと描かれていない大人になった主人公たちの時間を描いています。
本作は松村北斗が映画単独初主演となった作品ですが、松村北斗出演作の恋愛映画としては今年の2月に公開された「ファーストキス 1ST KISS」があり、本作のヒットの目安となるのかもしれません。
「ファーストキス 1ST KISS」はタイムトラベルで15年前と現在を行き来する恋愛映画でした。
一方「秒速5センチメートル」は、1991年から端を発した“過去”と、2008年の現在を行き来する作りになっている恋愛映画です。
ただ、「ファーストキス 1ST KISS」は会話劇が楽しい大人の恋愛映画で、「秒速5センチメートル」が子供時代から続く恋愛映画という点では、客層のボリュームゾーンが異なるのかもしれません。
とは言え、公開時期が共に2025年の作品で、上映時間も124分(「ファーストキス 1ST KISS」)と121分(「秒速5センチメートル」)と近く、「力作」に属する話題性のある作品なので、興行的には割と似た結果になる可能性があります。
(C)2025「秒速5センチメートル」製作委員会
(C)2025「秒速5センチメートル」製作委員会恋愛映画の名作となった「ファーストキス 1ST KISS」の興行収入は約29億円なので、実写映画「秒速5センチメートル」の興行収入は30億円に到達できるかどうかが注目点でしょうか。
制作費は、通常の3億円規模よりは高いと想定され、仮に3.6億円とします。
宣伝費を中心とするP&A費は2.5億円とすると、劇場公開だけでリクープするには興行収入15.4億円に行ければ大丈夫なので、もしも興行収入が30億円に到達できれば大ヒットと言えます。
果たして映像美で魅せる恋愛映画「秒速5センチメートル」はどの位までヒットできるのか――大いに注目したいと思います。
執筆者紹介
細野真宏 (ほその・まさひろ)
経済のニュースをわかりやすく解説した「経済のニュースがよくわかる本『日本経済編』」(小学館)が経済本で日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」(日販調べ)を記録。
首相直轄の「社会保障国民会議」などの委員も務め、「『未納が増えると年金が破綻する』って誰が言った?」(扶桑社新書) はAmazon.co.jpの年間ベストセラーランキング新書部門1位を獲得。映画と興行収入の関係を解説した「『ONE PIECE』と『相棒』でわかる!細野真宏の世界一わかりやすい投資講座」(文春新書)など累計800万部突破。エンタメ業界に造詣も深く「年間300本以上の試写を見る」を10年以上続けている。
発売以来16年連続で完売を記録している『家計ノート2026』(小学館)が増量&バージョンアップし遂に発売! 2026年版では、日本において最も問題視されている「失われた30年」問題。この「失われた30年」においても貯金額を増やせる特別な方法を徹底解説!
Twitter:@masahi_hosono
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