ジュリエット・ビノシュが語る「ポンヌフの恋人」の思い出、そして愛【第30回釜山国際映画祭】
2025年9月26日 14:00

第30回釜山国際映画祭で9月25日、レオス・カラックス監督による1991年の作品「ポンヌフの恋人」が上映され、主演を務めたジュリエット・ビノシュが登壇し上映前にトークショーが行われた。
ビノシュの40年にわたる俳優としての功績をたたえる特別企画「Juliette Binoche, Between Motion and Emotion」では、ビノシュの初監督作「In-I In Motion」や、主演作であるクシシュトフ・キェシロフスキの名作「トリコロール/青の愛」(1993)の上映に加え、ビノシュ本人が講師を務めるマスタークラスも開催されている。その一環として行われた今回の上映は、4000席以上の席数を誇る「BIFF Theater」で実施され、多くのファンがビノシュの来韓を祝福すべく詰めかけた。
まず、初監督作である「In-I In Motion」について、ビノシュは「とてもワクワクしています」と述べたうえで、ダンサーのアクラム・カーンとショーを制作した経験を通じて他者と向き合わざるを得なかったことを振り返りながら、「観客の皆さんにはこの作品の親密さと、それに伴う困難さを楽しんでいただけると思います。なぜなら、私たちは皆、人生において創造的である必要があるからです」と語った。

続いて「ポンヌフの恋人」について、司会者から三つの質問が投げかけられた。まず中心的なテーマである「愛」について問われたビノシュは、「愛はシンプルでありながら複雑で、人生のあらゆる瞬間において私たちが見、感じるすべてを愛すべきだ。愛を受け入れれば、それは私たちを包み込んでくれる」と語った。さらに「愛は私たちに属さない魔法であり、私たちの中にも世界のどこかにも存在する。私たちはそれを育み、生かし、真実として維持させ続ける責任を負っている」と述べた。また、釜山国際映画祭に温かく迎え入れられ、多様な出会いを共有できることへの感謝を示しつつ、「俳優は作品を選ぶ責任を負い、その選択を通じて見えない何かを作品に与え、普遍的な真実へと導くべきだ。この映画祭は、映画制作におけるその貴重な選択を体現し、作家の作品を尊重している」と強調した。

撮影時の記憶について問われると、ビノシュは、時間的制約や資金不足といった多くの困難に直面したことを挙げ、映画制作には強い信念と忍耐が不可欠であると語った。その中で、本作品は、完成させたいという思いから生まれたものであり、映画をつくることはある種の「信仰」に通じるものであると述べ、忍耐し、その信念を貫くことの意味を教えてくれたと強調した。また具体的な例として、水上スキーのシーンを挙げ、一見容易そうに見えるものの、実際には予想以上の低温に加え、撮影当初には警察が安全確認のため川沿いを巡回していたことから落ち着かない状況であったことを記憶として語った。

最後の質問として、本作を初めて観るであろう若い観客へのメッセージを求められると、ビノシュは「この映画をどう感じたのか、むしろ皆さんに伺ってみたい」と前置きしたうえで、本作監督であるレオス・カラックスの豊かな想像力から生まれ、公開当時大きな反響を呼んだ特別な作品であることを強調した。

その上で、「この映画がもつ一種の奔放さを思い切り楽しんでください。自分がどう感じるかを受け入れてほしいのです。映画の見方は人それぞれであり、それこそが芸術の魔法であり美しさです」と語った。さらに「他の誰とも違う受け止め方こそ、観客一人ひとりに属する体験であり、それが映画の真の魔法なのです」と述べ、最後に「まるでロックスターになった気分」と冗談めかしてマイクを持ちながら歌うジェスチャーを見せる。会場から大きな拍手と歓声を浴びたビノシュは、投げキッスで熱量溢れる釜山の観客への感謝を示していた。(小城大知)

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