【第82回ベネチア国際映画祭】ジム・ジャームッシュ、ソフィア・コッポラ、ガス・バン・サントなど注目作ずらり
2025年9月3日 15:00

第82回ベネチア国際映画祭でコンペティションに選出されたジム・ジャームッシュの新作、「Father Mother Brother Sister」が披露され、ケイト・ブランシェット、ビッキー・クリープス、シャーロット・ランプリングらキャストが勢揃いし、レッドカーペットを沸かせた。
本作は、家族をテーマにした3つのショートストーリーから成るオムニバス。1話目の父子の物語ではトム・ウェイツが偏屈な父に扮し、アダム・ドライバーとメイム・ビアリクが子に扮する。2話目は母と娘のストーリーで、ランプリングが世話好きな母に、その娘で性格の異なる姉妹をブランシェットとクリープスが演じた。さらに3話目は、親を失った兄と妹にルカ・サバトとインディア・ムーアが扮した。「コーヒー&シガレッツ」を彷彿させるウィットのある小話のなかに、家族の微妙な距離感あるいは絆が描かれている。
アウト・オブ・コンペティションで注目を浴びたのは、ソフィア・コッポラがファッション・デザイナーで友人のマーク・ジェイコブスを追いかけたドキュメンタリー、「Marc by Sofia」と、ガス・バン・サントの「Dead Man’s Wire」だ。
前者はデビュー当時からジェイコブスを知り、自身も同時期にファッションブランド「ミルクフェド」を率いて、ガーリー・ムーブメントを牽引するなど、ファッションに造詣の深いソフィアならではの視点が光る。ジェイコブスの初期のコレクションからルイ・ヴィトン時代のランウェイ、ソフィア自身がインタビューを務めた最近のフッテージなど、ジェイコブス・ファンのツボを押さえた内容であるとともに、90年代前半のグランジの波など、当時のムーブメントも掬い取っている。
ガス・バン・サントの作品は、1977年、インディアナ・ポリスで実際に起きた事件を題材にしたヒューマンドラマ。住宅ローン・ブローカーの大手Meridian Mortgageにローンを滞納し、窮地に陥った一家の息子トニー・キリシス(ビル・スカルスガルド)が、会社の御曹司を人質に取り、借金の帳消しを要求したもの。メディアを通じて瞬く間にニュースが広がり、むしろキリシスに大衆の同情が集まった事件を、バン・サントは共感と、ときにユーモアを込めて描写。小気味良いテンポでエモーショナルな作品に仕立て、プレス上映でも拍手が沸き起こる人気ぶりだった。(佐藤久理子)
執筆者紹介
佐藤久理子 (さとう・くりこ)
パリ在住。編集者を経て、現在フリージャーナリスト。映画だけでなく、ファッション、アート等の分野でも筆を振るう。「CUT」「キネマ旬報」「ふらんす」などでその活躍を披露している。著書に「映画で歩くパリ」(スペースシャワーネットワーク)。
Twitter:@KurikoSato
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