名作「カッコーの巣の上で」テレビシリーズ化 酋長の視点から描く新企画が始動
2025年7月8日 11:00

アカデミー賞主要5部門を独占した1975年の名作映画「カッコーの巣の上で」のテレビドラマが企画開発中であることが明らかになったと、米Deadlineが報じている。映画公開から50周年という節目を迎える中、今回の企画は映画では描かれなかった酋長(チーフ・ブロムデン)の視点から物語を描く新シリーズとして注目を集めている。
この企画を発表したのは、映画のプロデューサーであるソール・ザインツの甥のポール・ザインツ。インディペンデント映画製作ポッドキャスト「CK Café」で「ちょうど今、ケン・キージーの未亡人と契約を結び、第1シーズンは酋長の視点から描くテレビシリーズを開発することになりました。第1シーズンに続いて、酋長が(精神病院から)脱出した後に何が起こるかを見ていくことになります」と語った。現時点では脚本家やスタジオの参加は明らかにされていない。
この企画の背景には、原作者ケン・キージーが映画版を否認していたという複雑な事情がある。キージーは、ミロス・フォアマン監督による1975年の映画が原作小説から逸脱したとして否定的に評価していた。原作小説は酋長の視点で書かれていたが、映画では主人公マクマーフィ(ジャック・ニコルソン)を中心とした構成に変更されていた。
酋長は耳が聞こえず口がきけないふりをしている巨躯の半ネイティブアメリカン患者で、映画ではウィル・サンプソンが印象的に演じた。マクマーフィの行動によって次第に偽装から抜け出し、力強い抵抗と解放の象徴となる重要なキャラクターである。
「カッコーの巣の上で」は、日本では1976年4月に公開。刑務所の強制労働から逃れるため精神異常を装って精神病院に入った男性マクマーフィが、絶対権力を誇る婦長ラチェッド(ルイーズ・フレッチャー)と対立しながら、入院患者たちに生きる気力を与えていく物語だ。60年代の精神病院を舞台に、体制の中で抗う男の姿を通して人間の尊厳と社会の不条理を問うた作品として高く評価され、アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞の主要5部門を独占する快挙を成し遂げた。製作者にはマイケル・ダグラスも名を連ねている。
これまでに公認されたテレビスピンオフは、Netflixの「ラチェッド」のみで、1シーズンで終了している。ザインツはこれまでリメイクやスピンオフの企画には慎重な姿勢を取ってきたが、シリーズであればキャラクター開発により多くの時間を割けるとの考えを示している。
2023年には、ポール・ザインツの会社Teatro della Pace Filmsは、ソール・ザインツ・カンパニーのライブラリーを取得。「カッコーの巣の上で」のほか、アカデミー作品賞受賞作「イングリッシュ・ペイシェント」「アマデウス」なども含まれている。
映画50周年を記念して、今月中に全米1000以上のスクリーンで再上映も予定されている。古典映画のテレビシリーズ化が相次ぐ中、原作者の意図により忠実な形での映像化が実現するかに注目が集まっている。
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