メンタルヘルスの重要性を訴える大坂なおみがエグゼクティブプロデューサー 前途有望なテニス選手が自殺、仲間たちは…「ジュリーは沈黙したままで」
2025年6月25日 12:00

ベルギーの新鋭、レオナルド・バン・デイルの長編デビュー作で、2025年アカデミー賞国際長編映画賞のベルギー代表に選出され、2024年カンヌ批評家週間でプレミア上映、SACD賞を受賞した「JULIE KEEPS QUIET」が「ジュリーは沈黙したままで」の邦題で10月3日に日本公開される。シーン写真6点及び監督からの声明文が披露された。
ベルギーのテニスクラブに所属する15歳のジュリー(テッサ・バン・デン・ブルック)は、その実力によって奨学金を獲得し、いくつもの試合に勝利してきた、将来を有望視されているプレーヤーだ。しかし、ある日、信頼していた担当コーチのジェレミー(ローラン・カロン)が指導停止となりクラブから姿を消すと、彼の教え子であるアリーヌが不可解な状況下で自ら命を絶った事件を巡って不穏な噂が立ちはじめる。ベルギー・テニス協会の選抜入りテストを間近に控えるなか、クラブに所属する全選手を対象にジェレミーについてのヒアリングが行われ、彼と最も近しい関係だったジュリーにとっては大きな負担がのしかかる。テニスに支障を来さないよう日々のルーティンを崩さず、熱心にトレーニングに打ち込み続けるジュリーだったが、なぜかジェレミーに関する調査には沈黙を続け……。

バン・デイル監督は、カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品、ケガを隠して競技を続ける12歳の体操選手を描いた短編「STEPHANIE」(20)で注目を集めた、ベルギーの新星。本作でも監督はスポーツ界で子どもが「小さな大人」として扱われる現実に強い問題意識を投げかける。そんな本作の共同プロデューサーとして名を連ねるのは、社会問題に光を当て続けてきたベルギーの巨匠ダルデンヌ兄弟。また、この物語に共感を示したテニス界のスター・大坂なおみが、エグゼクティブ・プロデューサーとして公式に後押しする。過去、大坂がメンタルヘルスの重要性を訴えたことに大きく感銘を受けたバン・テイル監督は、「彼女が声を上げてくれたことで、世界中の少女たちに“NOと言う選択肢”が開かれた。本当に価値あることです」と語っている。
主人公となる、15歳の天才ジュニア選手・ジュリーを演じたのは、実生活でも若きテニス選手であるテッサ・バン・デン・ブルック。そのリアルな競技描写が、沈黙は弱さによるものではなく、強い意志の象徴であると悟らせ、選手とコーチの関係性という曖昧で危うい領域に迫りながら、試合に向けたサーブの練習、けがのリハビリ、ジムでのトレーニングといった断片的なシーンの連続が、少女がスポーツを<逃げ場>として利用していることを浮き彫りにしていく。また、登場するティーンエイジャーたちは全員ノンプロの俳優。実際の所属クラブの仲間たちを他の子役に起用することで、監督は幼い主演俳優が安心できる空間づくりを徹底した。

35ミリと65ミリフィルムで捉えられた映像は、「ダム・マネー ウォール街を狙え!」(23)、「クルエラ」(21)などで知られるニコラス・カラカトサニスの撮影によるもの。固定カメラによる静謐なフレーミングで、しばしば自然光のコントラストの中に人物を沈ませ、自然主義的な手法で一人の少女の感情を浮かび上がらせていく。そして、緊張感のあるボーカルスコアは、アメリカの現代クラシック作曲家キャロライン・ショウ。バン・ディルとベカールによる脚本は、思春期の揺れ動く心理に寄り添いながら、観る者にジュリーの沈黙の行方を委ねている。
配給を手がけるのは、今作が第1回単独配給作品となるオデッサ・エンタテインメント。10月3日から、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋で公開。

「ジュリーは沈黙したままで」との個人的なつながりについて語りたくなるが、皆さんにジュリーの声を聞いてほしい。
ジュリーが沈黙する姿を見て、なぜ沈黙するのか耳を傾けてほしい。
だから私は、ジュリーの沈黙の中に光をもたらすという唯一の目的のために、
ジュリーの歩調、ジュリーの時間の中で物語を進めようと努めてきた。
ジュリーは自ら沈黙を選んだわけではなく、沈黙することで注目の的になろうとしているわけでもない。
ジュリーの沈黙に飛び込むことは驚くべき旅だった。
ジュリーは思いがけない形で私を導き、自分自身やこの世界について理解を深める手助けをしてくれた。
私たちは皆、何らかの形でジュリーであり、それぞれが沈黙を抱えているのだと気づかせてくれた。
ジュリーは強いけれどまだ若く、もろくもある。もし何かあったら?
それでも…
ジュリーの沈黙は皆さんに知られることになった。
ジュリーの沈黙は今、あなたのものとなった。
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