「ラブ・イン・ザ・ビッグシティ」あらすじ・概要・評論まとめ ~多様性の時代に“自分らしく生きたい”と願う人にエールを送る快作~【おすすめの注目映画】
2025年6月12日 09:00

近日公開または上映中の最新作の中から映画.com編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介!
本記事では、映画「ラブ・イン・ザ・ビッグシティ」(2025年6月13日公開)の概要とあらすじ、評論をお届けします。

映画「破墓 パミョ」やドラマ「トッケビ 君がくれた愛しい日々」で人気のキム・ゴウンと、ドラマ「Pachinko パチンコ」で注目された新鋭俳優ノ・サンヒョンが共演し、“普通”であることになじめない男女が支えあい、生きていく姿を描いたドラマ。
周囲から非難されることも多いが、気高く自由奔放でエネルギッシュなジェヒと、ゲイであることを隠して生きる、繊細で寡黙なフンス。ある時、クラスメイトによってフンスの秘密が暴かれそうになったとき、手を差し伸べたのがジェヒだった。全く正反対の2人は、互いの違いを認め合い、ルームシェアをしながらかけがえのない学生生活を送っていく。世間のルールに縛られず、恋愛や夜遊びなども全力で楽しみながら生きるジェヒに刺激され、閉じこもっていたフンスも徐々に外の世界へと踏み出していく。そんな2人の関係は、大学を卒業してそれぞれの道に進んでも、変わらないはずだった。しかし、社会に出た2人に大きな転機が訪れ、思いがけないかたちで友情が試されることになる。
国際ブッカー賞やダブリン文学賞といった国際的な文学賞にもノミネートされた、韓国の作家パク・サンヨンの連作小説「大都会の愛し方」に収録されている「ジェヒ」を原作に、「アメノナカノ青空」「女は冷たい嘘をつく」のイ・オニ監督がメガホンをとった。

学生なら新学期、社会人であれば新年度がはじまって約2か月が過ぎた。新入生や新社会人も五月病(新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状の総称)を経て日々を生きている人も多いのではないか。そんな日々の裏にある孤独、人の多様性や人間関係と向き合い、それぞれが失敗や成功を繰り返しながら、なんとか自分らしく生きようと奮闘している人、学校や職場の環境になぜか馴染めず、自分が“普通”ではないのではないかと自問自答しているような人におススメしたい作品だ。
韓国映画「ラブ・イン・ザ・ビッグシティ」は、他人の目を気にせずに自由奔放に生きるジェヒと、秘密を抱え孤独に生きるフンスという正反対の二人が出会い、都会のソウルで自分らしい生き方を見つける物語である。世界三大文学賞「国際ブッカー賞」や「ダブリン文学賞」にノミネートされた韓国の作家パク・ヨンサンのベストセラー連作小説「大都会の愛し方」に収録されている「ジェヒ」を原作に、「アメノナカノ青空」のイ・オニ監督がメガホンをとった。

ドラマ「トッケビ 君がくれた愛しい日々」で人気を博し、昨年韓国で動員1200万人を超える大ヒットを記録したサスペンススリラー映画「破墓 パミョ」では巫堂(ムーダン=朝鮮半島のシャーマン)を演じて、百想芸術大賞・女性最優秀演技賞を受賞したキム・ゴウンが、気高くエネルギッシュなジェヒに扮する。世間のルールに縛られず、恋愛や夜遊びなども全力で楽しみながら生きるが故に周囲から非難され、誤解されてしまうが、自分の価値観を大切にしている女性を演じて新たな魅力を発揮している。
一方、ゲイであることを隠して生きる、繊細で寡黙なフンスに扮したのは、ドラマ「Pachinko パチンコ」の牧師役で注目されたノ・サンヒョン。孤独な日々を送っていたが、大学のクラスメイトに秘密を暴かれそうになった時、ジェヒが手を差し伸べたことで、特別な契約を結んでルームシェアをしながら一緒に学生生活を送っていくことになる。ジェヒに刺激され、徐々に外の世界へと踏み出していくフンスの心情をサンヒョンが細やかに演じて説得力を与えている。

“普通に馴染めない”ジェヒとフンスの出会いは運命的だとも言える。大学生時代に出会っていなかったら、“自分らしい生き方”をお互いに見つけられなかったかもしれない。お互いの違いを認め合ったからこそ、次第にかけがえのない存在になっていく関係性は二人だけが見つけた特別な絆だが、その友情が予期せぬ形で試されることになる。観客は冒頭にジェヒのウェディングドレス姿を見ているので、二人の未来に期待を抱かせられるが、本作のラストは多様性の時代に心地よい余韻を残す。ありのままに生きたいと願うすべての人にエールを送る快作だ。
執筆者紹介
和田隆 (わだ・たかし)
1974年生まれ。映画業界紙の記者、編集長などを経て取締役に就任。キネマ旬報などに寄稿。2014年より映画.comで国内映画ランキング、新規事業などを担当。映画もプロデュース。
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