連続殺人事件、男たちの結束と対立…ネオ・ノワール「サターン・ボウリング」今秋公開 大島渚やパク・チャヌク作品からの引用も
2025年5月22日 15:00

現代のフランスを代表する映画監督のひとり、パトリシア・マズィ初の日本での劇場公開作品となる「サターン・ボウリング」が、今秋に公開される。父の遺したボウリング場を舞台に、男たちの結束と対立、沈黙と欲望、崩れゆく秩序の中に潜む暴力を圧倒的な緊張感と映像美で描く、衝撃のネオ・ノワール作品だ。
ロカルノ国際映画際(2022)金獅子賞にノミネート、「カイエ・デュ・シネマ」2022年のベストテン第6位に選ばれた本作は、マズィ監督による長編第5作。父親の罪によって取り返しのつかない傷を負った2人の異母兄弟の奇妙な物語だ。男性の悪に焦点を当てたイブ・トマの脚本は「父の亡霊」という超自然的な要素を含みつつ、恐怖やトラウマ、ネグレクトがいかに救いようのない不幸のスパイラルを形成するかを隠喩的に描く。

撮影は「落下の解剖学」(24)や「ナイフ・プラス・ハート」(18)などのシモン・ボーフィス。ニコラス・レイ、パク・チャヌク、大島渚などにオマージュを捧げながら、古典的なフィルムノワールの方法を踏襲し、かつてない衝撃とともに現代的な暴力の問題を炙り出す――。今秋にユーロスペースほか全国にて劇場公開。
また今秋の公開に先駆けて、アンスティチュ・フランセ東京で6月6日~7月19日にかけて開催される「映画批評月間―フランス映画の現在をめぐって2024―」で、同監督の特集上映も予定されている。

▼パトリシア・マズィ監督コメント
“この映画を監督する上でのチャレンジの1つが暴力をどう扱うかということでした。観客に見せるべきか?それとも他の多くの映画がそうであるように見せないほうが正しいのか? 悩んだ末、見せないという選択肢だと“暴力はどう生まれるのか?”という問題から逃げることになるのでは、と考えました。そして逃げないことにしました。勇気を持たないといけません。
この映画で描こうとしたのは現代の悲劇、今日の世界に根ざした“フィルム・ノワール”でした。
「サターン・ボウリング」は世界の悪に対する解決策を何も示しませんし、何も解決しません。それどころか暴力や災難、権力、そして男女の関係についてさまざまな疑問を投げかけます。これらの疑問が開かれたまま、率直に問われる形にするため、この映画をはっきりしたものにしたい、無駄をそぎ落としてプリミティブなものにしたいと思いました。
▼「映画批評月間―フランス映画の現在をめぐって2024―」概要
6月22日(日)18:30~ パトリシア・マズィ監督 マスタークラス
詳細:https://culture.institutfrancais.jp/event/cinema20260606
会場:東京日仏学院エスパス・イマージュ
料金:一律1100円(トーク付上映のみ1500円)
チケット:Peatixにて販売中(https://ifjtokyo.peatix.com/events)
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