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【「サブスタンス」評論】えげつないのは彼女たちか、世界か。過激な戯画化が問題の根深さを語る

2025年5月18日 15:30

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画像1(C)2024 UNIVERSAL STUDIOS

時代ごとにその空気を象徴する作品があるとすれば、「サブスタンス」はまさにその一本と言えるだろう。リフティングやボトックスが珍しいことではなくなった世の中で、ハリウッドのエンタメ界を舞台に、いかに若さと美貌がビジネスの基準となり消費されていくかを思い知らされる物語だ。

かつて一世を風靡しながら、年齢とともに人気の下降線を辿っているエリザベスは、50歳を迎えてついに、看板のエアロビ番組を降ろされる。思い余った彼女が、「サブスタンス」と呼ばれる怪しげな再生医療薬に手を出すと、まるで昆虫が脱皮するかのように内側から若く美しい肉体を持ったスーが現れる。スーはすぐに売れっ子となるが、サブスタンスの効能は一週間。一週ごとにふたりは交代しなければならないというルールが、やがて大きな障害をもたらす。

極端なキャラクター、過度な装飾、肉体的変容におけるショッキングな描写や音響効果を駆使し、「これでもか」的な攻め方を見せる本作は、ある意味えげつないとも言える。しかしそのえげつなさこそが魅力であり、独創性なのだ。コラリー・ファルジャ監督には、デビッド・クローネンバーグはもちろん、スタンリー・キューブリックデビッド・リンチジョン・カーペンターなど、さまざまな監督の影響を感じさせる要素があるものの、やりすぎが笑いに転じるリディキュール(滑稽さ)を追求することで世の中の不条理を告発しようとする姿勢は、彼女ならでは。

前作「REVENGE リベンジ」でも、ファルジャ監督はマチズモやセクシストを揶揄していたが、新作にはもうひとつ、女VS女の対決というテーマもある。女性の価値を決めるのが社会の不当な眼差しであるなら、そのルールに従ってライバルを蹴落とそうとする女たちもまた救いがないわけで、そんな彼女たちの悲しき愚かさも容赦なく風刺されている。

ここに来て大復活を遂げたデミ・ムーアの、捨て身の演技が半端ではない。対するマーガレット・クアリーの弾けっぷりもみごとで、このふたりの身体を張った狂宴が一層、ボディホラーとしての醍醐味をもたらしている。

最近「ベイビーガール」や、パメラ・アンダーソン主演の「The Last Showgirl」など、女性が年を取ることで直面する困難を赤裸々に語った女性監督による作品が続いているが、そのなかでも本作は、観る者に挑戦状を叩きつけるような凄みがある。

(佐藤久理子)

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