「紅の豚」あらすじ、声優まとめ JALの機内上映作品として企画、女性を中心にスタッフを編成
2025年5月9日 21:00


同作は、1992年に公開されたスタジオジブリの長編。宮﨑監督が原作・脚本を手がけたオリジナル作品で、第1次大戦後のイタリアを舞台に、豚の姿をした飛行機乗りポルコ・ロッソと、その周辺の人物たちの物語が描かれます。ヒロインのひとりであるマダム・ジーナ役を演じる加藤登紀子さんが歌う主題歌「さくらんぼの実る頃」とエンディングテーマ「時には昔の話を」も耳に残る1作です。

30分のOVAとして企画された同作が約90分の映画として成立するまでの経緯や、本作のスタッフ編成の特徴などを、あらすじ、主な出演声優のリストとあわせてご紹介します。

「紅の豚」の企画は、30分程度のビデオ用作品としてスタートしました。ミリタリーや飛行機に造詣の深い宮﨑監督の趣味性を存分にもりこんだ“マイナーな企画”として、宮﨑監督による最初の企画書では45分の映画として考えられていたそうです。
その頃、鈴木敏夫プロデューサーは、飛行機の映画だからと機内上映のアイデアを思いついて実現に向けて動いた結果、JAL(日本航空)の参加と同社での機内上映が決まります。そのさい、宮﨑監督はJALサイドにたいして、飛行機が墜落する場面があることを事前に通告したそうです。

その後、実制作に入った宮崎監督は、45分では話が収まらないから上映時間を60分に増やしたいと鈴木プロデューサーに相談します。鈴木プロデューサーは、中途半端なものを機内上映するよりも長編映画として広く公開するかたちに路線変更したほうがいいと宮崎監督に提案し、現在の約90分の映画として公開されることになりました。なお、同作の機内上映は、1992年7~8月の国内線のほか、ヨーロッパ線と太平洋線でも行われました。

「紅の豚」では、メインスタッフに女性が多く抜てきされました。作画監督(共同)に賀川愛さん、美術監督に久村佳津さん、音響監督に浅梨なおこさんが起用されたほか、女性を中心にスタッフが編成されています。制作当時の日本のアニメーション業界において、要(かなめ)となるポジションを女性が占めているのは画期的なことだったと、鈴木プロデューサーは自身の著書「天才の思考 高畑勲と宮崎駿」で振り返っています。作中でポルコの飛空艇を修理するピッコロ社の社員たちがすべて女性なのは、「紅の豚」の制作の様子を投影したものだったのです。

それまでは二番手の役割を務め、本作で初めて大役を果たすスタッフたちの負担を軽くするべく、宮﨑監督は作品の面白さはそのままに、作品制作にかかる手間を減らす工夫をしていたそうです。そのひとつとして、主な舞台が海と空で構成され、宮﨑監督作品の特徴のひとつである複雑な構成の建物が登場しないことが挙げられます。作画に手間のかかる複雑な芝居も減らし、スタジオジブリの前作「おもひでぽろぽろ」の制作に2年かかったところを、「紅の豚」ではその半分の1年で制作することができました。


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