アカデミー賞に「スタントデザイン賞」新設! 約30年の長い活動実る
2025年4月15日 10:00
Photo by Gilbert Flores/Variety via Getty Imagesアカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは4月10日(現地時間)、「スタントデザイン賞」を新設すると発表した。2028年の記念すべき第100回授賞式から導入される同賞は、映画の迫力と臨場感を支えながらも長年正当な評価を受けてこなかったスタント業界の約30年にわたる地道な活動が実を結んだ格好となる。
「映画の黎明期から、スタントデザインは映画製作に不可欠な要素だった」とビル・クレイマーCEOとジャネット・ヤング会長は共同声明で述べ、「これらの技術的・創造的アーティストの革新的な作品を称え、この記念すべき機会に至るまでの彼らの取り組みと献身に対して祝福する」と述べた。新部門の資格要件や投票のルールは2027年に第100回アカデミー賞規則とともに発表される予定で、授賞の詳細は今後、同協会理事会と執行部によって決定される。
この快挙の背後には、1990年代からスタントコーディネーターのジャック・ギルらが始めた粘り強い働きかけがある。近年では「ジョン・ウィック」シリーズで知られるチャド・スタヘルスキ監督や、「フォール・ガイ」のデビッド・リーチ監督といった元スタントマン出身の映画人たちが運動を加速させた。リーチ監督は昨年のインタビューで「実現に向けたプロセスが本格的に進んでいる」と期待を示していた。
スタント部門の新設には、危険な演技を助長するという懸念も一部にあったが、スティーブン・スピルバーグ、ジェームズ・キャメロン、アーノルド・シュワルツェネッガーといった映画界の巨匠たちも公の場で支持を表明。米俳優組合賞では2007年から「スタントアンサンブル賞」が設けられており、最新の受賞作はリーチ監督の「フォール・ガイ」だった。
アカデミー賞で最後に新部門が追加されたのは2024年の「キャスティング賞」で、こちらは2026年の第98回授賞式から導入される。現在、100人以上のスタント専門家がアカデミーの「制作・技術部門」のメンバーとして活動している。
この決定により、映画製作の舞台裏で命がけの貢献をしながらも、これまでスポットライトが当たることの少なかったスタント業界に、世界最高峰の栄誉への道が開かれたことになる。
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