【第78回カンヌ国際映画祭】オフィシャル・セレクション発表、早川千絵監督作など日本映画3本 応募作は過去最高の2909本、現代社会の暴力、愛、寛容など描く作品目立つ
2025年4月10日 23:00

4月10日、今年の第78回カンヌ国際映画祭のオフィシャル・セレクションの発表があり、パリの映画館でプレジデントのイリス・ノブロックとディレクターのティエリー・フレモーによる記者会見が開催された。
日本映画はコンペティションに早川千絵の「ルノワール」、ある視点部門に石川慶の「遠い山なみの光」、ミッドナイト・スクリーニングに川村元気の「8番出口」がそれぞれ入選した。
コンペティションは19本。すでに噂されていたウェス・アンダーソンの「The Phoenician Scheme」、リチャード・リンクレイターが「勝手にしやがれ」を撮影中のジャン=リュック・ゴダールを描いた「Nouvelle Vague」、ジュリア・デュクルノーの「Alpha」、ダルデンヌ兄弟の「Jeunes Mères」、ヨアキム・トリアーの「Sentimental Value」、ケリー・ライカートの「The Mastermind」のほか、アリ・アスターが「Eddington」でコンペ初参加。ベルリン国際映画祭金熊受賞者カルラ・シモンの「Romería」、俳優アフシア・エルジの「La Petite Dernière」などもあり、女性監督は6人。
またアウト・オブ・コンペティションとしてオープニングを飾るのは、今回が初長編となるフランスの新星アメリー・ボンナンの「Partir un jour」。1作目でカンヌのオープニングを飾るとは、かなりの力作に違いない。歌手ジュリエット・アルマネとバスティアン・ブイヨン主演のロマンティック・コメディのようだ。
ある視点部門はスカーレット・ヨハンソンの初監督作「Eleanor the Great」を筆頭に現状16本。初長編作が8本含まれる。フレモー氏によれば、今年は前衛度は控えめで、むしろ物語性のある作品が多いそうだ。

アウト・オブ・コンペティションはセドリック・クラピッシュ、レベッカ・ズロトブスキら4本、カンヌ・プレミア部門はファティ・アキン、セバスティアン・レリオ、キリル・セレブレンニコフら6本、スペシャル・スクリーニング部門はU2のボノの監督するドキュメンタリー「Story of Surrender」、シルバン・ショメのアニメーション「Marcel et Monsieur Pagnol」など3本、ミッドナイトは3本となっている。
クリステン・スチュワート、ポール・トーマス・アンダーソン、ジム・ジャームッシュ、スパイク・リーといった噂にあがっていた名前は入っていないが、果たして追加に入るのかどうか。いずれにしろ追加作品が少なからず発表されるはずなので、続報を待ちたい。
フレモー氏によれば、応募作は過去最高の2909本。今年のアカデミー賞の受賞作を見ても、昨年のカンヌ参加組が活躍していただけに、カンヌのバリューは一層あがった印象だ。全体として今の社会を反映した暴力を描いた作品とともに、愛、寛容、人間性、反抗をテーマにしたものが目立ったそうである。映画祭は5月13日に開幕し、12日間にわたって開催される。(佐藤久理子)
「Partir un jour」(原題)アメリー・ボンナン監督
「The Phoenician Scheme」(原題)ウェス・アンダーソン監督
「Eddington」(原題)アリ・アスター監督
「La Maison maternelle」(原題)ダルデンヌ兄弟
「Alpha」(原題)ジュリア・デュクルノー監督
「ルノワール」早川千絵監督
「The History of Sound」(原題)オリバー・ハーマナス監督
「La Petite dernière」(原題)アフシア・エルジ監督
「Sirat」(原題) オリベル・ラセ監督
「Nouvelle vague」(原題)リチャード・リンクレイター監督
「Two Prosecutors」(英題)セルゲイ・ロズニツァ監督
「Fuori」(原題) マリオ・マルトーネ監督
「L'agent secret」(仏題)クレベール・メンドンサ・フィリオ監督
「Dossier 137」(原題)ドミニク・モル監督
「Un simple accident」(仏題)ジャファル・パナヒ監督
「The Mastermind」(原題)ケリー・ライカート監督
「Les Aigles de la République」(仏題)タリク・サレ監督
「Romeria」(原題)カルラ・シモン監督
「Sound of Falling」(英題) マシャ・シリンスキ監督
「Sentimental Value」(英題)ヨアキム・トリアー監督
「Le Mystérieux Regard du flamant rose」(仏題)ディエゴ・セスペデス監督
「Météore」(原題)ユベール・シャリュエル監督
「My Father's Shadow」(原題)アキノラ・デイビズ監督
「L'inconnu de la grande Arche」(原題)ステファン・ドゥームスティエ監督
「Urchin」(原題)ハリス・ディキンソン監督
「遠い山なみの光」石川慶監督
「Homebound」(原題)ニーラジ・ガワン監督
「Eleonor the Great」(原題)スカーレット・ヨハンソン監督
「Karavan」(原題)ズザーナ・キルシェロバナ監督
「Pillion」(原題)ハリー・ライトン監督
「Aisha Can't Fly Away」(原題)モラード・モスタファ監督
「Once Upon a Time in Gaza」(原題) タルザン・ナサール監督、アラブ・ナサール監督
「The Plague」(原題)チャーリー・ポリンガー監督
「Promis le ciel」(原題)エリーゲ・セヒリー監督
「Un dernier pour la route」(仏題)フランチェスコ・ソッサイ監督
「Heads Or Tails?」(英題)マッテオ・ゾッピ監督、アレッシオ・リゴ・デ・リーギ監督
「Amrun」(原題)ファティ・アキン監督
「Splitville」(原題)マイケル・コビーノ監督
「Connemara」(原題)アレックス・ルッツ監督
「La Disparition」(原題)キリル・セレブレンニコフ監督
「Orwell: 2+2=5」(原題)ラウル・ペック監督
「La Ola」(原題)セバスティアン・レリオ監督
「La Venue de l’avenir」(原題)セドリック・クラピッシュ監督
「ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング」クリストファー・マッカリー監督
「La Femme la plus riche du monde」(原題)ティエリー・クリファ監督
「Vie privée」(原題)レベッカ・ズロトブスキ監督
「Bono : Stories of Surrender」(原題)アンドリュー・ドミニク監督
「Dites lui que je l'aime」(原題)ロマーヌ・ボーランジェ監督
「Marcel et Monsieur Pagnol」(原題)シルバン・ショメ監督
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース





