映画と食をWで堪能!本広克行監督プロデュース「食のまち多気町映画祭」プレイベントが開催
2025年3月31日 08:00

世界的な美食の街、スペイン・サンセバスチャン市と“美食を通じた友好の証”を締結している三重県・多気町で、「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督プロデュースによる「食のまち多気町映画祭」と題した映画祭が開催される予定だ。会場となるのは、食と癒しのリゾート施設「VISON(ヴィソン)」で3月29日、同映画祭のプレイベントが行われた。映画と食を結びつける映画祭だが、プレイベントでの実験的な試みを通して、様々な可能性が見えてきた。
カンヌ、ベルリン、べネチアの三大映画祭に次ぐ存在であるスペインのサンセバスチャン国際映画祭には、カリナリーシネマ(食映画)部門がある。多気町でもそれを手本に、“食”の映画祭を通じて多気町の食の魅力を内外に向けてアピールすべく開催されるのが、「食のまち多気町映画祭」だ。



まず、VISONに到着後、東京ドーム24個分の敷地を誇る雄大なロケーションと空の広さに心洗われる。飲食店や物販の店が目移りするほど並ぶ中、地元の名産品や人気店のメニューで腹ごしらえをしたあと、会場となる「AT CHEF MUSEUM」へ。映画と食をダブルで楽しめるイベントでMCを務める映画パーソナリティの松岡ひとみは、、自身も「おいしい映画祭」をプロデュースしている。
最初に、多気町に住む野呂幸利・三重県副知事が挨拶。「僕は食が大好きで、映画も大好きです。サンセバスチャン市と多気町の融合ということで、“サンセバスチャン通り”があるVISONで映画祭をやっていただけることがとても嬉しいです。本当に、二重、三重、六重くらいの喜びです」と陽気な笑顔を見せる。
久保行央・多気町長は、地元についてアピール。「三重県は、海の幸、山の幸、そして豊かな農地、イチゴ、トマト、米などたくさんの農産物が穫れます。特に自慢したいのが、特産の松阪牛。豊かな食材があります。また、相可高校は私の母校ですが、食物料理科があり、テレビドラマ(『高校生レストラン』)にもなりました。この映画祭を開催することは、サンセバスチャンとの友好関係の証でもあるので、これからもVISONを中心に街の活性化を図っていきたいです」と力強く宣言をした。

その後、本広克行監督、世界的パティシエとして知られる辻口博啓シェフ、VISONの立花哲也社長、そしてドキュメンタリー映画「映画祭のつくり方」の尾野慎太郎監督が登壇。本作は本広監督がディレクターを務めた「さぬき映画祭」ができるまでの過程を追った作品で、これまで数多くの映画祭で上映されてきた。尾野監督によると「毎回バージョンアップしています。映画祭の趣旨によって若干情報の整理もして、今回は16バージョン目となります」とのこと。本作を上映しながら、本広監督らによるコメンタリートークが繰り広げられた。

本広監督が映画祭を運営するにあたってのやりがいや、苦労話、今だから話せる裏話を披露しながらクロストーク。立花社長は「僕も映画監督になれますかね?」とおちゃめに言うと、本広監督は「なれます、なれます。僕が編集の仕方を教えますから。フィルムコミッションと連携していくと、本当に映画が作れます」とアドバイス。
本作を観終えた辻口シェフは「こんなに映画祭がいろんな方々とのスクラッチで作られていることに感動しました。VISONで食と映画がテーマの映画祭をやれるってことで、すごくワクワクするし、本広監督の新たな一面が見られるということで、そこも素晴らしいことです」と感慨深い表情を見せた。これを受けて本広監督も嬉しそうに「映画祭をやると笑うし、泣くんです」とうなずく。
辻口シェフが「それをやりながら、ぜひ『踊る大捜査線』のVISONバージョンを!」と無茶なリクエストすると、立花社長も「それをやっていただけたら嬉しいです。ぜひ『踊るVISON』を!」とノリノリに被せる。辻口シェフも「ここはすべて現場ですからね」と「踊る大捜査線」の織田裕二演じる青島の名台詞を引き合いに出すというやりとりに思わずニンマリ。

第二部では、映画「美⾷家ダリのレストラン」を観ながらおいしい料理を楽しむという贅沢な宴が開催。本作は画家サルバドール・ダリの住むスペインの海辺の街を舞台に、若き天才シェフが革命的なレストランを誕生させていくという人間ドラマだ。映画と共に提供された料理を監修したのは、HOTEL VISONや旅籠ヴィソンの中武亮シェフだ。

まずは中武シェフ入魂の「これが私のスープ」。実は劇中でも匂い立つようなブイヤベースが登場するシーンがあるが、その絶妙なタイミングに合わせ、中武シェフのスペシャルスープがテーブルに運ばれた。スープの香りに臭覚を刺激され、映画のシチュエーションに身を置いたような錯覚に陥る。気づけば目の前にその特製スープがサーブされており、劇中の登場人物さながらに滋味深いスープを五感で堪能できた。これは、まさに4DX超えの体験といえる。


次は「未来」という何品かの盛り合わせが登場。こちらは、食物調理科があり、実践教育施設レストラン「まごの店」を店舗運営している相可高校の学生が手掛けたメニューだ。中武シェフから、まさに「未来」を担うシェフの卵である若者たちにこの一皿を託したと聞く。

その後は「ボッカディージョ」というスペイン風のサンドイッチが登場。こちらはホイルで包んだ焼き立てを味わえる。中武シェフによると、日本では映画館でポップコーンをほおばるが、スペイン風にいけばこのメニューがおすすめとのこと。会場にはワインなどのアルコールやソフトドリンクも用意され、参加者もご満悦だった。
締めでは、「セラヴィ!(これが私の人生)ピスタチオのアイスクリーム添え」という辻口シェフが、自身の人生を変えたという極上のデザートが登場。辻口シェフにとって人生の分岐点となったのは、28歳の時、最年少でパティシエのワールドカップ「クープ・ド・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」で優勝したことで、その翌年に「モンサンクレール」をオープンしたことはよく知られている。そういったここでしか聞けない裏話に耳を傾けると、フィナーレを飾る超絶に美味しいデザートには、大いに心が揺さぶられた。

上映終了後、本広監督は、今回のプレイベント全体について「いろいろな改善点もあるなと思いました」と、映画の上映中、暗い中で料理を楽しむためには、もうひと工夫必要であるといった課題などをいくつか挙げた。その一方で、“プレイベント”にて実験的な試みをやれたことに対する手応えも、各自が感じていたよう。
そして辻口シェフは、まず「美食家ダリのレストラン」を観た感想について「めちゃくちゃ面白かったです。こんな面白い映画があったんですね。このシチュエーションが最高でした」と言ったあと「映画を観ながら、こうやって料理を食べられることが初めての体験だったので、さすが本広監督だなと。本イベントへの期待値がバク上がりしました」と目を輝かせた。

立花社長も「映画を観てすごく感動しました。(劇中の)野外レストランがすごく良くて。VISONも舗装してないとか、足元が悪いとか言われますが、いろいろな思いや情熱、愛が大事だということに気づけた気がします。みなさんの思いを感じたので、ぜひこの情熱の映画祭を一緒にやらせていただきたいということを再度お願いし、最後にお礼とかえさせていただきます」と感激しきりだった。
なお、本映画祭では、本広監督のほか、「ミッドナイトスワン」「35年目のラブレター」のプロデューサー・森谷雄、ロボットの執行役員である丸山靖博、「ハケンアニメ!」「お嬢と番犬くん」の脚本家・政池洋佑らもプロデューサーとして名を連ねる。地方創生が叫ばれる昨今、映画界における最強のブレインと、VISONのスタッフ陣をはじめとする地元の人々たちが連携した「食のまち多気町映画祭」がどのような映画祭になっていくのか、心から期待したい。
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