松重豊「劇映画 孤独のグルメ」“エッフェル塔孤独カット”秘話を明かす 音楽へのこだわりも【第37回東京国際映画祭】
2024年11月4日 20:25

第37回東京国際映画祭のガラ・セレクションに選出された「劇映画 孤独のグルメ」のジャパンプレミアが11月4日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、監督・脚本・主演を務めた松重豊がQ&Aに参加した。
2012年1月からテレビ東京で放送がスタートしたドラマ「孤独のグルメ」を、井之頭五郎を演じてきた松重による初の監督・脚本で劇映画化。本編撮影はフランス・韓国・日本の3カ国で敢行している。
松重は「お腹が空いている時間にごめんなさい。一目散にラーメン屋に駆け込みたいと思っている方々ばかりだと思いますが…(笑)」と口火を切ると、「12年前に始まったテレビ東京の小さな番組が、このような晴れの舞台で皆さんにご覧いただけた――とにかく感無量です!」と感謝を述べる。「先程客席にも忍び込みましたけど、笑っていただけたのが何よりです」と思いの丈を述べた。

“劇映画化”の経緯については「ちょうど2年前、節目ともなる『Season10』の時、これから続けるか、やめるかという岐路に立ちました。どんどん若いスタッフも他所にいったりと“お別れ”をすることも多くなった。この番組で育っていけばいいのに、やはりそういう環境にない“今のテレビドラマの現状”というのもあって、1回仕切り直そうという気分があったんです」と告白。腹が減ったおじさんの物語を映画化する――これには「相当の力技が必要」だと感じ、韓国のポン・ジュノに監督を依頼したが、多忙を理由にオファーを断られてしまった。「断りの手紙が届いた夜に、ふと『俺、監督しようかな』と。翌々日くらいに今回のシノプシスを書いて、全スタッフに共有したところ、皆が『やりたい』となったので、じゃあ皆で頑張って映画化しようとなりました」と振り返った。
観客からは“音楽”についての質問が飛び出した。TVシリーズで音楽を担当しているのは、原作者の久住昌之氏を中心とした「The Screen Tones」。松重は「今回は音楽を映画用に作りたい」と感じたようだ。
松重「昔からよく知っているKan Sanoさんにお願いをしました。フランスパートの音楽とか、あとエンディングはピアノをメインにした曲にしたかったんです。ピアノがずっと単音で流れていくなかで物語が淡々と進んでいく。そこで登場人物の感情を呼び覚ます効果を狙いたかった。あとは40年来の友人・甲本ヒロトくんが率いる『ザ・クロマニヨンズ』に主題歌をお願いしました。40年前、腹を空かせてラーメン屋でバイトをしていた2人のことを思って書いてくれた曲には心震えました。音楽に関しては、The Screen Tonesさん、Kan Sanoさん、ザ・クロマニヨンズという3つの力強い味方を得ています」

続けて“ネタバレ厳禁シーン”の裏話で場内を盛り上がらせ、韓国パートにまつわる秘話を披露。「(最初に書いたシノプシスでは)もっと“大冒険話”になっていたんですが、これでは『韓国パートに金がかかるぞ』と、上層部からストップがかかりまして(笑)。『韓国パートを圧縮してくれ』と言われたので『だったら、エッフェル塔の前で“孤独カット”やるしかないでしょ』と、僕が一人でごねまして、それでフランスに行くという経緯になったんです(笑)」と語っていた。

また「こういう映画なんで……『思ったより良かったぞ』という思いは、どうか胸に秘めず、どんどん外に発信していただけると有難いです。やっぱり色眼鏡でみられがちですから。テレ東の深夜番組が映画になって、その主役をやっていた奴が監督をやったなんて、本来は笑い話にしかならない試み(笑)。ぜひ皆様のお力を借りたい」とアピール。マスコミ向けの“独り”フォトセッション時には「ずっとこうやって“独り”でやっているんです。普通は共演者がいて責任を分散できるんですけどね。全方向に僕が笑顔をふりまいています」「張り付いたような笑顔……口が乾いてまいりました」といった“ぼやき”で観客を終始笑わせていた。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。「劇映画 孤独のグルメ」は、2025年1月10日に全国公開される。
フォトギャラリー
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

片思い世界
【“鑑賞確定”の超期待作】広瀬すず×杉咲花×清原果耶主演×「はな恋」製作陣…そして涙腺崩壊へ
提供:リトルモア

ミッキー17
【前代未聞のオール社畜レビュー】史上最凶のブラック仕事を描いた痛快作…社畜が観たらどうなった!?
提供:ワーナー・ブラザース映画

侍タイムスリッパー
【ついに見放題“最速”配信中!!!】観たかった人も、何度も観た人も今すぐ観て!【ネタバレ厳禁】
提供:JCOM株式会社

この村の住人は、人間を喰ってる――
【衝撃の問題作】異常なクオリティで世界が熱狂…“絶対的支持”の理由を徹底解説!
提供:ディズニー

観ないとぜっったい後悔する
【ラスト5分の破壊力】そして“観たことないシーン”のゲリラ豪雨に、感動を超えてもはや放心状態――
提供:東和ピクチャーズ

映画を安く観たい人、絶対にチェックして!
【映画2000円は高すぎる!!?】知らないと損な“1250円も安く観る裏ワザ”、ここに置いときます
提供:KDDI

厳選した名作“だけ”をあなたに。
【探す時間、ゼロ】家のテレビが「あなただけの24時間シアター」に!(提供:BS10 スターチャンネル)