北村匠海、初監督映画「世界征服やめた」は「好き放題やりました!」 萩原利久&藤堂日向が驚きの演出法を明かす
2024年10月28日 13:30
本作は、2011年6月23日に不慮の事故でこの世を去ったポエトリーラッパー「不可思議/wonderboy」の代表曲の1つ「世界征服やめた」に強く影響を受けた北村が脚本を書き下ろし、自らメガホンをとった短編映画。初めて映画監督として舞台挨拶に臨んだ北村は、「緊張すると思ったけれど、すべてが初めての彼(藤堂)がいるので緊張する間もなく、彼を慰めて今ここにいます」と笑顔を浮かべた。
「(楽曲『世界征服やめた』には)高校の時に出会って、漠然と『不可思議/wonderboy』さんから頂いたものを形にしなければと勝手に責任感を背負っていて、逃げてはダメだと思いながら向き合いました。僕自身、これまで映画と音楽に救われる瞬間が沢山あったので、それが今回複合的に作品になったと思います。音楽映画ではないけれど、『不可思議/wonderboy』さんから頂いた感情を具現化しました。自分で決めたテーマだからこそ楽しく、かつ難産でもありました」と製作の過程を振り返った。
北村が本作の企画を立ち上げたのは21年頃で、プライベートでも親交が深い萩原は、「役者として出会って友達になって、これまで色々な匠海を見てきたつもりだけれど、脚本を読んだ時に全然知らない匠海を突きつけられた気がした。これは僕に対しての当て書きだとも思ったし、体の内側まで匠海に見られているような気がした。それくらいの衝撃がありました」とコメント。藤堂も「日向で書きたいものがある、と言われてその時は冗談だと思った。だから正式にオファーがあった時はビックリ。でも脚本を読んだ時に北村匠海らしさが出ていると思った」と感想を語った。
北村はキャスティングについて、「本も書いていない段階で、日向が持っている役者をしたいという渇望を撮りたいと思っていました。脚本を書く中でキャラクターの中に自分がどんどん出てきて、自分と同じ感覚や役者的な感覚の近い人は誰かと考えた時に利久しかいないと思った。正式にオファーしていない段階で、途中から2人に当て書きをしていました」と明かす。
さらに、「よく監督から『出会った時にもう大丈夫だと思った』と言われたりすると『まだ芝居も見ていないのに、嘘つけ!』と思っていたけれど、今回の本読みの際にその感覚が訪れた。役者が揃うって凄い!と思った」と胸を張った。
萩原は北村の演出について「コミュニケーションが円滑過ぎて言葉を交わしていない。それは匠海がプレイヤーとしてやっているからなのが大きくて、今まで感じたことのない感覚だった」と俳優同士だからこその阿吽の呼吸があったという。クランクインの日には「部屋のシーンを撮る際に『ここで生きて!』とだけ言われた」ことを明かした。藤堂は「役柄について相談したら『悲しみ痛み悔しさをひっくるめた涼しさを持って』と言われた」と振り返り、「抽象的な言葉だったのかもしれないけれど、それは役者サイドに寄り添ってのアドバイスだった。実際にそれが足掛かりになって本を理解する事が出来た」と感謝した。
北村は監督業を振り返り、「2人と普段とは違う立ち位置での関わり方が出来たのが嬉しかった。今回は監督として頑張ろうではなく、役者兼監督として2人に寄り添うにはどうしたらいいのかを考えた」と述懐。「撮影であまりにもカメラを長く回すものだから、30分想定の脚本が51分の作品になった。2人の空気感が良過ぎて編集で切れなかった。好き放題やりました!」と充実した表情を見せた。
萩原はそんな北村に対し、「10年後20年後に匠海がどうなっているのか気になる。脚本を読んだら『あれ?これ書いているの匠海じゃん!』みたいに、役者の匠海だけではない、新たな肩書の匠海に出会ってみたい」と期待。北村は次回作の構想を練っていることを明かすとともに、「助監督になって、エキストラの皆さんに芝居を付けたりしたい。自分企画の番組を作って、2人に日本一周の自転車旅をさせたい。なんでも浮かぶ。でもそこに必要なのは友であり、手伝ってくれる方々との出会い。今回の映画も『スクロール』で出会ったスタッフさんたちがいなければ、ここまでのいい現場で作ることは出来なかったので、そこはこれからも大事にしていきたい」と今後の展望を語った。
映画「世界征服やめた」は、25年2月よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。
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