菅田将暉、黒沢清流の“狩りゲーム”に怯える「監督は怖いシーンになると笑みがこぼれていた」
2024年9月10日 20:45

黒沢清監督作「Cloud クラウド」のジャパンプレミアイベントが9月10日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、主演の菅田将暉、共演の古川琴音、奥平大兼、岡山天音、荒川良々、窪田正孝、黒沢監督が来場した。
本作は“誰もが標的になりうる”日常と隣り合わせの恐怖を描いたサスペンス・スリラー。“転売ヤー”の主人公・吉井が、ネット社会に知らず知らずのうちにバラまいた憎悪によって生まれた “集団狂気”が、実体をもった匿名の集団へと姿を変え、吉井を標的とした“狩りゲーム”がはじまる……という物語だ。

本作は第81回ベネチア国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門でワールドプレミア上映、そしてトロント国際映画祭のセンターピース部門でも上映された。
トロントから戻ってきたばかりだという黒沢監督は、この上映を振り返り「皆さん、熱心に観ていただけたと思います」と手応えをつかんでいる様子で、「映画祭ってけっこう途中で出ていく人が多いんですよ。それは失礼だなと思いますが、きっと次の事情があるのでしょう。だからバタバタ立ち去っていくのは覚悟していましたが、ベネチアもトロントもまったく誰も出ていかなかったですね」とコメント。そして「ただトロントで、後半のとてもいいところがあって。そこでひとりのおじさんが出て行ったのがものすごく気になって。なんでここで出ていったんだろうと思ったんですが、1分くらいであわてて戻ってきました。トイレだったようで、ホッとしました」と冗談めかして話していた。

さらに「ベネチアでは皆さん、固唾(かたず)をのんで見守るという感じでしたが、トロントではけっこう笑う人もいらっしゃいました。けっしておかしいことを狙ったわけではないですが、ここで笑うのかというところは意表をつかれたところなので。だから皆さんも笑って大丈夫ですよ」と報告した黒沢監督。その様子を見た菅田も「監督には、さっきどんな反応でしたと聞いたんですが、それを語ってる監督がなんだかうれしそうだったので。それがうれしいです」としみじみ付け加えた。
「今回はほとんど主要な方が初めての方ばかりなので。どういう現場になるのか予想できなくて、最初は不安もあったんですが、はじまってみると皆さん協力的というか。僕のつたない指示に従っていただいて、何のストレスもなく進めたなと。感謝しかありません」と振り返った黒沢監督。その中でも窪田が印象深かったようで、「テレビとか映画では物静かな印象があったんですが、こんなに陽気な方なのかと。どんなに悲惨なシーンでも、終わった瞬間に本当に楽しい現場になるというので。どの現場に窪田さんがいてほしいなと思っておりました」と語るひと幕もあった。

また「毎日が楽しかったです」という菅田も、「スタッフさんも生き生きしている印象で。監督よりもむしろスタッフさんの方が頑張っているというような感じで。それはあまり観たことがなかったというか。皆さんが楽しそうでした」と現場の様子を述懐。またネット社会で“狩りゲーム”の標的となってしまうという役柄に「怖かった」と振り返った。
すると、窪田が「監督ニヤニヤしてたよね」とコメント。その言葉に菅田も「監督、怖いシーンになると笑みがこぼれるという。それが印象的でしたね」と述懐。だが黒沢監督自身は、「身に覚えがない。真面目に仕事をしていただけなんですが……」と首をかしげてみせて、会場を笑わせた。

また古川は、黒沢監督の独特な指示が印象的だったという。
撮影に入る前のカメラテストの際に「監督からシチュエーションをいただいて、カメラ前でやってみるということをやったんですが、窓ぎわにたたずんで、怒っているようにも見えるし、泣いてるようにも見えるし、笑っているようにも見えるような表情でたたずんでくださいという指示があって。すごい難しいし、試されてるし、これで『やっぱ秋子違うわ』と思われたらどうしようというプレッシャーがありましたが、でもその言葉がヒントになって。結局、言葉では言い表せないんですが、そういうものを蓄積させてつくっていきました」と明かした。
その証言に驚いた顔を見せた菅田は、「僕もカメラテストはやりましたが、そんなあいまいで、具体的な指示があったとは思ってなかったので。すごいな。ちょっといいなと思いましたね」と語った。
「Cloud クラウド」は、9月27日より全国公開。
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