「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」応援上映に古賀豪監督感激「僕が応援されているようで力をもらった」【ひろしまアニメーションシーズン2024】
2024年8月16日 20:27
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広島市で開催中のアニメーション芸術の祭典「ひろしまアニメーションシーズン2024(HAS)」で8月16日、「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」応援上映が実施され、デコレーションが施されたうちわやサイリウムなどを持参したファンが思い思いの形で参加。上映後には古賀豪監督によるトークが行われた。
漫画家・水木しげるの生誕100周年記念作品で、2018~20年に放送されたテレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」第6期をベースに、シリーズの原点である目玉おやじの過去と鬼太郎誕生にまつわる物語。昭和31年。鬼太郎の父であるかつての目玉おやじは、行方不明の妻を捜して哭倉村へやって来る。その村は、日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族が支配していた。血液銀行に勤める水木は、一族の当主の死の弔いを建前に密命を背負って村を訪れ、鬼太郎の父と出会う。
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上映が始まるや否や、「広島ありがとう!」「東映ありがとう!」「水木先生ありがとう!」と客席から喜びの声が上がる。とりわけ、主人公の水木が登場した瞬間は「かっこいいーーー!!!」と大歓声。その後は、様々なシーン、登場人物に対して掛け声や突っ込みが繰り広げられる。田園風景ではサイリウムの色を緑に変えたりと、場面場面によって観客が新たな上映環境を作り上げ、「ゲ謎」の世界を盛り上げた。
上映後に登壇した古賀監督は、開口一番「初めて応援上映を見せていただきましたが、僕が応援されているようで力をもらいました」と感激の様子。初の応援上映の参加を喜んだ。
口コミでヒットを記録した本作。「公開から徐々に100館以上に増えて、ひとえにお客さんのおかげ。作っているときは、周りの大人たちは……結構厳しいだろうと言われていました」と明かす。大人向けの作品を作るにあたり、水木しげる氏の著作を読み返し「水木先生の人生がテーマ性を持っていると思った。悲惨な戦争から戻って戦後に妖怪研究をされたのも、意味がある。そんな水木先生(人生の)要素も入れた」と語る。
物語の舞台を昭和31年にした理由について「高度経済成長が始まった年。あの時代は良い時代と言われるが、僕は懐疑心があったし、あの時代を知っている人も、そういうものに酔っていいのだろうか?と思っていた」と言い、「戦後米軍が来た時、多くの食料があると言われていたのにたくさんの餓死者が出て、その時にちょろまかされた原資が高度経済成長期に使われた。そしてバブルが来て、また落ち込んだときにあの頃は良かった……というのは違うと思う」と自身の考えを述べる。
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そして、「近代以降の日本では弱者を踏みつけてきた。近代以前はすべてのものに魂が宿っていると考えられていたのに……黒船が来て、魂に対する恐れが無くなって、人の命まで尊重しなくなった。人間をリソースとしか考えなくなって、その精神性は今でも続いている。そして、今、踏みつけられた人が狂骨になって復讐されている。そんなことも考えた」と作品に込めたメッセージを語り、「水木先生も“妖怪=魂”と声高には言わないけれど、“すべてのものに魂を見る”そういう考えがあったのかも」と推察する。
当時の文化風習を描くにあたり、「もともとレトロが好き。昭和30年代は映画の黄金期なので、改めてその時代の映画を見たり、服装に関しては東映本社の衣装部にあの時代の衣装を用意してきてもらって、モデルさんに着てもらって写真を撮った」といい、「古い日本の歴史書には大鏡や吾妻鏡という名がついていますが、この作品も1930年代を描きながらも、2020年代の今を映す鏡としている。あの時から同じ過ちを繰り返しているということを織り込んでいる」と古い時代を描きながらもテーマに現代性を持たせた。
劇中の女性の描き方や、水木と沙代の関係については、女性スタッフにも相談しながら作っていったという。「男の発想だと、沙代に興味を抱かないのが悪いかな?と思ってしまう。でも、それは違うと。昔の映画だったら男女が恋愛関係になるが、それはもう古く、一人の人間同士として描かなければと思った。これからそうなっていかなければいけないと思った」と述懐した。
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声優に対しての演出は、「どろどろしてリアルな話なので、リアルにと依頼した。水木役の木内秀信さんとは、『もっとこんな感じ』と膝詰めで芝居を作っていき、水木が出来上がったら、他の役者さんは感が良いのでうまくいった」と振り返る。
また、今回は身体全体で音を楽しむ音響システム「boidsound」での上映となった。本作の音や音楽面でのこだわりを「アニメは音で説明することも多いので(音響)効果さんが頑張ってくれた。また、川井憲次さんの音楽が素晴らしかった。(応援上映という)こういう楽しみ方があるんだと驚きました」と感想を述べる。
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主人公の水木の魅力を問われると「男の悪さがなまなましく、あの時代にきれいごとを言わずにもがいて生きていたところかな。水木先生も巨匠になっても弱者の側に立っていた。僕も含めて、みんな弱者側にあると思っていると思う。その中で一生懸命生きている男の魅力だと思う」「嘘をついたほうがいいところで嘘をつけない」とキャラクターの性格を分析。また、水木と鬼太郎の父はホームズとワトソンのような関係を当初構想したが、設定上うまくいかなかったため断念したという逸話も披露した。
そして、本作が広島で上映されたことについての感想を求められると「広島で起きたことは忘れてはいけないし、誰もがそう思っているはずです。しかし、世の中で大きなうねりがあると途端に忘れられてしまう。忘れないようにはメッセージが陳腐化しないことが大事」と、本映画祭など、文化を通じて発信することの重要性に力を込めた。
「ひろしまアニメーションシーズン2024」は、8月18日まで開催。全プログラム、チケット詳細は公式HP(https://animation.hiroshimafest.org/schedule/)で告知している。1日券は3000円。1回券は1200円。そのほか全プログラム券や、大学生、高・中学生料金あり。
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