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【「デューン 砂の惑星 PART2」評論】ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品のテーマである<命の等価交換>を投影した決闘場面

2024年3月16日 16:00

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「デューン 砂の惑星 PART2」は公開中
「デューン 砂の惑星 PART2」は公開中
(C)2023 Legendary and Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

デューン 砂の惑星PART2」(2024)は、IMAX撮影による映像を観客が体感するような作品になっている。映像表現を演出の主軸に置くことで、説明的な台詞だけでなく、言葉そのものを劇中から極力削いでいることが窺える。その演出に対する哲学は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品における映像表現を豊潤にさせている一因なのだ。例えば「ブレードランナー2049」 (2017)では、主人公を演じるライアン・ゴズリングの台詞を削ぐことで、寡黙さを課していた。思い返せば、リドリー・スコットが監督した「ブレードランナー」(1982)は、難解だという映画会社の判断から、初公開時にはモノローグが付け加えられたという経緯があった。この要請に不満を抱いていたリドリー・スコットは、後に「最終版」や「ファイナル・カット版」でモノローグを全てカット。つまり、台詞で多くを語らないヴィルヌーヴの演出は、リドリー・スコットが意図したオリジナルの「ブレードランナー」と親和性があったというわけなのだ。今作においても、台詞を削ぎ、映像で表現するというヴィルヌーヴの姿勢は顕著で、自身の作品について「対話場面には興味がない」とまで発言している。彼にとって、映画が観客をスクリーンに惹きつける重要な要素は言葉ではなく、映像と音響なのである。

一方で、「メッセージ」(2016)以降、「ブレードランナー2049」「DUNE デューン 砂の惑星」(2021)を手掛けてきたため、ドゥニ・ヴィルヌーヴにはSF作品を手掛ける映画監督だというイメージが定着した感もある。しかし、ヴィルヌーヴが魅せられているのはSFという<ジャンル>ではなく、むしろ<テーマ>の方にあるようなのだ。前作「DUNE デューン 砂の惑星」のクライマックスは、決闘場面だった。ポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ)にとっては<死>を意識する場面であり、他人の<死>と引き換えに己の<生>を得る「どちらかが死ぬまで戦う」という場面。この<命の等価交換>のようなものは、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品に欠かせないモチーフなのである。例えば、交通事故で<死>を意識した女性が、新たな命を宿す決意をする長編デビュー作「AUGUST 32nd ON EARTH」(1998)や、娘を誘拐した容疑者を監禁する父親の凶行を描いた「プリズナーズ」(2013)。或いは、遺言に従って父親と兄を探す双子の姉弟の旅路を描いた「灼熱の魂」(2010)の衝撃的な結末も、<命の等価交換>を示していた。

つまり、「デューン 砂の惑星PART2」の終幕が、再び決闘場面でなければならない理由も同様なのだ。そう考えると、デヴィッド・リンチ版の「砂の惑星」(1984)でカイル・マクラクランとスティングが対決するくだりと、今作の同場面とでは“決闘”の本質が異なって見えてくる。奇しくも本国アメリカでは、大統領選におけるスーパーチューズデーの真っ最中。現実社会における実際の政治的闘争は、アメリカの観客にとってフィクションとノンフィクションとの境界線を曖昧にさせている感もある。加えてロシアでは、アレクセイ・ナワリヌイ氏の“疑惑の死”によって、間もなく大統領選を控えるウラジミール・プーチン大統領の独裁が最終形態を迎えようとしているという不穏な現実もある。そもそも“メランジ”と呼ばれる香料を石油に置き換えることで、天然資源の利権を奪い合うという地政学的な闘争とも付合する。それは、フランク・ハーバートが生み出した「デューン」シリーズの予言めいたSF設定に対して、わたしたちが不思議とリアリティを覚えてしまう由縁なのだろう。

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