安蘭けい&浦井健治が豪華共演陣と「カム フロム アウェイ」で届ける慈愛と希望のハーモニー!【若林ゆり 舞台.com】
2024年3月8日 15:00
世界史上でも類を見ない悲劇、9.11(世界同時多発テロ事件)の衝撃は、計り知れないものだった。しかしその裏側では、人と人との心が触れあうさまざまなドラマが生まれ、傷ついた人の心を癒していたのもまた事実。「カム フロム アウェイ」は9.11の翌日から5日間に、実際に起こったドラマをブロードウェイでミュージカル化した作品だ。テロ事件のあおりを受けた38機の航空機を、カナダのニューファンドランド島ガンダーの空港が受け入れたことで生まれる、訪問者と住民たちの混乱、困惑。そしてその先に見えたものとは?
たった12人の出演者が100人近い登場人物を演じ分け、100分の間に多彩な、濃密なドラマが交錯する。人種や立場の違いを乗り越えたやさしさと希望の物語は観客の胸を打ち、トニー賞7部門でノミネートされ、演出賞を受賞。Apple TV+で舞台の映像化もされた。
この珠玉の名作が、日本人キャストでこの3月に上演される。挑む12人は、「よくこれだけの逸材が集まったな」と感心するほど豪華。日本のミュージカル界を代表するメンバーが勢揃いだ。そのなかから安蘭けい、浦井健治のふたりに話を聞くことができた。
まずはニューヨークでこの作品を観劇したという安蘭に、その感想を聞こう。
舞台でしか、ミュージカルでしか表現できない作品と言えるのだろうか。
浦井は、台本を読んでまず「日本でこれをやる難しさ」を感じ戸惑ったという。
全キャストは、ブロードウェイで緻密につくられたこの作品を、製作者の意図通りにそのまま演じなければならないというミッションを負っている。
どんどん腑に落ちていく過程にも、得がたい楽しみがあるのでは?
それにしても個性が豊かすぎる、濃ゆいメンバー。稽古場でどうなることかと思ったが、そういう稽古であれば、キャスト同士にも支え合いが生まれている?
宝塚ではトップスターとしてリーダーシップを発揮した安蘭も、きっと共演者から頼られる存在なのでは。
安蘭と浦井は2011年、「エディット・ピアフ」で恋人役として初共演。15年に「Chess The Musical」で、そして23年「キング・アーサー」では敵役として共演している。出会った頃といま、お互いの印象は?
今回、安蘭はテキサスから来たダイアンという女性、浦井はロサンゼルスのケビンTという会社経営者がメインの役。それぞれの役をどうとらえている?
ダイアンはいままで生きてきた道を別に後悔はしていないけど、夫と別れて息子も独り立ちして、自分の時間になったときに「新しい何かを見つけよう」と思う。そこでまた恋をする、すごく素敵な人生。ただ、タイミングが「こんな悲惨なときに出会ってしまった、私たちは幸せだけど現実は……」みたいな。人生の表裏があって、そこがまたすごいなと。一方で、ケンちゃんと(田代)万里生くんが演じるのは、これをきっかけに終わっていくカップル。そのふたつのカップルが、対比みたいになっているのね。
人種も立場も宗教も超えた愛と思いやりと希望の物語は、いまだからこそ観客の心に強く響くはず。
ブロードウェイミュージカル「カム フロム アウェイ」は3月7日~29日に東京・日生劇場で上演される。その後、4月4日~14日に大阪・SkyシアターMBSで、4月19日~21日に愛知・愛知県芸術劇場 大ホールで、4月26日~28日に福岡・久留米シティプラザで、5月3日~4日に熊本・熊本城ホール メインホールで、5月11日~12日に群馬・高崎芸術劇場 大劇場で上演の予定。詳しい情報は公式サイト(https://horipro-stage.jp/stage/comefromaway2024/)で確認できる。
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