タイカ・ワイティティ監督が明かす、マイケル・ファスベンダーの人柄 「ネクスト・ゴール・ウィンズ」を語る
2024年2月21日 17:00
タイカ・ワイティティ監督が、「ジョジョ・ラビット」の製作スタジオ、サーチライト・ピクチャーズと再びタッグを組んだ最新作「ネクスト・ゴール・ウィンズ」が、2月23日から公開される。映画.comでは、ワイティティ監督のインタビューを入手。キャストのマイケル・ファスベンダーの人柄、撮影の思い出などを語っている。
2001年、ワールドカップ予選史上最悪の0-31の大敗を喫して以来、1ゴールも決められていない米領サモアチームに、次の予選が迫っていた。破天荒な性格でアメリカを追われた鬼コーチ、トーマス・ロンゲン(マイケル・ファスベンダー)が就任し、立て直しを図るが、奇跡の1勝は挙げられるのか。
「ジョジョ・ラビット」「マイティ・ソー」シリーズのタイカ・ワイティティ監督が、世界最弱のサッカーチームがワールドカップ予選で起こした奇跡のような実話をもとに映画化。2014年に「ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦」としてドキュメンタリー映画化もされたエピソードを、ワイティティ監督独自の世界観とユーモアを交えて描き出す。
「ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル」に取り組んでいたときに、偶然このドキュメンタリーに出会いました。ポリネシアを舞台にした作品だったため、とても気に入ったのです。しばらくその思いが頭の中にあり、やがてこの作品には何かあるのだろうと感じました。
色々と聞き取りを始め、私がポスト・プロダクションの作業をしていたハワイに(製作の)マイク・ブレットとスティーブ・ジェイミソンに来てもらい、話を聞きました。とても良いものに感じられました。それから私は「ソー ラブ&サンダー」の撮影に入り、そこからの5年間はこの作品のことを考えませんでした。結局、「ソー」の後に少し休みを取り、脚本を練り上げて、キャスティングを始めたのです。前作の過程がとても長かったため、今回は出来るだけ早く動きたかったのと、自分の得意分野であるような作品をもっと手がけたかったのです。
いろいろな人を思い浮かべましたが、この映画を上回るのではなく、この映画の一部であると感じられる人物が必要でした。ですから、マイケル・ファスベンダーに声をかけたのです。ほkの俳優であれば、その人が中心の映画になってしまいます。そうすると、コミュニティについての話というより、その人の旅路のように感じられてしまいますよね。そこで、スティーブ・マックイーンのように、俳優業から離れレースカーの世界に飛び込もうとしている彼に声をかけました。彼はすでにドキュメンタリーを観ており、2人で素晴らしい会話をした後、脚本をあっという間に読み「ぜひやりたい」と言ってくれました。
撮影中は、彼はただ自分自身に溶け込んでいました。決してポスターの主役になりたがらず、常に作品の一部でした。それが彼という人なのです。ハリウッドのパーティーにも行かず、くだらないことに付き合っている暇もない、誠実な人です。
ジャイヤを見つけることがおそらく一番難しいことでした。真のファファフィネである人をキャスティングすることがとても大事でした。ファファフィネは何千年も続く文化の一部であり、我々は西洋人が理解するようなレッテルを貼りたくありませんでした。簡素化することでその本質は薄まってしまいます。ファファフィネの意味を説明することは私の仕事ではありませんし、サモアや太平洋諸島の仕事でもありません。さらに、運動神経が良くて、サッカーができる人物でなければなりませんでした。その条件をすべて満たしたカイマナを起用できたのは幸運なことでした。彼女を見つけられたなんて、今でも信じられない気持ちです。
この関係性は、私にとって大事なものでした。父娘の関係性という点で、トーマスのキャラクターにとって望ましい糸口となるからです。マイケルとカイマナは完璧にこなしましたが、同時にそれが映画の他の部分を曇らせてしまうことも避けたいと思っていました。もしハリウッドなら、そのことだけが中心に描かれてしまい、チームについてはほとんど目立たなくなってしまったでしょう。メッセージが突如として乱雑になるのは私のスタイルではありません。
ニュージーランドのサモア人コミュニティはとても大きく、強くて活気にあふれています。私はマオリ人ですが、私たちは多くのことを共有していると思います。近い関係性にあるだけでなく、話す言語もとても似ています。子どもの頃、サモアのコミュニティを見ながら、文化の美しさや家族的な儀式を知り、とても素晴らしいものだと感じました。この物語全体がサモアの人々の話ですし、ニュージーランドにいる私の仲間の多くは、この20数年間一緒に仕事をしてきたサモア人の俳優たちです。また彼らと一緒に仕事ができるのはいい機会ですし、脚本を書いている段階から、誰をキャスティングするかを考えていました。
いろいろな意味で、これらの物語は私にとってさらに大切なものです。それが原点ですし、この種の物語は私の幸せな場所であるという気がします。
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