アカデミー賞5部門ノミネート「落下の解剖学」仏が注目する若手俳優ミロ・マシャド・グラネール 愛らしくも憂いのある表情をとらえた場面写真披露
2024年1月24日 15:00
第76回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールに輝き、第81回ゴールデン・グローブ賞で脚本賞と非英語作品賞を受賞、第96回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされた話題作「落下の解剖学」の新たな場面写真を映画.comが独占入手した。殺人現場に居合わせてしまった視覚障がいをもつ11歳の少年を演じたミロ・マシャド・グラネールの憂いを帯びた表情がとらえられている。
人里離れた雪山の山荘で、男が転落死した。はじめは事故と思われたが、次第にベストセラー作家である妻サンドラに殺人容疑が向けられる。現場に居合わせたのは、視覚障がいがある11歳の息子だけ。事件の真相を追っていく中で、夫婦の秘密や嘘が暴露され、登場人物の数だけ〈真実〉が現れる。
監督は、長編映画4作品目となるジュスティーヌ・トリエ。主人公サンドラ役は「ありがとう、トニ・エルドマン」「希望の灯り」などで知られるザンドラ・ヒュラーが演じ、作家としての知的なポーカーフェイスの下で、底なしの冷酷さと自我を爆発させる圧巻の演技で高い評価を得た。本作は、本国フランスで動員130万人超えの大ヒットを記録。パルムドールを獲得したカンヌ国際映画祭で審査員長を務めたリューベン・オストルンド監督は、本作について「強烈な体験だった」と称賛している。
夫の殺人容疑をかけたられたサンドラの息子ダニエルを演じたのは、若手俳優のミロ・マシャド・グラネール。TVドラマシリーズ「En therapie」(21~)で俳優デビューし、オリビエ・ブルドーの小説「ボージャングルを待ちながら」を映画化した「En attendant Bojangles」、「ヒューマニティ通り8番地」などにも出演し、フランスで注目を集めている。
本作では、過去の事故が原因で視覚障がいを持ちながらも、愛する母の裁判の行方を左右する唯一の証人になってしまった難役に挑戦。演技派として名高いヒュラーを前に、堂々と演じ切った。
トリエ監督はグラネールが演じたダニエル役について、「この役のキャスティングにはとても時間がかかりました。視覚障がいのある子役俳優を4ヶ月間探しましたが、見つからなかったのです」と明かす。視覚障がいのない子役俳優にも対象を広げ、さらに3カ月を費やし、グラネールと出会ったというトリエ監督は、「(グラネールは)とても才能豊かな子で、知的能力も感情能力も並外れている。そしてどこか、もの悲しそうな表情も持ち合わせています」とその存在感を絶賛する。
グラネールは、一番難しかったことは役柄の心情を探ることだったと語る。「撮影の3カ月前からジュスティーヌ(・トリエ監督)と演技指導のシンシアと準備していたんだけど、毎回『そうね、とてもいいわ、でもどんな心情か探ってほしいの』って言われたよ。とても微妙なところを探っている感じだったからすごく大変だったし、何度も撮り直した。でも最終的には、いい演技だったよね」と、無邪気な一面をのぞかせながら撮影を振り返った。
トリエ監督は「彼のような子と一緒に仕事をするのは、私にとってもとても大きな発見があり、ザンドラ・ヒュラーのような人とは全く違った」と話す。「とにかくとても面白くて、私もシンシアと一緒に演技指導をしたけれど、撮影の最後の方には彼はザンドラとほぼ同じ話し方をするようになっていて、とても驚いたの」とグラネールの成長ぶりを称えた。
場面写真には、本作のために特訓したというピアノのレッスンシーンのほか、大人たちに交じって母の裁判を傍聴する様子や、唯一の証人として母のために証言台に立つ場面などが切り取られ、愛らしい姿と憂いを帯びた表情が印象的なカットとなっている。
「落下の解剖学」は2月23日からTOHOシネマズ シャンテ他で全国順次公開。
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