ウッディ・アレン監督×大ファン・太田光の対談が実現! 太田の映画づくりの夢にエール
2024年1月19日 09:00

ウッディ・アレン監督のロマンティックコメディ「サン・セバスチャンへ、ようこそ」(公開中)に合わせ、アレン監督のファンである太田光(「爆笑問題」)と、アレン監督の対談が実現し、映像がお披露目された。
物語の主人公は、かつて大学で映画を教えていたが、いまは人生初の小説の執筆に取り組んでいる熟年のニューヨーカー、モート・リフキン(ウォーレス・ショーン)。彼は、映画業界のプレスエージェントである妻スー(ジーナ・ガーション)に同行し、スペインの街サン・セバスチャンの映画祭に参加する。しかし、スーとフランス人著名監督フィリップ(ルイ・ガレル)の浮気を疑うモートは、ストレスに苛まれ、現地の診療所に赴くはめに。そこでモートは、人柄も容姿も魅力的な医師ジョー(エレナ・アナヤ)とめぐり合う。

アレン監督作を長年鑑賞する太田は、20年以上前にニューヨークのクラブで、ジャズ奏者でもあるアレン監督がクラリネットを吹いているときに、少しだけ挨拶を交わしたことがあるという。その時は緊張のあまり、一瞬の挨拶で終わってしまったというが、このほど念願の初対談が実現した。
緊張した面持ちの太田は、アレン監督と初めて会った時の思い出を振り返りながら、「その時から監督はヒーロー。自分は映画をいずれ撮りたいと思っているが、スタンダップコメディを続けていて、監督はさらにみずみずしい映画を撮り続けていて。ちっとも僕と監督との関係が変わらないということに、不甲斐なくもあり、監督の偉大さを改めて感じ、いまこうやって話すことができて光栄です!」と語る。アレン監督は、「自分に正直に進めばスタンダップコメディであれ映画であれ文学であれ、ついてきてくれる人はいる。執着して、ふがいなさも糧にして進んでいくことが大事でしょうね」と、含蓄のある言葉で返答した。

太田は、「ウッディ監督自身を投影した主人公モートが、トリュフォー、ゴダールらと比べて、ああいう天才になれないとしきりに言っているのを見ていると、僕にとって監督は彼らと並ぶ映画史に残る監督なのですが、監督はそれでもまだ自分の居場所に対して、満足していないという気持ちがあるんでしょうか」と質問すると、アレン監督は「映画など表現芸術の世界の人間なら、自分の作品に満足する人ことはないと思う」と明かす。

続けて太田が、主人公が居心地の良い場所や逃げ場所を探し続けていることに対して、「きっとその居場所は見つからないけど一生をかけて探し続けるんだ、という監督自身のメッセージを感じています。自分は、日本のテレビでは成功している方だと思うが、それでも映画のひとつも作れない状態が続いていて、スケールは違うがそういう自分に、『ウッディ・アレン監督がそうなら自分はそれでもしょうがないのかな』と、いつも新作を見るたびに勇気づけられています」と思いを伝えると、アレン監督は以下のように、映画づくりの信念を語る。
アレン監督「取り組み続けていればいつか映画を作る機会は訪れると思います。映画作りは運や環境を要しますよね。でもやるぞという執着心や信念が一番大切です。おっしゃった通りこの世の中は色々な辛い状況がありますが、人生をかけて自分の想像というものを芸術的に到達したものに完成させること、この世の中の文明、その一部に貢献すること、あるいは人々を楽しませ痛みを和らげること、そうしたゴールを掲げて進むのは人生をかける価値がある。それが、私がしていることで、きっと太田さんのコメディもそうですよね。取り組み続ければ映画を作る機会もいつか訪れると思いますよ」

話題は、劇中のルイス・ブニュエル監督作「皆殺しの天使」のオマージュシーンへ。太田が、「あれほど滑稽に、共感を持って、感情のさじ加減も絶妙で描けるのは、やはりウッディ監督のオリジナルとして映画シーンに残る名シーンだと思います」と賛辞を送ると、アレン監督は「私はファンタジーに撮ったが、すべての賛辞はブニュエルにいくべきだと思う」と、自身を形成した名匠にリスペクトを込めて答える。
さらに太田は、「このレベルを保ちながら息をするように映画を撮れる人。元々の才能が違うのでしょうか」と質問。アレン監督は、「とにかく書く作業が好きでずっと書いているんですよ。なぜ映画を撮り始めたかというと、脚本を他の監督に渡すと、考えていたものと違う映画になるので、脚本を守るためというのが正しいかもしれません。他の監督に依頼するときは本当に共感してくれる人だけです。アイディアがどんどん浮かんでくるので書き続け、書くこと作ることを楽しんでいます。そもそもお金を稼ぐとか賞を獲るためではなく、ただ楽しいからやっているということですよね。自分でやっていることを他の人にコントロールされたくない。例えばお金を出したからって後ろから指示されるのって嫌ですよね。だから自分で責任を持つ。吉と出るか凶と出るかは自分次第。太田さんはまだ若いですから、これからこうした経験をされると思いますよ」と、エールを送る。
最後に太田が、「いまも自分がコメディアンだという自覚はありますか?」と尋ねると、「以前のようにキャバレーでスタンダップコメディはしていませんが、いまでもコメディアンだと思っている」と答えたアレン監督。太田は「とっても勇気づけられました」と感謝を伝え、対談は笑顔で終了した。
(C)2020 Mediaproduccion S.L.U., Gravier Productions, Inc. & Wildside S.r.L.
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