【「シャクラ」評論】タフな時代を生き抜け。ドニー・イェンの熱いエールが漲る快作!
2024年1月7日 19:00

ドニー・イェンが最新作に選んだ題材は、中華圏で広く愛されている金庸の武侠小説「天龍八部」だ。11世紀末の中国大陸を舞台に、大理国王子の段誉(チャオ・ファウェイ)、宋の丐幇の幇主である喬峯、少林寺で修行するも戒律を破った虚竹、大燕国の復興を企む慕容復(ウー・ユエ)、我が道を突き進む4人の武芸者を主人公とする大長編である。
先代からの確執と民族間の諍いが複雑に絡み合い苛酷な運命が待ち受ける。登場人物も数多く、舞台となる場所も広範囲に及ぶ。映画化は困難と言われた小説に武侠映画のイノベーター、ドニー・イェンが挑む。
製作、監督、主演を務めるドニーが演じるのは、契丹人でありながら漢人として育てられた喬峯。少年時代に少林寺の玄苦大師(ツァオ・シーピン)に師事し、幇主となって宋の民を守護するまでに成長した陰翳深い英雄である。
11世紀、外圧が迫り恩讐が渦巻く宋。吐蕃国の鳩摩智(チョイ・シウミン)は、姑蘇の慕容博(レイ・ロイ)への供え物として大理国の段誉を密かに護送する。旅籠旅籠で一行を待ち受けていた喬峯は、義兄弟の契りを結ぶ段誉の救出に成功する。
義に厚く誰よりも勇敢、武芸にも秀でた彼は誰からも慕われる男。だが、「喬峯が副幇主の馬大元(イム・ワー)を殺した」と妻の康敏(グレース・ウォン)が訴え、一通の手紙を執法長老(ドー・ユーミン)に渡す。そこには本人も知らない契丹人という出自が記されていた。更に育ての親、少林寺の師匠が何者かに襲われ、現場にいた彼に殺人容疑が降りかかる。“異民族の極悪人”の烙印を押され、長老や仲間、少林寺の僧らが瞬時に敵となる。四面楚歌に追い込まれた喬峯だが、自らが繰り出した大金剛拳によって瀕死の状態に陥った阿朱(チェン・ユーチー)を救うために、謀殺の気勢を上げる猛者が集結している聚賢荘へと向かう。絶体絶命の窮地に喬峯はどう立ち向かうのか…。
開巻直後の鳩摩智との手合わせで喬峯と周辺人物の関係性を紐解くや、謀反人扱いされた正義漢の奮闘が猛スピードで綴られていく。陰謀渦巻く中、傷つきながらも超絶回復力でひたすら突進する様は痛快の極み。弱き者と同胞は傷つけず、我を信じてくれるただ一人の女性を守り抜く。
「あなたの出自は関係ない」、喬峯を慕う阿朱は何度も繰り返す。その言葉にドニーが作品に込めた想いが滲む。人と人には隔たりはない。愛、仁義、友情、家族愛。義を重んじて突き進む喬峯の姿には、生きることがタフな時代を共にする観客への熱いエールが漲る。
盟友、谷垣健治は「原作にはまだまだ続きがあり、続編を期待させるラストにしている。ドニーは中国版MCUという位置づけで考えていた。彼自身、喬峯というキャラにかなり思い入れがあり、現場も充実していた。またその勇姿が観られる機会があるかも」とコメントしている。剣術、打狗棒、そして武林最強の「降龍十八掌」を駆使した武侠アクションの新次元「シャクラ」は、ドニー・イェンが構想する中華圏を舞台とする壮大な絵巻の始まりを告げる快作である。
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