【独占】ヴィム・ヴェンダース「PERFECT DAYS」製作直後に語るロングインタビュー動画「フィクションか、ドキュメンタリーか」
2023年12月11日 18:00
第76回カンヌ国際映画祭で役所広司が最優秀男優賞を受賞、米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表選出も決定した名匠ヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」(12月22日公開)。このほど、製作直後にヴェンダースのオフィス「ROAD MOVIES」で収録され、「フィクションか、ドキュメンタリーか」と題したインタビュー映像(https://youtu.be/ZKLu0UnH1ts)を映画.comが入手した。
映画はヴェンダースが、長年リスペクトしてやまない役所を主演に迎え、日本の公共トイレのなかに small sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)を見出し、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に紡いだ物語。
当初15分程度を予定していたインタビューは徐々に熱を帯び、映画がどのように生まれたか、シナリオづくりのときに何をイメージしていたか、一緒に製作していたチームにも、演じる役所にも伝えなかった思いを、ヴェンダースはゆっくりと告白するように語り、溢れ出した言葉は1時間半にも及んだ。その貴重な影像を共同脚本の高崎卓馬がテーマごとにまとめ、6本の映像とした。
このほど映画.comが入手したのは「フィクションか、ドキュメンタリーか」というテーマでまとめられた映像だ。ヴェンダースは、まず「『PERFECT DAYS』 に関して言えば、どういうわけか、フィクションの物語を語っているのか、それともドキュメンタリーなのか、わからないところがありました。私たちは、どう考えてもドキュメンタリー映画として撮りました。つまり、撮影プロセスがドキュメンタリー映画の制作と同じだった、ということです」と振り返る。
そして本作を「ドキュメンタリーとフィクションの素晴らしい取り合わせになりました。キャラクターはフィクションです。平山の存在はフィクションです。けれども、彼のルーティーンを撮影するやり方は、どんどんドキュメンタリー的になっていきました。なぜなら、彼が彼自身のやっていること、何故やっているのかをより理解するようになっていったからです。私から彼に説明する必要はありませんでした。むしろ、彼の方から見せてくれたんです」とフィクションを撮影している間に起こる、ドキュメンタリーのような奇跡的な瞬間について具体的に解説する。
その後、話題は大ヒットした音楽ドキュメント「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のエピソードまで広がり、ヴェンダースが考える、フィクションとドキュメンタリーに共通するもの、それぞれはっきりと分けることができないものの“美しさ”について知ることができる。このインタビュー映像は、他の5本と合わせて見ることで、映画の授業のような学びを得ることができ、本作をより深く楽しめる構成となっている。
本動画を含めたヴェンダース監督のロング・インタビュー全6本は12月22日に、mountが企画・制作した公式サイトに掲載が予定されている。同サイトには、主人公平山の「映画にはならなかった日々」の353日をDAYS OF HIRAYAMAというオリジナルコンテンツとして展開。触れるたびに表情を変える不思議な「スクロール・ブック」と合わせて、主人公平山の世界を存分に感じることができる遊び心あふれた仕様となっている。
「PERFECT DAYS」は、TOHOシネマズ シャンテをメイン館として12月22日から全国公開。
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