【「リアリティ」評論】再び大統領選シーズンを迎える米国にうってつけの映画
2023年11月26日 22:00

2017年5月、新たに選出されたトランプ大統領は、ロシア政府とトランプ大統領の2016年大統領選挙キャンペーンとの共謀に関する捜査を妨害するために、ジェームズ・コミーFBI長官を解任した。そして、国家安全保障局の請負業者のオフィスから、このニュースを見ていたスタッフがいた。
2023年、第73回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門に出品された「リアリティ」はここから始まる。1カ月後、FBI捜査官が、非営利新聞「インターセプト」に機密書類を郵送した元米空軍所属のリアリティ・ウィナー(シドニー・スウィーニー)を私道で待ち受け、ガリック捜査官(ジョッシュ・ハミルトン)がテープレコーダーを出し、彼女の自宅の庭で尋問する。そのテープ録音そのものが本作の脚本となる。さらに捜査官が到着し、令状を持って彼女を尋問しながら自宅を捜索する。実際の録音テープの断片がタイムリーにセリフの中に散りばめられ、ドキュメンタリーと劇映画のハイブリッド作品となっている。
この映画のアプローチのおかげで、FBI捜査官の1日の仕事がどのようなものかを知ることができる。また、FBIの家宅捜索の実態がどのようなものかも明かす。リアリティはFBI捜査官が知っていることを知らず、FBI捜査官は推定無罪の下で働かなければならないので、観客は傍観者として、捜査の紆余曲折を楽しむことができる。この映画は、犯罪現場を舞台にした、現実世界をベースにした法廷劇である。まるで「十二人の怒れる男」のように、市民の自由とスパイ活動が裁判にかけられるのだ。
本作は、再び大統領選シーズンを迎える米国にうってつけのドキュメンタリー作品である。トランプは、民事・刑事上の無数の罪状で出廷を続けているにもかかわらず、世論調査で支持率優位と報じられている。「リアリティ」は、憲法上の危機にある米国の選挙、そして選挙後に、トランプが米連邦政府で引き起こすであろう事態を予想するのに最適な作品である。
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