【第36回東京国際映画祭】中国の「雪豹」がグランプリ! 稲垣吾郎主演「正欲」は最優秀監督賞&観客賞の2冠!
2023年11月1日 20:19
第36回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが11月1日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、最高賞にあたる東京グランプリ/東京都知事賞は、中国の「雪豹」が受賞した。メガホンをとったペマ・ツェテン監督は5月に急逝しているが、キャストらが代理で登壇。「この賞は監督が与えてくださった賞です」と喜びを分かち合った。また観客賞および最優秀監督賞は、岸善幸監督および「正欲」が受賞。稲垣吾郎は、昨年の「窓辺にて」に続いて、2年連続で主演作が「観客賞」に輝いた。
今年のコンペ部門には、114の国と地域から1942本の応募があり、15作品が正式出品。東京グランプリを獲得した「雪豹」は、白い豹が生息するチベットの山村が舞台。若いチベット僧と豹との交流をファンタジックな設定の中に描き、人間と動物の共生の可能性を問う作品。急逝したツェテン監督に代わり、この日は出演俳優のジンパ、ション・ズーチー、ツェテン・タシ、エグゼクティブ・プロデューサーのジョウ・ハオが登壇。一様にツェテン監督がこの場にいないことを残念がったが、「監督がこのような素敵な場所に連れてきてくれました。しっかりと監督の意思をこれからも伝えていきたい」と感謝を述べていた。
審査委員長を務めたヴィム・ヴェンダース監督は「満場一致でした」と圧倒的な評価だったことを明かすと、「一部デジタル効果での映像になっておりますが、素晴らしい動物たちを見せてくれました」と称賛する。
また観客賞と最優秀監督賞に輝いたのが、岸監督が手掛けた「正欲」。稲垣は、昨年の「窓辺にて」に続き2年連続で主演作が観客賞を受賞。岸監督は「この作品に登場する人物たちは、多様性という言葉にはじかれてしまうような小さな人間たちを題材にしています」と語ると「言葉だけではなく、本当の多様性の意味を考えていただけたら」と作品に込めたメッセージを送る。さらに、「こんな素敵な賞をいただけて幸せです。主演の稲垣さんをはじめ、新垣結衣さん、磯村勇斗さん、その他のキャストみなさんに伝えたいです」と感謝。最優秀監督賞受賞については、「これからの創作活動の励みになります」と笑顔を見せていた。
ヴェンダース監督は「実力派審査員と共に今回審査委員長という立場で参加できたこと、光栄に思います」と述べると「世界中から集まった15作品、素晴らしい作品を数多く観ることができました。東京グランプリは満場一致でした。そしてオープニング作品で(ヴェンダース監督がメガホンをとった)『PERFECT DAYS』を上映する機会を与えてくださって感謝します。東京国際映画祭大好きです」と笑顔で終幕の挨拶を行った。
またこの日は、クロージング作品となる「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督、出演の神木隆之介、浜辺美波もセレモニーに参加。山崎監督は「以前は映画祭で『ゴジラ』作品が上映されていましたが、久々に今回『ゴジラ』の上映、しかもクロージングという特別な時間に観ていただけるのは光栄です」と語ると、主演の神木は「最初は『ゴジラ』という歴史ある作品に関わるプレッシャーがあったのですが、いまは皆さんに観ていただけるのが楽しみです」。浜辺も「信頼できる皆さんの胸に飛び込んで全力で頑張りました」と笑顔を見せていた。
なお、第36回東京国際映画祭のデータも発表(速報値/1日は見込み動員数)。上映動員数/上映作品数は「7万4841人/219本(10日間)」(第35回:5万9541人/174本:10日間)、上映作品における女性監督の比率(男女共同監督作品を含む)は「22.4%(219本中38本)」。
▼東京グランプリ/東京都知事賞:「雪豹」(ペマ・ツェテン監督)
▼審査員特別賞:「タタミ」(ザル・アミール/ガイ・ナッティヴ監督)
▼最優秀監督賞:岸善幸監督「正欲」
▼最優秀女優賞:ザル・アミール「タタミ」
▼最優秀男優賞:ヤスナ・ミルターマスブ「ロクサナ」
▼最優秀芸術貢献賞:「ロングショット」(ガオ・ポン監督)
▼観客賞:「正欲」(岸善幸監督)
「マリア」(メヘディ・アスガリ・アズガディ監督)
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