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田中泯、ヴィム・ヴェンダースが“踊り”をとらえた短編に「映像で見るならこれを見ていただければ」 と太鼓判

2023年10月30日 16:30

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高崎卓馬、田中泯、三宅純(2023年10月26日の上映で撮影)
高崎卓馬、田中泯、三宅純(2023年10月26日の上映で撮影)
(C)TIFF2023

第36回東京国際映画祭で、ヴィム・ヴェンダース監督がダンサーの田中泯を映した短編映画「Some Body Comes Into the Light」 が10月29日上映され、田中とともに、高崎卓馬(「PERDECT DAYS」脚本・プロデュース)、音楽家の三宅純が舞台挨拶に立った。

まずは、役所広司主演のヴェンダース監督作「PERFECT DAYS」の最終日に撮影されたという本作製作の経緯について、高崎が説明する。

「『PERFECT DAYS』は、17日間で撮影をし、驚異的なスピードでした。最後の日に、映画の核になるシーンをヴェンダース監督が撮りたいと言ってきました。通常最終日は、実景の撮影や映画全体を構成するための最後のピースを集めるのですが、それを全部なしにして、田中泯さんをどうしても撮りたいとのことで、(クルーを)用意をしました」

「ヴェンダースさんは泯さんをリスペクトされていました。『PERFECT DAYS』ではホームレス役で、セリフはないけれど精神的な役。でもベルリンでの編集中に、(最終日に撮った映像が)『入らない、入らない』とおっしゃっていて。(泯さんの存在が)強すぎたのでしょう。そしてカンヌ映画祭授賞式の後、『泯さんで短編を作りたい。そして三宅さんの音楽を』と言われて。そういった経緯です。ものすごいご褒美だと思っています」

撮影について田中は 「『この木の下で間もなく木漏れ日が来るから踊ってほしい』と言われた」と振り返る。しかし、「僕は目の前にいる方に向かって踊っていて、同じ空気、同じ時を共有しているので、それがカメラで撮影されて、上映されることには興味がないんです。全然違うんです。僕の踊りは映しても映らないよと。編集する段階で、編集者や撮影者が、順番とか、見た通りにではなくて、映されたものから踊りを再構築してほしい。そういうお願いをした」と、単純な記録として残されることは望まなかった。

本作は、映像を使って新たな田中の“踊り”を生み出している。「僕が躍った通りの踊りが再現されているわけではない。でもいい踊りです。ヴィムのダンサーとしてのセンスが、編集で出ている。映像で見るならこれを見ていただければ。そういう踊りがいくつか残ればいいなと思っています」「踊りは即興が主体なので、瞬間瞬間なんです。瞬間瞬間に責任が撮れるダンサーでいたい。長さを保証するようなことは考えていません。(編集で)逆転されようが、繰り返されようが、まったく関係ない」と、自身の踊りへのこだわりと、本作に仕上がりに満足していることを語る。

音楽を担当した三宅は、2009年に死去したピナ・バウシュのドキュメント「Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」からヴェンダース監督と親交を深めた。「(ピナ・バウシュの映画を)当初ペドロ・アルモドバルかヴィム・ヴェンダースが撮るか、という話で、ヴィムが撮ることになったようです。ピナの(舞台の)作品で使われている曲がメインになっていて、映画に音楽をつけるにあたっては、ピナの音楽監督たちに伝えたようです。そこで、(ピナ・バウシュが率いたヴッパタール舞踊団の)ダンサーたちに初めてプレゼンするための映像の試写会に呼ばれました。ダンサーたちは、自分の出番がどのくらいあるかその映像で初めてわかるので、それは緊迫するものです。そこで初めてお会いしました」とヴェンダース監督との出会いについて語った。

第36回東京国際映画祭は、11月1日まで開催。

画像2

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