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「沈黙の艦隊」Amazonスタジオが“日本の劇場用映画”を初製作! どのような展開になるのか?【コラム/細野真宏の試写室日記】

2023年9月29日 09:00

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「沈黙の艦隊」
「沈黙の艦隊」
(C)かわぐちかいじ/講談社 (C)2023 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES. All Rights Reserved.

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)


今週末9月29日(金)から「沈黙の艦隊」が公開されますが、本作で注目すべきは、Amazonスタジオが初めて製作した“日本の劇場用映画”である点です。

配給会社は東宝ですが、あくまで(配給だけを引き受ける)「受託配給」。Amazon.com傘下の映画スタジオ「Amazonスタジオ」が全額を出しているのです。

Amazonと言えば、独自の配信サービス「Amazonプライム」を持っているので、そのコンテンツの充実の一環で本作が動き出しました。

そのため、どのようなタイミングで本作が配信で見られるようになるのか、など「新たな標準」が生まれるかもしれないのです。

画像2(C)かわぐちかいじ/講談社 (C)2023 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES. All Rights Reserved.

そもそも「沈黙の艦隊」とは、1988年~1996年に「モーニング」で連載され、原子力潜水艦がメインとなる本格的な軍事モノを描いたマンガです。

そのため原作マンガでは、「ロシア」ではなく「ソ連」となっていたりします。

そして、全32巻において、作中で描かれていた時間は、わずか「2カ月」というのも大きな特徴としてあります。

画像3(C)かわぐちかいじ/講談社 (C)2023 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES. All Rights Reserved.

この映画を見ながら思ったのは、大きく言うと3点あります。

1つ目は、2022年5月公開「ハケンアニメ!」の吉野耕平監督は見事にリベンジできた、という点です。

ハケンアニメ!」は興行収入という視点からは残念な結果でしたが、やはり出来の良い作品を生み出すと他の製作陣にもキチンと届くのです。

本作は、まさにプロデューサー陣が「ハケンアニメ!」の映像表現を見て、この大作を吉野耕平監督にオファーすることになったのです。

そして、作品の出来栄えは非常に良く、映像、音楽などのバランスが絶妙。吉野耕平監督が“化けた瞬間”を目撃できると思います。

画像4(C)かわぐちかいじ/講談社 (C)2023 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES. All Rights Reserved.

2つ目は、原作が原作だけに、割と「大人向けな作品」だという点です。

これはいくつか要素がありますが、まずは「専門用語」が多いのです。

例えば、大沢たかおが演じる海江田の潜水艦は“高性能原潜”「シーバット」で、玉木宏が演じる深町の潜水艦は“海自ディーゼル艦”「たつなみ」と紹介されています。

“高性能原潜”という言葉は「高性能な原子力潜水艦」で、“海自ディーゼル艦”は「海上自衛隊のディーゼル潜水艦」を意味することなどを瞬時に判断する必要性があります。

これは、発電方法の違いがあることなどの知識が必要で、私は3.11を描いた「Fukushima 50」が頭をよぎったりもしました。

加えて「核爆弾」も重要なキーワードになるので、「原子力発電」と「原子爆弾」の違いなどがしっかりと理解できているのかも重要になります。

そして、これらの用語問題に加えて、映画の尺(113分)の問題もあり、割と「駆け足」で描かれています。

そのため、すべての事象を正確に理解するには原作マンガを読んでいるなどの予備知識が必要になるのかもしれません。

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3つ目は、「キングダム」との関連性です。

本作は、映画「キングダム」シリーズの松橋真三プロデューサーと、「キングダム」で重要な役柄である王騎を演じる大沢たかおが、「キングダム」撮影のために移動中の新幹線の中で企画を進めています。

加えて、内容が「いよいよ、ここから」という段階で終わることになっているのです。

そのため、「続編」は、必ずあると思われます。

ただ、原作のどの部分までを描くのかによって映像の長さが変わってくるので、「キングダム」のように映画としてどんどん続いていくのかもつかめない状況です。

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ここで、冒頭の「Amazonスタジオが製作」という座組が「初の試み」を生み出すかもしれません。

もちろん、普通に続編が劇場映画として製作される可能性もありますし、あるいは「本作プラスα」というくらいであれば、映画としての続編はなく、「Amazonプライム」だけで完結することも起こり得ます。

このように、本作は様々な可能性を秘めているコンテンツなのですが、それを決定づけるのに本作の興行収入が重要になるのかもしれません。

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潜水艦映画は、画面構成に変化を起こしにくかったりして、それほど日本で大ヒットした例はありません。

実際に、主役の大沢たかおは潜水艦内で、ほぼ動いていません。

ただ、その代わりにカメラが動いていたりするので、これまでの潜水艦映画よりは飽きにくい面があります。

しかも、原作の知名度は小さくないと思われるので、興行収入15億円くらいを目標にして、その先のAmazonの動きに注目したいと思います。

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