「クレヨンしんちゃん」初の3DCG化で興行収入は伸びるのか? 「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司」【コラム/細野真宏の試写室日記】
2023年8月5日 13:30

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
今週末8月4日(金)から映画「クレヨンしんちゃん」シリーズ初の全編3DCG作品「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司」が公開となります。
私は、そもそも「クレヨンしんちゃん」の絵柄から3DCG化の必要性を感じていなかったので、昨年の予告の段階で驚きました。
ただ、その一方で、興行収入の面からは、「名探偵コナン」「ドラえもん」と比べると、やや頭打ち感があるのも確かなので、「現状打破をする手法なのかもしれない」とも感じました。

「映画クレヨンしんちゃん」については、文字通り1年も欠かさず1993年の1作目から毎年公開し続け、前作の「映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」は30周年記念作品となっていました。
その30周年記念作品は興行収入20.4億円と、2019年以来となる興行収入20億円台に無事到達しました。
とは言え、これまでの30年間で2015年「映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃」が最高興行収入22.9億円となっているのです。
「映画クレヨンしんちゃん」の製作幹事は「シンエイ動画」(2010年にテレビ朝日の100%子会社)。「ドラえもん」の制作会社としても有名です。
その「映画ドラえもん」は、(長編映画2D版において)42作品のうち、最高興行収入は53.7億円となっていますが、初3DCG化した2014年の映画「STAND BY ME ドラえもん」は興行収入83.8億円と大ヒットしています。
しかも、それ以降の(長編映画2D版)「映画ドラえもん」は、コロナ禍などの特殊な状況を除けば、安定的に興行収入40~50億円台コンテンツへと成長軌道に乗せるきっかけになりました。
「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司」の公開日は8月4日と「夏休み公開」となっていますが、これは映画「STAND BY ME ドラえもん」の公開日8月8日を意識しているのかもしれません。


では、本作においても映画「STAND BY ME ドラえもん」のような異例の大ヒットが狙えるのでしょうか?
「STAND BY ME ドラえもん」の際に思ったのは、大人になった「のび太」たちが長く登場するなど、3DCG化映画の独特な良さがありました。
その一方で、「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司」は、良くも悪くも「いつものクレヨンしんちゃん」+「α」という感じでした。
これは、「映画クレヨンしんちゃん」自体が、毎回かなり工夫して脚本や設定が練られていたりするため、本作も同様に、という評価にならざるを得ない面があります。
また映像については、これは人によって評価が分かれるところだと思いますが、私は、これまでの2D版がしっくりきていたので、そこまでの衝撃があるわけではなかったのが本音です。
そのため、本作の興行収入は飛びぬけて高くはならないのかもしれません。


とは言え、“初3DCG化”という付加価値が付いたので、これまでの最高興行収入22.9億円を抜くことができる可能性も秘めています。
このように、私の評価は、「いつものクレヨンしんちゃん」+「α」という感じですが、これは決して悪い話ではないと思っています。
というのも、脚本も含めて安定してれば、通常のラインナップに加えて3DCG版のバリエーションも安定的にできるのかもしれないからです。
これは、映画「STAND BY ME ドラえもん2」では脚本の方向性に無理が生じ、興行収入は27.8億円と急落したことが象徴的でしょうか。
つまり、脚本の面では、「いつものクレヨンしんちゃん」でいいのかもしれません。

課題となるのは、やはり「制作費」の面でしょう。
それは、“3DCG化”という付加価値を付けることで制作費は一般的に上がってしまうからです。
通常の2D版と比べると3DCG版は2倍程度となり、7億円~8億円が相場となります。
そうなると、製作委員会が国内劇場興行だけで原価回収(リクープ)をするには、興行収入で、これまでの最高興行収入22.9億円を抜くことが必須のようになるのです。

また、「構想から含めて7年という制作期間を要した」と発表されていますが、その規模感であれば制作費は9億円~10億円という規模になっているのかもしれません。
仮にそうだとすると、リクープラインが一気に上がって、興行収入は20億円の後半を稼がないといけないことにもなり得るわけです。
以上のように、“3DCG化”という付加価値は、現状では興行収入の面においてハードルが高くなります。
そのため、本作の興行収入がどうなるのか非常に注目されるのです!
本作は、監督と脚本を「モテキ」「バクマン。」の実写化で成功した大根仁監督が担当していますが、エンドロールの際には大根仁カラーが良く出ていたと思います。
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