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話題沸騰中「ヴァチカンのエクソシスト」 SNSで人気のプロデューサーが日本のファンに感謝「日本に大きな借りがある」

2023年8月2日 09:00

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ラッセル・クロウ主演のホラー映画「ヴァチカンのエクソシスト」
ラッセル・クロウ主演のホラー映画「ヴァチカンのエクソシスト」

7月14日に公開されたラッセル・クロウ主演のホラー映画「ヴァチカンのエクソシスト」が、今なおSNS上でバズり続けていることをご存知だろうか。エクソシスト映画としての強度もさることながら、クロウが演じたアモルト神父のキャラクターとしての魅力、バディ・ムービーとしての側面、脳裏に焼き付く描写等々……日本の映画ファンによるファンアートが多数投稿され、巷では「推したい!」「語り合いたい!」という人々が増え続けているのだ。

本作の快進撃において、決して忘れてはならないキーパーソンがいる。

それがプロデューサーのジェフ・カッツ氏だ。

プロデューサー業をこなす一方で、日本のファンとSNS上で積極的に交流(しかも英語ではなく日本語で!)、観客の感想などに可能な限りリプライを飛ばし続けていることから大きな話題に。さらに言えば、カッツ氏の反応速度が“音速”なことでも好評を博している(数分前に投稿された観客のレビューに即座に返信していたりする。エゴサーチのスキルが高すぎる)。

カッツ氏とファンの交流が注目されたことで、映画自体にも注目が集まる好循環が生まれたわけだが、ここでひとつの疑問が浮かび上がってくる。

彼はなぜ、遠く離れた地である日本の観客に、日本語でアプローチしているのだろうか? 疑問を解消すべく、映画.comはカッツ氏にメールインタビューを打診。早速質問を送ってみると、SNSでのリプライばりに、音速でアンサーが返ってきた。

記されていたのは、「日本は私の人生において大きな役割を果たしてきた」との前置きから、日本との“意外な関係性”や“プロレス愛”、感謝の言葉……。そして、何より驚いたことがある。

それはインタビューの回答を、日本語と英語を併記するような形で送ってきてくれたこと。これは異例の対応と言ってもいいだろう。本記事では、カッツ氏が真摯に紡いだ言葉を重視することにした。最低限の誤字・脱字・助詞の調整を除き、ほぼ原文そのままの“日本語での回答”をお届けしよう。


【「ヴァチカンのエクソシスト」概要&あらすじ】
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ラッセル・クロウがホラー映画初主演を務め、カトリック教会の総本山バチカンのローマ教皇に仕えた実在のエクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父の回顧録「エクソシストは語る」を映画化。監督は「サマリタン」「オーヴァーロード」のジュリアス・エイバリーが務めた。

1987年7月、サン・セバスチャン修道院。アモルト神父(クロウ)はローマ教皇から、ある少年の悪魔祓いを依頼される。少年の様子を見て悪魔の仕業だと確信したアモルトは、若き相棒トマース神父(ダニエル・ゾバット)とともに本格的な調査を開始。やがて彼らは、中世ヨーロッパでカトリック教会が異端者の摘発と処罰のために行っていた宗教裁判の記録と、修道院の地下に眠る邪悪な魂の存在にたどり着く。


●映画化の経緯は? 主役のキャスティングが重要だった
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――まずは映画化の経緯に加え、ラッセル・クロウさんにアモルト神父役をオファーした理由を教えてください。

ニュー・ライン・シネマでの私の元同僚、Michael Kaczmarekが権利を確保した後、このプロジェクトを私に持ち込んできました。私は映画製作には興味を失っていましたが、本物のアモルト神父に魅了され、超自然的なジェームズ・ボンドというアイデアが大好きでした。私たちはプロジェクトをソニーに売却し、数年間開発しました。

主役のキャスティングが常に重要でした。多くの場合、映画の成功は、適切な俳優を適切なタイミングで適切な役に配置することに尽きると思います。今回の場合、ラッセルは脚本に応え、それを利用してこのような記憶に残るキャラクターを生み出しました。彼は私が今まで作った映画の中で一番好きなキャラクターです。私たちのチームはこの映画にラッセル・クロウを出演させることができてとても幸運です。素晴らしい俳優であり、良い人です。


●アモルト神父の赤い靴下&スクーター→ラッセル・クロウのアイデアだった
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――既に日本では封切られた作品となっています。そこで作品がもっと面白くなるような“トリビア”“エピソード”がありましたら、ぜひ教えてください。

日本のファンはアモルト神父の赤い靴下とスクーターに好意的な反応を示しました。これはすべてラッセル・クロウのアイデアだということを彼らに知ってもらいたいです。これは彼の俳優としての天才性を物語っています。ファンがこれらの癖を受け入れることは、彼の素晴らしいアイデアに対する大きな報酬となります。この小さなアイデアがこの映画の成功に貢献しました。それが映画の魔法です。この場合、ラッセルの直感は驚異的でした。


●日本語での“交流”はなぜ?「日本語で“声”を届けることはごく自然なことだった」
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――では、なぜ日本語で日本のファンと交流を深めようと思いましたか?

幼少期に遡ると、日本は私の人生において大きな役割を果たしてきました。私が初めて日本のプロレスに夢中になったのは、グレート・ムタ、獣神ライガー、藤波辰爾のような才能に触れたときでした。これをきっかけに、日本のビデオゲームをプレイして、言語と文化を学びたいと思うようになりました。

幸運なことに、私はデトロイトにある日本語の授業がある高校に通うことができ、4年間勉強しました。ひらがなとカタカナはまだ大丈夫ですが、漢字は苦手です。19歳の時に母と一緒に東京、京都、大阪を訪れることができ、それは私にとって大切な旅行でした。私の家には、力道山の1962年のトロフィーからジャイアント馬場の肖像画まで、日本の作品が複数あります。ですから、日本のファンに彼らの言語で声を届けることは私にとってごく自然なことだったのですが、これほど反響が大きいとは予想もしていませんでした。素晴らしい経験でした。


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●日本の映画ファンは「世界で最も情熱的で忠実なファン」
――日本の映画ファンの反応について、どう感じていますか?

これを表す言葉は「特別」です。この映画は、国際上映の成功を受けて、最後の劇場市場を静かに締めくくるものと予想されていました。今後日本がこのフランチャイズに与える影響は計り知れません。

日本は映画産業にとって非常に重要な市場です。日本にファンベースができたことで、私たちに多くの扉が開かれ、そのことに私は永遠に感謝しています。言うまでもなく、日本のファンは世界で最も情熱的で忠実なファンです。これは一例にすぎません。私たちはこの世界でたくさんの続編を作りたいと思っていますが、市場とファンの力を考えると、日本はそれを可能にしていると言っても過言ではありません。したがって、私たちは日本に大きな借りがあるので、将来的にはそれに報いたいと考えています。

――日本の映画ファンについて、ラッセル・クロウさんの反応はどうでしたか? その他の方々の反応についても、印象的なものがあれば教えてください。

日本がこの映画を受け入れたことは、その過程を通じて映画製作チームに伝えられました。私たち全員がショックを受けたと言っても過言ではありません。ラッセル・クロウの“あのような反応”は見たことがありません。ダニエル・ゾバットは、今でも日本語でファンとコミュニケーションをとっています。私たちのプロデューサー、スタジオ、ディレクターのジュリアス・エイバリーは皆、この反響に興奮しています。親愛なる日本のファンの皆さん、私たちは皆あなたの情熱を愛していることを知ってください。


●映画に示した愛を“他の映画”に返し続けてくれることを願っている
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――日本の映画業界・市場に関するお考えをお聞かせください。

私はニューライン社と20世紀フォックス社で映画担当役員を務めていた間、日本と多くのビジネスを行うことができてとても幸運でした。『バトル・ロワイアル』のアメリカ版リメイクをやってみました。また、日本のプロデューサーたちとも会い、日本の主要なマンガ出版社のほとんどの方とも会いました。これにより、同僚と比べてみても、市場に対する独自の洞察が得られたと思います。世界の映画ビジネスは多くの課題に直面しており、地元の映画館はこれまで以上にファンのサポートを必要としています。私の願いは、日本のファンがこの映画に示してくれた愛を、今後も他の映画に返し続けてくれることです。日本に戻るのが待ちきれません! 力道山のトロフィーを持って行かないといけないかもしれない。


●映画制作者には「日本のファンに直接連絡を取ることをおすすめする」
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――改めてお伝えさせていただくと、カッツさんのSNSを活用したプロモーションは、日本で大きな話題を呼びました。最後に、映画のプロモーションにおけるソーシャルメディアが果たす役割と展望についてお聞かせください。

成功したことを繰り返すのがハリウッドの性質であるため、他の人もこれを真似しようとするでしょう。日本のソーシャルメディアは便利なツールですが、日本のファンは“何が真実ではないか”を見分けることに関して、十分賢いのです。私の日本に対する愛が本物であることをファンの皆さんに分かっていただければ幸いですし、それは私たちにとってプラスになると思います。

この体験を再現するのは難しいかもしれませんが、映画制作者には日本のファンに直接連絡を取ることをおすすめします。そこに示される情熱と忠誠心は他に類を見ません。個人的に、これは私の人生で最高の経験の一つでした。

(今回のアプローチは)ファンに好意を持ち、可能な限り積極的に感謝の気持ちを示さなければならないというトム・クルーズの哲学からきています。ファンのために映画を作ることができて光栄です。今日、ファンにはかつてないほど多くのエンターテインメントの選択肢があります。映画館でファンの時間とお金を稼ぐことは名誉なことです。

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