生き別れた異母姉妹が居場所を探す 松井玲奈主演「緑のざわめき」予告編&ポスター入手
2023年7月30日 10:00
松井玲奈が主演した、「浜辺のゲーム」の夏都愛未の監督第2作「緑のざわめき」の予告編とポスターを、映画.comが先行入手した。福岡と佐賀を舞台に、3人の生き別れた異母姉妹が手を取り合い、自らの居場所を探そうとするさまが切り取られている。
松井に加え、岡崎紗絵、倉島颯良が異母姉妹を演じる。そのほか草川直弥(「ONE N’ ONLY」)、川添野愛、加藤紗希、渡邉りか子、松林うらら、林裕太、カトウシンスケ、黒沢あすかが共演。メガホンをとるのは、長編初監督作品「浜辺のゲーム」が第14回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門、アートフィルムフェスティバルに選出された夏都監督。大江健三郎や中上健次の文学にインスパイアされ、葉脈と血のつながり、ファミリーツリー、性と聖のつながりをテーマに描くオリジナル作品を完成させた。第18回大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門に正式出品されている。
過去の痴漢被害のトラウマを抱える小山田響子(松井)は、病が原因で女優を辞め、東京から生まれ故郷のある九州に移住しようと、福岡にやってくる。そこで彼女は、元彼の宗太郎(草川)と再会。また、響子とつながりを持ちたいと考え、彼女をストーカーする菜穂子は、異母妹であることは隠し、距離を縮めていく。
一方、同じく響子の異母妹である杏奈(倉島)は、施設に預けられていたが、8年前から佐賀・嬉野で叔母・芙美子(黒沢)と暮らしていた。しかしある日、自分宛の手紙を勝手に読んだ叔母に不信感を募らせる。彼女は、「まずは話してみませんか?」という支援センターの広告を見て、身元も分からない菜穂子からの電話に、悩みを打ち明け始める。同じ頃、杏奈に思いを寄せる透(林)は、彼女とうまくいくよう、集落の長老・コガ爺(カトウ)に相談を持ちかけていた。
予告編は、緑豊かな美しい風景とともに、異母姉妹3人と周囲の人々の運命が交錯していくさまを活写。幻想的な森のなかを歩く響子が、「何で女に生まれたんやろうって、すごく思っとった」と呟くシーンも。最後は、海を背にした鳥居へと歩む3人が切り取られ、希望を感じさせる仕上がりだ。ポスターには、並んで座る3人と、「きっと全部、自分に折り合いをつけるための旅」というコピーがおさめられている。
「緑のざわめき」は、9月1日から東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開。なおクラウドファンディングが、8月上旬から「MotionGallery」で実施される。菜穂子の友人たちを演じた川添、加藤、渡邉と、響子の親友役を務めた松林のコメントは、以下の通り。
登場人物それぞれの、社会と自分との付き合い方や向き合い方が印象的で、私は自分自身についても改めて考えさせられました。そういう意味では、私の演じた絵里は、側から見るとずっと危なっかしくて(笑)。衝動に抗うことなく進み、傷つき、少しだけ学んで。これをひたすら繰り返して。それでも前に進み続けることだけはやめない。どうしようもないけどなんだか見捨てられない絵里が私は大切で、愛おしかったです。
このお話の中で時折ざわざわと吹く風が、主人公となるこの3姉妹や、3姉妹の周りの人たちの運命を強く優しく不気味に誘います。抗うことのできない事実と、出会いによって交差していく思いと、それぞれがどう向き合っていくのか。私もみなさんと共に見届ける日が楽しみです。
岡崎さん演じる菜穂子のふとした時に、憂いを帯び、運命を受容していくような表情が目に焼き付いています。くだらないことを話し、ただただ楽しい時間を共有しつつ、気を遣わなくていい関係ゆえに少し不穏な雰囲気になったりする友人関係。脚本を読んでいても演じていても、過去に友人と交わした会話や大切な旅行の記憶が思い起こされ、はっとする瞬間が度々ありました。
佐賀の自然は本当におおらかで美しく、表情豊かな景色たちは三姉妹の様々な感情と混じり合いながら画面を彩っていることでしょう。
わたしも映画館の大きなスクリーンで見るのが楽しみです。
「緑のざわめき」というタイトルそのままに、脚本に書かれた文字からだけでも佐賀の緑豊かな景色が浮かび、人間以外の生命力も宿っているような印象を受けました。一見穏やかに時が進むようで、その美しい景色の中にピンと張り詰めた緊張感があり、その糸を観客も一緒に、繊細に寄り添いながら辿っていく、そんな映画になるんじゃないかと感じました。
私が演じた女子会メンバーのひとり・川崎彩乃は、思ったことを正直に口にする気持ちのいい子です。我が女子会の治安の維持、平和に穏便に! そのことを重視して現場に居ました。全員バラバラで愛おしくて、楽しかったです。
夏都監督が生み出したこの作品は、一言では言い表せず、とても複雑です。それが私にとって、ものすごく信じられました。人に届ける上ではこうして何かしら言語化して伝えなければいけない場面がありますが、見て、受け取って頂く皆さんは言語化しなくたって良いです。その気持ちを、いいね、だけでもしてくれるととても嬉しいです。
出来る限り、映画館という場所で体感してください。何か言葉にならないものを感じてくだされば、この作品の一員としてとても光栄です。
夏都愛未監督が紡ぐ繊細な言葉の在り方に、先ずは共感をし、同じ女性として抱える傷み、運命、独特な世界観が私は好きです。綺麗な姿をしているようで、猛毒が入っていて、カオスで。
江口保奈美という存在は、松井玲奈さん演じる主人公、小山田響子の幼馴染という事で、彼女の傷みを誰よりも広大に受け止めている方なのかと思いました。目の前にいる響子(玲奈さん)はとにかく透明感に満ち溢れ、真っ直ぐ美しい目でした。ふたりが過ごした時間、空気を想像し、大切にしました。
豊かな佐賀の自然たちと葉脈で繋がる性と聖。ある意味でアルファ波効果映画になっているのでは。夏が残る秋、安らぎの時間になりますように。
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