カンヌ映画祭雑感。とにかく目立っていた「サウジアラビア」と「BMW」【映画.com編集長コラム】
2023年6月4日 09:00

2023年のカンヌ映画祭は、是枝裕和監督の「怪物」と役所広司が主演した「PERFECT DAYS」がそれぞれ2つの賞を受賞して、日本の映画界にとっては快挙と言える結果となりました。特に「怪物」はカンヌでの受賞直後、6月2日からの劇場公開という見事なタイミング。興行的にも素晴らしい追い風を得ています。
映画祭全体の評価については、現地で日々取材を担当していただいた佐藤久理子さんのコラム(https://eiga.com/extra/paris/119/)が非常に分かりやすいので、是非ご一読ください。
ここでは、現地に行ったもののあんまりいい映画に出合えなかった私が、個人的に「へえ~」と思った案件を2つほど紹介します。
カンヌ映画祭メイン会場のパレ(Palais des Festivals et des Congres)の地下1階には、毎年、世界各国の映画会社や公的機関がブースを展開しています。その中でも目立っていたのがこちら、サウジアラビアのフィルムコミッションです。「film.sa」の「.sa」というドメイン名はサウジアラビアを示しています。「サウジアラビアで映画を撮影すると、最大40%をキャッシュバックします」という、何とも太っ腹なキャッチコピーが目を引きます。

このサウジアラビアのキャンペーンは、カンヌ映画祭期間中、日刊誌として配られる業界誌(Hollywood Reporter、Variety、Screen Internationalなど)でも展開しています。なんと毎日毎号、広告がバンバン入っています。
しかも、各誌、毎日違うクリエイティブで訴求しているのです。「サウジアラビア、どんだけ広告費使ってんだよ!」って思いました。

サウジアラビアは、つい最近まで実質的な鎖国状態で、観光客は受け入れていませんでした(メッカ巡礼などは別)。2019年に観光ビザの支給が始まり、一気に国境を解き放ったのです。F1グランプリを開催したり、映画祭を実施したりなど、10年間で1兆ドルを費やして観光立国を目指すと。
映画のロケ誘致もその一環ですね。これまで映画やテレビに映ったことのなかったエキゾチックな風景をバックにロケ撮影をしてもらい、映画を通じてトラベラーにアピールしたいとの思惑。
例えば、最近アメリカで公開されたジェラルド・バトラー主演の「カンダハル(原題)」という映画も、サウジアラビアがロケ地になっています。基本的にはアフガニスタンの話ですが、ロケ地は同じイスラム世界のサウジアラビアをチョイス。予告編など見る限り、狙いは成功しているように思われます。
サウジアラビア当局は「スター・ウォーズ」の新作についても、製作が決定した場合には熱烈にロケの誘致を行う方向のようです。北アフリカのモロッコや、同じ中東のUAEあたりがライバルですね。長らく観光客を拒んできただけあって、サウジアラビアは、私も一旅行者として是非とも訪れてみたいデスティネーションです。
もう一つ、今年のカンヌで非常に驚いたのが、オフィシャルカーの変更です。例年、カンヌ映画祭のオフィシャルカーといえば、ルノーでした。それがBMWに変更になっていた。実はこの変更が行われたのは、2022年のようです。

BMWが提供するのは、時節柄、すべてがEVおよびPHVおよび燃料電池車。自動車に加えて、カンヌのハーバーでゼロエミッション船舶もお披露目したとのこと。この船舶は見に行きたかったですね。次の機会に是非。

こちらは、ホテルの敷地内に飾ってあった「i7 M70」というモデル。7シリーズという、BMWの中でもっともラグジュアリーなセダンとEVを組み合わせたモデルです。カンヌで初走行となる車両のようで、日本では見たことがありません。映画祭に提供されているBMWは車種もいろいろあって、かなりの本気度を感じます。映画祭期間中、カンヌの街中でひときわ存在感を放っていました。
映画本編の上映以外にも、いろいろと見どころが多くて面白い。毎回、新たな発見があるんです。また来年、ここに戻って来ようと思わせる不思議な磁力がカンヌにはありますね。
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