これは見ない手はないですよ!! 一大ゴア・スペクタクルへと進化を遂げた「テリファー 終わらない惨劇」
2023年5月31日 22:00
Twitterのホラー界隈で知らぬ者はいない人間食べ食べカエル氏(@TABECHAUYO)によるホラー映画コラム「人間食べ食べカエル テラー小屋」では、“人喰いツイッタラー”が、ホラー映画専門の動画配信サービス「オソレゾーン」で配信中のオススメ作品を厳選し、その見どころを語り尽くす! 今回は特別編として、6月2日より劇場公開されるオソレゾーン配給作品「テリファー 終わらない惨劇」をご紹介します。
「ギコギコしちゃうぞ♪」というキャッチコピーと、目を疑うような残虐シーンで、多くの人の度肝を抜いたスラッシャーホラー映画「テリファー」に続編が登場した。今回は予算をクラウドファンディング方式で調達。その結果なんと、5万ドルの目標に対して25万ドルもの金額が集まったことからも、その注目度の高さがうかがえる。そして、2022年に全米で公開されるや否やスマッシュヒットをかまし、観客が嘔吐連発などといったオモシロ話題が続々と湧き出る大盛況となった。そんな本作が遂に日本にやってくる。しかも劇場公開で! これは見ない手はないですよ!! ということで、今回は6月2日より公開の「テリファー 終わらない惨劇」を紹介します。
1年前に死んだはずの殺人ピエロ、アート・ザ・クラウンが普通に復活! 挨拶代わりに目についた人を惨殺したあと、今度はシエナという少女に狙いを定め、黒い袋を背負いながら歩き続ける。一体彼女はなぜ狙われるのか。そして無事に生き残ることは出来るのか。新たな惨劇が始まり、街は再び死体と内蔵にまみれた地獄と化す……。
前作から約7年。待ちに待った続編だ。それだけ待たされた甲斐があったと言える、とても楽しい内容に仕上がっている。今回はなんと上映時間が約140分と大ボリューム! それを知ったときの第一印象は「長すぎる!」だったが、いざ本編を観ると、ちゃんとそれに見合うだけの内容だった。前作はストーリー性もへったくれもないくらい、ストイックに殺人ピエロが人を殺しまくる内容だったが、続編では被害者サイドのキャラ描写にも重きをおいて、しっかりと人間ドラマを描いている。ここが一番の大きな違いだ。これが思いのほかプラスに作用していて、今回も殺人シーンしか語れないかなと思っていた先入観を見事にブチ壊してくれた。
中でも印象に残るのが、本作のファイナルガールであるシエナというキャラクターだ。ダミアン・レオーネ監督はこのキャラがいたく気に入っているようで、いろんなインタビューで「ついにこれを形にすることが出来た!」と喜びを語っている。確かに前作だとアート・ザ・クラウンが強烈すぎて、被害者がどんな感じだったかあまり印象に残っていなかったが、本作の鑑賞後はシエナの印象もだいぶ濃く残った。気丈だけど年相応に繊細。殺人鬼への恐怖を抱え込みながらも真っ向から対峙する姿が非常に魅力的に映る。「ハロウィン」シリーズにおける、マイケルとローリーのようなキャラ同士の関係性を「テリファー」シリーズも手に入れる事ができた。このことによって、いよいよ一級スラッシャーの仲間入りをしたのだ。
もちろん、人間側に時間を割きすぎて肝心要のグロがおざなりに……なんてことにはなっていない。むしろ、前作以上に残虐非道に仕上がっている。殺人シーンの数自体はそこまで多くないが、その代わりに人ひとりを殺すのにかける工数が異常だ。ぶっ叩いて潰して切り刻んで……と、あらゆる手法でダメージを与える。相変わらず凄まじいゴア描写だ。ネオ人体破壊と言えば良いだろうか。顔がつぶれた際の肉のひしゃげ方とか、そこまで作り込むか!という感じ。クラウドファンディングで上振れたお金を全て特殊メイクに注ぎ込んだのだろうか。想像を遥かに超えるド鬼畜映像を拝むことが出来る。流石に吐きはしなかったが、嗚咽一歩手前くらいまでは行った。ちなみに、このおぞましい殺人シーンのアイデアは、アートさんを演じるハワード・ソーントンが出したものも多いらしい。ハワードが提案する殺人はとんでもなく残酷なため、本作ですら採用を見送るものも多かったそうだ。一体彼は何を思いついたんだろうか……。
本作を観て改めて思ったが、アートさんの魅力はやはり、陽気キャラをやりつつ、たまに素の暴力が顔を覗かせるところだと思う。おどけながら残虐に殺すだけなら他の殺人ピエロもよくやるが、アートさんはそれとは別に一瞬スッとなってド直球の暴力を放つことがある。それがたまらなく怖いのだ。このピエロはいつ本性を出すのかという緊張感が尋常ではない。その点がこのシリーズ独自の恐怖と魅力を生み出していると思う。あとやっぱり、たまに普通に銃で殺すのも面白いね。
というわけで、アートさん頼みの1本柱ではなく、それに加えて人間側の魅力も増量、内臓と出血と暴力性ももちろん増量し、一大ゴア・スペクタクルへと進化を遂げた本作。前作ファンはもちろん、アートさんの異様な見た目に惹かれた方や、全米嘔吐の話題性に釣られて見に行く方も十分に満足できる内容になっていると思う。監督は3作目の製作にも乗り気らしい。アートさんの更なる血みどろ大進撃に期待が高まる。
「テリファー 終わらない惨劇」は、6月2日より全国ロードショー。
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