映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

【「STILL マイケル・J・フォックス ストーリー」評論】30年以上にわたり闘病するマイケル・J・フォックスの人生に迫る

2023年5月21日 21:00

リンクをコピーしました。
「STILL マイケル・J・フォックス ストーリー」
「STILL マイケル・J・フォックス ストーリー」

早くから地球温暖化問題を扱った「不都合な真実」、最年少でノーベル平和賞を授与された少女に密着した「わたしはマララ」などで知られるドキュメンタリー作家デイビス・グッゲンハイムの監督最新作。29歳で若年性パーキンソン病を発症した人気俳優マイケル・J・フォックスの半生を描き出す。

体が小さく童顔だった少年マイケルは、演劇クラスに入部し演技の魅力に目覚める。16歳の時にカナダのテレビ局が制作したドラマでデビュー、高校を中退しハリウッドで本格的な芸能活動を目指すため渡米するが、なかなか芽が出ない。極貧状態で受けたドラマ「ファミリー・タイズ」のオーディションになんとか合格すると、開花したコメディの才能によって人気が爆発、そこから「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(以下BTTF)を経て一気にスターダムを駆け上がる。そんなある日、マイケルは体の異変を覚える。

ドキュメンタリーだが編集が素晴らしい。彼のキャリアを時系列で追っているのだが、それとともに当時の境遇や感情を再現させるため、その膨大なフィルム・アーカイブから符合するようなシーンを切り出して、丹念に嵌め込んでいるのだ。つまり、映画の中のマイケルが、自身の人生を再構築している。目新しい手法ではないが、本作のように表情やセリフまでピッタリ合わせるのは、まさに努力の賜物だ。また、COVID関連のスタッフも多くクレジットされており、基礎疾患を持つマイケルの撮影が容易ではなかったことを物語っている。

マイケルはどの映画でもよく走る。STILL(静止)することなく、セットをいっぱいに使って演技をしていたことを、改めて認識させられる。パーキンソン病の兆候があらわれた「BTTF3」でも、見事なまでに軽快だ。発症して10年間、ひた隠しにしながら仕事を続けたことの苦悩が、彼の肉声で赤裸々に語られる。さらに、抑えきれない震えなどの症例が、過去作のメイキング・フッテージを交えて具体的に語られているのも衝撃的だ。

脳をはじめ数回の大きな手術を経験したマイケルは、歯磨きもままならず、簡単に転倒してはケガが絶えない状態ながらも、医療財団や基金を設立し、政治活動も行い、今も精力的に動いている。そこには共演者たちの変わらぬ友情や、かけがえのない家族の存在がある。作中では時に挑発的な質問が投げかけられるが、マイケルはひょうひょうと受け止め、人生を楽しむ秘訣を我々に語りかける。彼の内面への旅はユーモアと親しみに溢れていて感動的だ。ちなみにグッゲンハイム監督の妻は「BTTF2」「同3」でマーティの恋人役を演じていた女優のエリザベス・シューである。

(本田敬)

デイビス・グッゲンハイム の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

止められるか、俺たちを

止められるか、俺たちを NEW

2012年に逝去した若松孝二監督が代表を務めていた若松プロダクションが、若松監督の死から6年ぶりに再始動して製作した一作。1969年を時代背景に、何者かになることを夢みて若松プロダクションの門を叩いた少女・吉積めぐみの目を通し、若松孝二ら映画人たちが駆け抜けた時代や彼らの生き様を描いた。門脇むぎが主人公となる助監督の吉積めぐみを演じ、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」など若松監督作に出演してきた井浦新が、若き日の若松孝二役を務めた。そのほか、山本浩司が演じる足立正生、岡部尚が演じる沖島勲など、若松プロのメンバーである実在の映画人たちが多数登場する。監督は若松プロ出身で、「孤狼の血」「サニー 32」など話題作を送り出している白石和彌。

青春ジャック 止められるか、俺たちを2

青春ジャック 止められるか、俺たちを2 NEW

若松孝二監督が代表を務めた若松プロダクションの黎明期を描いた映画「止められるか、俺たちを」の続編で、若松監督が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台に描いた青春群像劇。 熱くなることがカッコ悪いと思われるようになった1980年代。ビデオの普及によって人々の映画館離れが進む中、若松孝二はそんな時代に逆行するように名古屋にミニシアター「シネマスコーレ」を立ち上げる。支配人に抜てきされたのは、結婚を機に東京の文芸坐を辞めて地元名古屋でビデオカメラのセールスマンをしていた木全純治で、木全は若松に振り回されながらも持ち前の明るさで経済的危機を乗り越えていく。そんなシネマスコーレには、金本法子、井上淳一ら映画に人生をジャックされた若者たちが吸い寄せられてくる。 前作に続いて井浦新が若松孝二を演じ、木全役を東出昌大、金本役を芋生悠、井上役を杉田雷麟が務める。前作で脚本を担当した井上淳一が監督・脚本を手がけ、自身の経験をもとに撮りあげた。

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命 NEW

19世紀イタリアで、カトリック教会が権力の強化のために7歳になる少年エドガルド・モルターラを両親のもとから連れ去り、世界で論争を巻き起こした史実をもとに描いたドラマ。 1858年、ボローニャのユダヤ人街に暮らすモルターラ家に、時の教皇ピウス9世の命を受けた兵士たちが押し入り、何者かにカトリックの洗礼を受けたとされるモルターラ家の7歳になる息子エドガルドを連れ去ってしまう。教会の法に則れば、洗礼を受けたエドガルドをキリスト教徒でない両親が育てることはできないからだ。息子を取り戻そうとする奮闘する両親は、世論や国際的なユダヤ人社会の支えも得るが、教会とローマ教皇は揺らぎつつある権力を強化するために、エドガルドの返還に決して応じようとはせず……。 監督・脚本は、「甘き人生」「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」「シチリアーノ 裏切りの美学」などで知られるイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ。教皇ピウス9世役はベロッキオ監督の「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」にも出演したパオロ・ピエロボン。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

コカイン・ブライド

コカイン・ブライド NEW

娘・ダーシャの将来のため、暴力的な夫から逃れようとマッチング・サイトに登録したニーナは、アメリカで暮らす裕福な引退した外科医・カールと出会う。すぐさまロシアからアメリカへと渡った親子は、ささやかな結婚式を行い、幸せな生活を楽しみにしていた。しかし、結婚式の直後から、ニーナとダーシャに不可解な現象が次々と降りかかる。頼りにしていたニーナの親戚は結婚式の帰路で事故死し、ダーシャは屋敷の中で女の幽霊を見るようになる。そんななか、ニーナはカールがコカインを吸っているところを見てしまう。ダーシャの将来を考えやりきれなくなったニーナは、人里離れた屋敷から出ていくことを決意するが…。

キャンディ・ウィッチ

キャンディ・ウィッチ NEW

現世に残る死者の声を聞く能力者のリースとその相棒兼恋人のキャットは、霊障に悩む人々からの依頼を受け、心霊現象の調査と除霊を行っている。ある夜、ルースという女性から「キャンディ・ウィッチに苦しめられている」と連絡を受けたリースは、キャットと共にヘザーの家を訪れる。お菓子の杖で子供を襲うキャンディ・ウィッチの正体は、かつて町の子供たちを虐待し苦しめた邪悪な乳母の悪霊だという。しかし、調査を進めるにつれ、キャンディ・ウィッチの呪いに隠された町の暗部が明らかになっていく。果たしてリースは、この悪霊の殺戮を阻止し、町にはびこる邪悪な呪いを解くことができるのか?

蒲団

蒲団 NEW

文豪・田山花袋が明治40年に発表した代表作で、日本の私小説の出発点とも言われる「蒲団」を原案に描いた人間ドラマ。物語の舞台を明治から現代の令和に、主人公を小説家から脚本家に置き換えて映画化した。 仕事への情熱を失い、妻のまどかとの関係も冷え切っていた脚本家の竹中時雄は、彼の作品のファンで脚本家を目指しているという若い女性・横山芳美に弟子入りを懇願され、彼女と師弟関係を結ぶ。一緒に仕事をするうちに芳美に物書きとしてのセンスを認め、同時に彼女に対して恋愛感情を抱くようになる時雄。芳美とともにいることで自身も納得する文章が書けるようになり、公私ともに充実していくが、芳美の恋人が上京してくるという話を聞き、嫉妬心と焦燥感に駆られる。 監督は「テイクオーバーゾーン」の山嵜晋平、脚本は「戦争と一人の女」「花腐し」などで共同脚本を手がけた中野太。主人公の時雄役を斉藤陽一郎が務め、芳子役は「ベイビーわるきゅーれ」の秋谷百音、まどか役は片岡礼子がそれぞれ演じた。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る