自給自足の村で起きた連続レイプ事件描く「ウーマン・トーキング」プロデューサーのフランシス・マクドーマンドが出演を決めた理由
2023年5月12日 14:00
本年度アカデミー賞脚色賞受賞、作品賞ノミネートを果たし、これまで世界の賞で56賞を受賞、151賞にノミネートされた「ウーマン・トーキング 私たちの選択」。本作プロデューサーであり、出演者でもあるオスカー常連俳優、フランシス・マクドーマンドが、自身が演じた“スカーフェイス・ヤンツ”役について語った。
2010年、自給自足で生活するキリスト教一派の村で起きた連続レイプ事件。村の女性たちはそれを「悪魔の仕業」「作り話」である、と男性たちによって否定されていたが、ある日それが実際に犯罪だったことが明らかになる。タイムリミットは男性たちが街へと出かけている2日間。緊迫感のなか、尊厳を奪われた女性たちは自らの未来を懸けた話し合いを行う。
原作は2018年に出版され、NEW YORK TIMESブックレビュー誌の年間最優秀書籍に選ばれたミリアム・トウズによる同名ベストセラー小説「WOMEN TALKING」。2005年から2009年にボリビアで起きた実際の事件を元に、「死ぬまでにしたい10のこと」(03)などで女優として活躍しながら、2006年、「アウェイ・フロム・ハー君を想う」(06)で監督、脚本家としてデビューし数々の賞を受賞したサラ・ポーリーが監督した。出演とプロデュースを務めたマクドーマンドは、本作のオプション権を獲得後、ブラッド・ピットが率いる映画制作会社PLAN Bへ話を持ち込み、ルーニー・マーラ主演で映画化が実現した。そのほか、クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、ベン・ウィショーらが共演している。
マクドーマンドは原作「Women Talking」を読んですぐにオプション権を獲得したが、それは自分で演じる為ではなかった。「(小説のオプション権を得たのは)自分で演じるためではなく、この小説を原作とした映画をデデ・ガードナー(PLAN B製作)とサラと製作したかったからです」と語る。しかし、彼女は“スカーフェイス・ヤンツ”という役を自ら演じることを決めた。
そして、本作のストーリーを「原作は実際に起こったことをベースにしつつ、その後に女性たちがとった行動についてはフィクションを描いています。コミュニティーの男性らの暴行を受けた女性らが、一堂に会し、3つの選択肢について投票を行います。その選択肢は、『コミュニティーに残り彼らを赦す』『コミュニティーに残り暴行者らと闘う』『コミュニティーを出ていく』というもの。物語は48時間にわたる女性たちの議論を追うものです」と語る。
脚本は、コミュニティーの男たちが揃って逮捕された男たちの保釈金を払うために町に出ていくところから始まる。男たちがいない間に、コミュニティーの100人以上の女性たちがどうすべきかを投票すると、2つの選択肢が同数となった。「闘う」か「去る」かだ。男たちが戻ってくる前に、限られた時間の中で、それぞれの立場を考えどうするかを2つの家族から成る少数の女性グループが話し合うことになる。
話し合いの序盤に、3番目の家族として呼ばれるのがスカーフェイス・ヤンツが率いる家族だ。スカーフェイスの娘のアナ(キーラ・グロイオン)と孫娘のヘレナ (シャイラ・ブラウン)も加わる。スカーフェイスは、とどまって何もしないという少数派の代表だ。彼女には、コミュニティーの外で生きることなど考えられず、信仰に従うことに議論の余地などなかった。彼女にとって、破門と追放のリスクは大きすぎる。男たちを許し現状を維持すべきであるという立場だ。コミュニティーを去るのが嫌で現状のままでいたいという女性たちの立場を代表する、この寡黙なキャラクターにマクドーマンドは猛烈に惹かれたという。
「スカーフェイスというキャラクターがドラマツルギー的に大好きなのです。サラはスカーフェイス・ヤンツとその家族を通して、納屋での話し合いの外にはコミュニティーを去りたくない、あるいは去るのが怖い女性たちがいることを、映画を観る人たちに思い出させてくれます」と、自身が演じた理由を説明している。
「ウーマン・トーキング 私たちの選択」は、6月2日からTOHOシネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開。
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