二村ヒトシ&映画.com編集部が語り合う「ちひろさん」「エゴイスト」の見どころ
2023年3月15日 21:00
TOKYO FMほか全国38のFM局のオーディオコンテンツプラットフォームで、スマートフォンアプリとウェブサイトで楽しめるサービス「AuDee(オーディー)」 と映画.comのコラボ新番組「映画と愛とオトナノハナシ at 半蔵門」。作家でAV監督の二村ヒトシと映画.com編集部エビタニが映画トークを繰り広げる。第5回は、現在公開中、Netflixで配信中の今泉力哉監督作「ちひろさん」の感想や見どころを語り合った。
有村架純を主演に迎え、安田弘之の同名コミックを実写映画化。海辺の小さな街にあるお弁当屋さんで働き、元風俗嬢であることを隠さず軽やかに生きる女性・ちひろが、同じ街に住み、それぞれ事情を抱える人たちの生き方に影響を与えていく。ちひろ自身も幼少時の家族との関係から孤独を抱えていたが、さまざまな出会いを通して少しずつ変わり始める。
Netflixでは配信開始後、日本のみならず香港、台湾、インドネシア、ベトナムなどアジア各国でも人気ランキングトップ10入りするなど、高い評価と注目を集めている。元風俗嬢が主人公ということで、さまざまな意見がある中、二村は本作を「風俗業界ではなく、ひとりの人間、ひとりの女性を描いた物語」「原作でも描かれているけれど、ちひろさんは昼の仕事ができなくなって風俗を始めた。突然街に現れてみんなを救うような超人でも女神でもない」と説明する。
ふたりは鑑賞後の感想を語り、エビタニは「ちひろさんは人生につまずいた時に、(過去に出会った人物)“ちひろさん”になりたくて風俗に入ったのかな」と自身の解釈を述べる。二村は本作について映画.comの映画評論コーナーに寄稿しており、「そこにも書きましたが、ちひろさんが人を救う映画ではなく見た人がちひろさんになれる映画。すべてちひろさんと同じようになるのではなく、(ホームレスの)おじいさんをお風呂に入れてあげられなくても、お弁当はあげられる。やれることをやればいいんじゃないかな」「ちひろさんは施しをしているわけでも、いい人になろうとしている人でもない。ただ、目の前にいる人を否定していないだけ」と語る。
「『この世界は別の星の人達が集まってここにいる』というセリフが、すごく刺さった」というエビタニが、「ある種の一期一会的で、たまたま流れ着いた星で、たまたま会った人だからその人に対して肯定も否定もしない。そして居心地の良い場所を避けるのが彼女の星なのかな」と持論を述べると、二村が「執着が生まれてくると呼吸が苦しくなる、そういう星で生まれた人なのかも。極端なことを言うと、誰も分かりあえることはないかも」と応える。「女性はこうあるべきという中、“私はこうだから”と言えるちひろさんはいいな、と思いつつ違う星の人だと感じる」(エビタニ)と、ふたりは自分とは異なる“他者”という対象との向き合い方について掘り下げる。
そのほか、恋愛とセックスが結びつきすぎることへの違和感、原作との比較、有村架純の透明感のある存在感と演技に触れ、「有村さんという肉体をもって演じていただいたことで、僕たちもちひろになれる」(二村)と結んだ。
そして、話題は最近映画館で観て気に入った作品「エゴイスト」に。「見終わって、思い描いていた『エゴイスト』という言葉を優しく解釈させてくれた」「後半ずっと泣いてました」(エビタニ)、「愛にまつわるハードな出来事が起きて、それは普遍的な出来事。多くの人に観てほしい。原作を読んでいない方は、映画を見てから是非読んで欲しい」(二村)とこちらも、それぞれの見どころを挙げながら絶賛していた。
トーク全編はAuDee(https://audee.jp/voice/show/55260)で聞くことができる(無料配信中)。次回は竹中直人監督、斎藤工主演「零落」を取り上げる。
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