「バーホーベンは肉体を撮る人」SMプレイにも通じる痛みと愛の関係 二村ヒトシが語る「ベネデッタ」
2023年3月1日 22:00
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TOKYO FMほか全国38のFM局のオーディオコンテンツプラットフォームで、スマートフォンアプリとウェブサイトで楽しめるサービス「AuDee(オーディー)」 と映画.comのコラボ新番組「映画と愛とオトナノハナシ at 半蔵門」。作家でAV監督の二村ヒトシと映画.com編集部エビタニが映画トークを繰り広げる。第4回は、現在公開中、「氷の微笑」「ロボコップ」の鬼才ポール・バーホーベン監督の新作「ベネデッタ」(2021)の感想や見どころを語り合った。
17世紀に同性愛で告発された実在の修道女ベネデッタ・カルリーニの数奇な人生と彼女に翻弄される人々を描いた伝記映画。聖母マリアと対話し奇蹟を起こすとされる少女ベネデッタは、6歳でテアティノ修道院に入る。純粋無垢なまま成人した彼女は、修道院に逃げ込んできた若い女性バルトロメアを助け、秘密の関係を深めていく。そんな中、新たな修道院長に就任。民衆から聖女と崇められ強大な権力を手にする。
本作を「面白かった!」と絶賛する二村は、「『氷の微笑』や『エル ELLE』で、(バーホーベンの描く女性は)ヤベえなと。それは女性を貶める意味ではなく、単純に“すごい”というのとも違う。『ベネデッタ』では、2023年の日本でも考えざるを得ないような状況にある宗教とは何か?を描いている。この映画でバーホーベンは“信じる”ということについて決めつけをしない。観客はうろたえながら見るしかないのがすごい」と感想を述べる。そして、史実を基にしている本作を「決してユーモラスな映画ではないが真面目な人を怒らせたり、風刺的な意味がある。でも監督自身が一番真面目に撮っている」といい、性愛や痛みのシーンの数々を挙げ「バーホーベンは肉体を撮る人」と評した。「実在の人物を描いていることが衝撃」だったというエビタニは「ペストの時代に、人々のすがりたいものを描いているのがコロナ禍の現代とも通じるものがあった」と振り返る。
AV監督という職業柄、世の中の普通の男性よりは女性同士のラブシーンを見ていると公言する二村は、「(性的描写に関して)これ以上の作品はもちろんあるが、やってはいけない、使ってはいけないものを使う一瞬のシーンがエロい」と禁忌とエロスの関係について言及。エビタニは「私は女性同士のシーンでもベネデッタが男性のようにも見えた。彼女はイエスの花嫁と言っているが、彼女がイエスになりたいのかもと思った」と持論を展開する。さらに二村は「宗教の持っているエクスタシーというものがある」という宗教と性の関係について、フロイトの論考などを引き合いに出して分析し、また、ベネデッタの行動とキリスト教における痛みと愛を、SMプレイの在り方と重ねて解説した。
そのほか、修道院とお金、修道女たちの処女性、ベネデッタと愛し合うことになるバルトロメア(ダフネ・パタキア)、元修道院長のフェリシテ(シャーロット・ランプリング)の設定や女優の名演など、大いに盛り上がったトーク全編はAuDee(https://audee.jp/voice/show/55260)で聞くことができる(無料配信中)。
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