松村北斗×上白石萌音「夜明けのすべて」で再共演! 三宅唱監督、瀬尾まいこの小説を映画化
2023年2月13日 05:00
松村北斗(「SixTONES」)と上白石萌音が、三宅唱監督が瀬尾まいこ氏の著作を映画化する「夜明けのすべて」で主演を務めることがわかった。松村はパニック障害を患う主人公・山添孝俊、上白石はPMS(月経前症候群)で月に一度、イライラが抑えられないもうひとりの主人公・藤沢美紗を演じる。
原作は、「そして、バトンは渡された」で本屋大賞2019を受賞し、映画の大ヒットも記憶に新しい瀬尾氏の同名小説(水鈴社刊)。本屋大賞受賞後の1作目となった本作は、自身のパニック障害の経験をモチーフにしながら、優しくほっこりとした文章で、誰もが抱える暗闇に一筋の光を照らすような心温まる物語。累計発行部数は、5万2000部(2月13日時点)を突破した。
PMSでイライラが抑えられなくなる藤沢は、転職してきたばかりにも関わらず、やる気がなさそうに見える同僚・山添の小さな行動がきっかけで、怒りを爆発させる。藤沢は自己嫌悪に陥るが、実は山添がパニック障害を患い、さまざまなことを諦め、生きがいも気力も失っていることを知る。職場の人々の理解に支えられながら、友だちでも恋人でもないが、どこか同志のような特別な絆が芽生えていくふたり。いつしか、自分の症状は改善されなくても、相手を助けることができるのではないかと思うようになる。
人には理解されにくい症状を抱え、生きづらさを感じながら社会生活を送る山添と藤沢。互いの事情と孤独を知ったふたりは、相手の全てを理解できるわけではないが、遠慮のない素の自分で関わり合うことで、少しずつ希望を見出していく。
NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦を演じた松村と上白石は、本作で映画初共演。松村は、仕事も恋も順調だったが、パニック障害を患ったことで人生が一変し、電車や美容室など逃げ場がない場所に行けなくなった山添を演じる。上白石は、普段はおおらかな性格だが、PMSに悩む藤沢に扮する。ふたりの起用理由について、井上竜太プロデューサーは、「山添くんは一見クールで繊細、心根は優しいキャラクターで、まさに松村さんだと思いお願いしました。藤沢さんを演じた上白石さんは、原作の優しい世界を体現出来る人。ご本人も原作の大ファンで快諾頂きました。おふたりとも原作小説から抜け出したかの様にリアルに魅力的に演じてくれました」と語った。
監督・共同脚本を手がけるのは、「ケイコ 目を澄ませて」が第72回ベルリン国際映画祭ほか21の映画祭に出品され、第77回毎日映画コンクール(日本映画大賞、監督賞)、第96回キネマ旬報ベスト・テン(日本映画作品賞=ベスト・テン第1位)などで受賞を重ねる三宅。原作にオリジナルの要素を加え、ふたりが交流し、少しずつ互いの殻を溶かし合っていくさまを、彼らが見つめる日常の美しさや季節の移ろいとともに、16ミリフィルムでとらえる。
「夜明けのすべて」は、22年末に本編撮影が終了し、現在編集中。24年2月に公開される。キャスト、三宅監督、原作者・瀬尾氏のコメントは、以下の通り。
実はお話をいただいたのは結構前だったので、やっと動きだした今、とても嬉しく思っています。まず原作を読ませていただいた時に、素敵な物語と文章の面白さであっという間に読み終えてしまったのですが、脚本では新たな要素が加わり、でも本作の持つ温かさはもちろん変わらずにそこにあって、改めてすごい脚本だなと感じながら演じました。そして今回、藤沢さんを演じられた上白石さんとは再共演となります。山添くんと藤沢さんは、形容しがたい特別な関係性で難しい部分もありましたが、上白石さん演じる藤沢さんの存在があったからこそ、とても自然に山添くんの日常に溶け込むことができました。三宅監督とは沢山会話させていただいたことが印象に残っています。とても心地の良い距離感で接して下さるので、毎日現場に行って撮影するのが本当に楽しみで撮影が終わる時は寂しい気持ちでいっぱいでした。未来に希望が持てるような作品をお届けしたいと思いますので楽しみにしていてください。
「夜明けのすべて」は元から大好きな小説でしたが、撮影現場は小説がそのまま現実になったかのような空気感でした。三宅監督の深く心強い全方位への愛、松村さんの悔しいくらい素敵なお芝居、隅々までこだわり抜かれた現場。これ以上ないほど贅沢な環境で、緻密な会話を重ねながら藤沢さんを演じた日々でした。できることならタイムスリップしたいくらいです。公開を楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。
この場を借りて、かけがえのない小説の映画化を許可していただいた瀬尾まいこさんに心より御礼申し上げます。ありがとうございました。撮影現場では、山添くんと藤沢さんを演じるふたりの真摯な姿から、生きることの切なさや可笑しさやまだ言葉にならないものを受け取り、いつしか気持ちのいいエネルギーまでもらいました。それらは必ずや映画館のスクリーンを通して多くの方にも伝わるはずだと信じています。幅広い年代の、ユニークという言葉には収まらない役者たちとともに、またタフで軽やかなスタッフたちとともに、真剣に悩みながら、時にはなんとか笑いを堪えながら、この時代に新たな挑戦ができたことを光栄に思います。この物語を必要としているはずのさまざまな方たちに届けられるよう、スタッフ一同、完成に向けて大切に進めていきます。
数年前突然パニック障害になり、楽しみが不安に変わる日々がやってきました。うまくいかないことが多い中、それでも、助けてくれる誰かがいて、明日を待ち遠しく感じることができています。
「夜明けのすべて」は、そんな中できあがった作品で、楽しんで書いている普段とは違い、ゆっくりと立ち止まりながらも書き進めていった物語です。
映画化され、物語の世界に触れられることをうれしく思います。また、見ていただいた方にとってほのかな光がちりばめられた温かいものになればいいなと楽しみです。
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