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森七菜&出口夏希&是枝裕和監督が語り尽くす「舞妓さんちのまかないさん」 オーディション裏話、撮影で得たものとは?

2023年1月28日 09:00

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「舞妓さんちのまかないさん」はNetflixで独占配信中
「舞妓さんちのまかないさん」はNetflixで独占配信中

累計発行部数270万部を超える小山愛子氏のベストセラーコミックを、是枝裕和の総合演出で実写化したNetflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」(全9話)が、Netflixで配信されている。京都の花街を舞台に、舞妓さんたちが共同生活を営む屋形の「まかないさん」となった主人公キヨが、青森から一緒にやってきた親友であり、舞妓として“百年にひとりの逸材”と将来を期待されるすみれとともに花街で暮らしていく日常が、華やかな芸舞妓の世界と美味しいごはんを通して綴られる。

画像2(C)小山愛子・小学館/STORY inc.

企画に川村元気、各エピソード演出を、津野愛(「十年 Ten Years Japan」)、奥山大史(「僕はイエス様が嫌い」)、佐藤快磨(「泣く子はいねぇが」)ら次世代を担う注目監督が担当している。

原作ファンはもちろん、映画ファンからも注目を集める本シリーズについて、ダブル主演を務めるキヨ役の森七菜、すみれ役の出口夏希、そして是枝監督に話を聞いた。(取材・文/壬生智裕/写真・山口真由子)


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――キヨとすみれは、青森から一緒に京都にやってきた親友同士という役柄です。そうした役をお二人はどうご覧になっていましたか?
森七菜(以下、森):私自身は幼なじみと呼べる子がまわりにいなかったので、自分の経験に照らし合わせることができなかったんです。しかも、夏希ちゃんともオーディションではじめてお会いしたので、本読みの段階はしゃべれなくて。お互いチラチラと見ながら様子を伺っていたなという記憶があります。

キヨとすみれは本当に飾らない関係というか、お互いのことが大好きで、信頼し合っています。だからこそ、相づちを打たない時があっても、ちゃんと話を聞いているのは伝わっているんだな、というところまで到達したいなというのが私の目標でした。だから焦らないように、嫌われないように、すーちゃん(すみれ)と距離を縮めていこうとしていました(笑)。でも、夏希ちゃんと過ごす毎日がとても心地良くて。キヨとすみれという2人の関係性に近づけたのは、本当に夏希ちゃんのおかげです。この2人で良かったなと思います。

出口夏希(以下、出口):すみれとキヨは幼なじみで、お互いに何も言わなくても察するというか、お互い口に出してないのに分かりあっています。私も最初はどうやったらキヨとすみれのような関係になれるのかな、七菜ちゃんと仲良くなれるのかとても不安でした。でも、七菜ちゃんとは本当にあの撮影期間で仲良くなれた気がしましたし、撮影中はずっと私のことを見てくれていたので、大切な存在になりました。
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――お二人が演じたからこそ見えてきた部分は?
是枝裕和監督(以下、是枝監督):二人は撮影が始まる前から、こういう関係になってくれました。そうなると、演出家は何もすることがないんですよ。撮る側としては、この二人の距離感をどう捉えるか、お互いに自分だけが知っているお互いの良さといったものは何なのかということを考えながら、カットを重ねていきました。
――このお二人の関係性が構築されているなというのは、どのあたりで感じましたか?
是枝監督:撮り始めてすぐですね。2話で、屋形を辞めると言い出したキヨの部屋に、すみれがやってくるシーンがあるのですが、非常に説得力がありました。部屋を飛び出そうとしているすみれをキヨが引き留めるところは、ただ悲しいだけでもない、あの言い方がすごく良くて。そういう微妙な表現の中で、ちゃんと二人が立ち上がってくる感じをすくい取れたので安心しました。
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――主演のお二人はオーディションで決まったそうですが、どういったところが決め手だったのでしょうか。
是枝監督:まったく新人ではない森さんをオーディションに呼ぶということで、ごめんねというところからスタートして。もちろん二人は最初から素晴らしかったのですが、これは群像劇でもありますから。その中に彼女たちを置いた時にどういう化学変化が起こるのか、誰と組み合わせたら一番魅力が引き出せるのか、ということはいろんな組み合わせを試しました。それをやっていく中で、キヨは森さん以外考えられないということになり、あとは誰と組んだら面白いかということで選んでいきました。
――劇中でキヨは「福を呼び込む」ということを言われる描写がありましたが、そこも森さんと重なる部分があったということですか?
是枝監督:もちろんそういう太陽みたいな感じもありましたが、何より芝居が非常に柔軟でした。何でも来いというか、どんな相手でも組める。この年齢で、相手のいいところを引き出せるというのはなかなかないです。オーディションのときからそうでした。

一方の出口さんはまだまだ荒削りで、とても良いテイクと全然できないテイクが交互にあるような人。でもある瞬間、急にフワッとできる瞬間が出てくる。たぶん自分でも分からず、そういうのが出てきちゃっている感じだから、現場で見ているとハラハラするんだけれど。いい形でそれを森さんに引き出してもらったと思います。二人は本当にお芝居の相性が良かったですね。

Netflixで独占配信中
Netflixで独占配信中
(C)小山愛子・小学館/STORY inc.
――お二人はどういう意気込みでオーディションに挑みましたか?
森:私はキヨを演じることができたらいいなと思っていました。私自身食べることが大好きで、自分にすごく合っているというか。自分の適性で考えた中で、一番狙っていこうと思っていた役でした。ただそうは思っていましたけれど、舞妓さんもいいなと思っていて(笑)。京都弁もいっぱい練習していたんですけれどね。
――ということは特定の役柄のオーディションということではなく、オーディションの中から役が決まっていくような、総合的なオーディションだったのでしょうか。
森:はい。同じメンバーでも役を入れ替えたりとか、そういう感じでした。
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――実際のオーディションではいかがでしたか?
森:実は2年くらい前にお仕事ノートをつけていたのですが、そこに自分の夢とかいろいろ書いているなかに、「是枝監督の作品に出る」と書いていたんです。いつかお仕事でご一緒できたらいいなと思っていました。オーディションの前にそのノートを見て、その時の自分が持っていた夢を叶えたいと強く思うようになって。そういう意気込みで挑んだのですが、1回目のオーディションの後は自分でも落ち込むくらいダメで。自分のことを責めちゃったんです。今の芝居じゃダメだと、本当にそういうところまでいって、渋谷の街を泣きながら帰りました(笑)。
――そんなことがあったんですか。
森:でも、そうしたら2回目も呼んでくださったので頑張りました。監督が「今度は泣かないで帰ってね」と言ってくださって。本当に優しい方なんだなと思って、さらにご一緒したい気持ちが高まりました。だから、「キヨ役で」と言っていただいた時は本当に嬉しかったですね。信じられなかったですし、撮影が終わった今でもフワフワ浮いているような気持ちです(笑)。
出口:私は、台本を何日か前にもらってから挑むというオーディションしか受けたことがなかったので、台本も前情報も何もないままで戸惑ったのを覚えています。ただ、オーディションでは、監督が口伝えで言ったセリフを言うのが本当に楽しくて。ずっと笑顔だったと思います。1回目は楽しかったなと帰ったのですが、2回目もあると聞いて、ここまで来たら受からなきゃと思いました。2回目のオーディションの時に監督が「すみれの役を取りに来たな」と言っていたんですけれど、もしかしたら本当にそうだったかもしれないです。
是枝監督:実は、出口さんには違う役のパターンもやってもらっていたんですよ。違う組み合わせでお芝居をしてもらったりもしたけれど、その時はわざと下手にやってるんじゃないかというくらいでね。
出口:そんなことないですよ(笑)。
是枝監督:でも、すみれをやるときは120%で来たから。すみれをやりたいんだなというのが伝わってきました。
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――そんな出口さんは、今回の現場で得たことはありますか?
出口:お芝居への向き合い方です。こんなに豪華なキャストの方々に囲まれて、皆さんからたくさん学ばせていただきました。あとは……七菜ちゃん! いつも私のことを気にかけてくれていて。この関係が現場だけじゃなくて、撮影が終わった今も続いているのが嬉しいです。
森:ありがとう(笑)。
――もともと是枝さんの作品はご覧になっていたのですか?
出口:私は高校2年生でこの世界に入ったのですが、いろいろと映画やドラマは見ていても、監督が誰とかまでは分からなかったんです。撮影が終わって、改めてすごい場所にいたんだなと、実感しています。
――森さんは、是枝作品に出るということが目標になっていたようですが。
森:映画っていっぱいありすぎて正解が分からなくなることがあるんですが、そういう時に自分がこう行きたいなという道しるべになってくれた作品がいくつかあって。そのひとつが是枝さんの作品でした。
――具体的にどの作品がお好きだったんですか?
森:全部です。作品の内容もそうですけど、是枝さんの作品に共通する雰囲気が好きなんです。もしこの世界に入ることができるなら、どういう化学変化が起きるんだろうと気になっていたので、オーディションがあると聞いた時は、是枝監督に会えるんだろうなと思ってワクワクしました。
画像10(C)小山愛子・小学館/STORY inc.
――実際、参加してみて今の気持ちはどうですか?
森:今もフワフワしています。作品の中でも道しるべ的な存在でもあったので、改めて是枝さんの現場を堪能できたのかと言われると、そういう余裕もなかったような気がして。それはちょっと悔しい気持ちでもあるんですが、でもそれはキヨの仕事だからしょうがないなと思いつつ。でも、こういう世界観の中で、道しるべとしての役割を担わせてもらえたことで、自分自身でもこの作品に入る前よりもすごくしっかりした人になったような気がしますし、自分がやりたいこととか、見たいものの目安が言葉にできるぐらいはっきりになったのかなと思っています。
――是枝監督は本作の資料で「究極的なことをいうと、いちばんやりたいのは連続ドラマ」とおっしゃっていました。これまでどんな連続ドラマに影響を受けてきたのでしょうか? また、ドラマならではの作品作りの面白さはどんなところでしょうか?
是枝監督:作品で言うと「時間ですよ」「寺内寛太郎一家」「前略おふくろ様」「傷だらけの天使」「池中玄太80キロ」「岸辺のアルバム」「想い出づくり」あたりが原点です。今回は何も起きなかったね、とか、主役お休みだったね、などという回が成立してしまうのが連ドラの魅力の一つだと思いましたね。
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――フードスタイリストの飯島奈美さんが手がけた劇中の食べ物が本当に美味しそうだったのですが、お二人が美味しかったなと思ったメニューはありますか?
森:飯島さんが握ったおにぎりがフワフワで、本当に美味しかったです。あとは、ほうれん草のごまあえも美味しかったです。こんなに美味しいものを初めて食べたというくらい。ほうれん草の素材感と、ごまの甘みがうまいこと合わさっていました。こんなささやかな料理なのに、こんなにも才能を発揮できるなんて本当にすごいと思って。私もそんなお芝居をする人になりたいなと思いました(笑)。
出口:この質問には、これまでずっと親子丼と答えてきたのですが、今日いろいろと話していくうちにカキフライのことを思い出しました。実は、それまでカキフライが苦手だったんです。でも飯島さんが作る料理は、本当に食べてみたくなるようなお料理で。なんで今まで食べなかったんだろうというくらい美味しかったです。

京都に今も残る文化や風習を通じて、舞妓さんやまかないさんたちの何気ない日常を繊細に描き出した「舞妓さんちのまかないさん」。日々の暮らしに流れるゆったりとした時間を愛でるような視点が心地よく、全9話のドラマを見終わった後も、もっとこの世界に浸っていたいという思いにさせてくれる。そしてその世界の住人として、俳優として瑞々しい存在感を体現していた森と出口。この日の取材中も、そうしたほんわかとした空気が心地よい空間となっていた。

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