鈴木亮平&宮沢氷魚、キスシーン秘話を明かす 役名ではなく本名を呼ぶ演出に驚き
2023年1月19日 19:12
本作は、故高山真さんの自伝的小説を、「トイレのピエタ」「ハナレイ・ベイ」の松永大司監督が映画化。14歳で母を失い、現在は東京でファッション誌の編集者として働く浩輔と、シングルマザーである母を支えながら暮らす龍太の関係が描かれている。この日は浩輔役の鈴木、龍太役の宮沢のほか、阿川佐和子、ドリアン・ロロブリジーダ、松永監督らが登壇した。
予告編にも登場する、歩道橋で龍太が浩輔の名前を呼び、振り返ってキスをする場面の話題になると、宮沢は「何回かテイクを重ねて、4か5テイク目の時に監督から『浩輔さんではなく亮平さんと言って』と(演出があった)。何回もテイクを重ねていると慣れてしまう。亮平さんは驚いた表情をされていて、監督は新鮮で新しい反応を求めてそうしたんだと思います」と裏話を語り、鈴木は「後半になるとそういうことが多いので慣れてきましたけれど(笑)、サプライズが多い現場だった」と振り返った。
主演を務めた鈴木は、「とにかく原作が素晴らしい。おこがましいですが、自分に似ていると思ったんです。自分がやるべきご縁だと思った」と出演の決め手を明かす。しかし、「出たいと思ったけれど、自分がやっていいんだろうか。きちんとした恋愛映画として成立できるのか」と葛藤があったが、本作に携わったLGBTQ+inclusive director、intimacy choreographer、LGBTQ当事者らの存在が支えになったという。
「ゲイであることの描写がリアルかをチェックしてくれる。かつ、リアルであったとしても、世間に与える影響がどうか、例えば差別や偏見を助長しないかチェックしてくれました。脚本の段階から確認してくれて、当事者の方との座談会をしてくださったり、宣伝内容の文言一つまでも関わってくださった。無知だった自分は一から勉強させてもらった」(鈴木)
宮沢も「自分の発した言葉や行動が正しいかという判断が僕たちにはできなかったのですが、指導していただくことで、僕たちは自由にお芝居ができた。たくさん助けられました」と感謝していた。
映画に初出演し、この日明るいキャラクターで盛り上げていたドリアン・ロロブリジーダは、高山さん生前親交が深かったそうで、「彼の作品が映画化されて、素晴らしい作品になるお手伝いができて嬉しかったし、光栄でした」と感慨深げ。阿川は、松永監督について「こうやって演者の心を開いたりしているのかとか、監督の演出の仕方一つひとつが面白かった」と話していた。
また、本作は3月12日に香港で授賞式が予定されている「第16回アジア・フィルム・アワード(AFA)」にて、主演男優賞に鈴木、助演男優賞に宮沢、さらに衣装デザイン賞がノミネートされている。松永監督は「本当に本当に嬉しいです。なぜ選ばれたのか、この映画を観てもらったらわかると思う」と自信をにじませ、「久しぶりにみんなと顔を合わせて、改めていいチームで映画を作ることができたと思っています」と笑顔を見せていた。
「エゴイスト」は2月10日から全国公開。 R15+指定。