映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

藤ヶ谷太輔、クズ男に注いだ役者魂 アイドル業との両立も語る「自分の課題」

2023年1月13日 12:00

リンクをコピーしました。
藤ヶ谷太輔
藤ヶ谷太輔

映画「そして僕は途方に暮れる」(公開中)で、ばつが悪くなるとその場しのぎで逃げ出してしまう主人公を演じた「Kis-My-Ft2」の藤ヶ谷太輔。アイドル業で見せる表情とは正反対とも言える、見事なクズ男っぷりを体現して新境地を開いている。「グループ活動に支障が出た」というほど過酷を極めた撮影を通して、自分自身についてあらゆる発見もあったと告白した彼。俳優業に感じている可能性や、「バラエティやMC業もやっている自分だからこそ、できる芝居があるはず」と唯一無二を目指す今の思いを明かした。(取材・文/成田おり枝)

画像2(C)2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会
■クズ男に注いだ役者魂「徐々にやつれ、頬もこけ……」

2018年にシアターコクーンで上演された三浦大輔のオリジナル舞台を、三浦の監督&脚本、藤ヶ谷主演という再タッグで映画化した本作。藤ヶ谷演じるフリーターの菅原裕一が、ほんの些細なことから、恋人や親友、先輩、後輩、家族などあらゆる人間関係を断ち切っていく姿を描く逃避劇だ。

画像3(C)2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会

愛の渦」や「娼年」を手掛けてきた三浦監督は、リアルかつ、人間の心の奥深くを抉り出す独特の世界観を描くために、妥協を許さず、何度もテイクを重ねながら撮影をしていく。役者にとっては、監督の求める微妙なニュアンスをとらえる作業が必要となる。舞台に続いて裕一を演じることになった藤ヶ谷は「同じ役を再び演じられるということはなかなかできることではないので、映画化の話をいただいたときは『また裕一を演じられるんだ』と一瞬の喜びがありました」と切り出し、「でも舞台であれだけしんどい思いをしたので、『これはかなり気合を入れていかないといけないな』とちょっとテンションが下がりました」と苦笑い。舞台の公演中は日々120%の力を振り絞りながらも「毎朝ダメ出しをもらった」というだけに、映画化というプロジェクトに臨む上でも相当な覚悟が必要だったという。

スタートした撮影は、やはり過酷を極めた。藤ヶ谷は「三浦組は、とにかく何度も同じシーンを繰り返すんです。まったくOKが出ない。一発でOKが出たことは一度もないです」と述懐。

終盤のある大事なシーンでは、「ワンテイク目で全部出し切ったら、三浦監督には珍しく『120点が出たよ!』と言ってくださって。『ついにワンテイク目でのOKが出たか!』と思ったら、『あと8回、頑張ろう』と。倒れそうになりました(笑)」と振り返り、最後のシーンにおいては「100回弱くらいやった」とも。劇中の裕一はすべてをうやむやにして逃避を繰り返すが、藤ヶ谷は「逃げ出したいほど過酷だった。裕一は逃げられていいなと何度も思った」という撮影に立ち向かい、「僕自身も徐々にやつれていって、頬もこけていった。でも完成作を観てみると、僕自身の疲弊ぶりが、逃げれば逃げるほど疲弊していく裕一に反映されていた。それはすごくよかったなと思っています」と自信をのぞかせる。

画像4(C)2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会
■改めて決意「グループ活動に支障が出る量のソロ活動はやらない」

藤ヶ谷のストイックさが、逃げ続けて追い詰められていく裕一の切実さと融合。滑稽ながら、「逃げ出したくなることってあるよな」とリアルな共感を呼ぶキャラクターが誕生したが、身を削るようにして挑んだ撮影は、「Kis-My-Ft2」としての活動にも「初めて支障が出てしまった」と打ち明ける。

「めちゃめちゃ影響が出ましたね」と破顔した藤ヶ谷は、「撮影は戦場のようでもあったので、あまり寝られていませんでした。撮影後から半年くらいは、なんだか調子がおかしかったですね。撮影が終わってすぐにライブがあったんですが、自分の心や表情が動かなくなってしまっていて。それだけ役と向き合えたんだとプラスに捉えていますが、そういった状態でライブをしたことで、ファンの皆さんにはご迷惑をおかけしてしまったなと思っています」と告白。「それ以降は、『グループ活動に支障が出る量のソロ活動はやりません』とマネージャーさんにも伝えています。グループ活動に支障を出さずにそのことに気づけたら一番よかったんですが、やってみないとわからなかった。本作での経験を通して、自分自身を見つめることもできたし、自分のキャパを知ることができたと思っています」と語る。

画像8(C)2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会

とはいえ、役者業への情熱を確かめた期間にもなったのも事実だ。「家で台本を読んでいるとき以上に、実際にロケ場所に立って、お芝居をしている相手の方、ヘアメイクや衣装など、すべてがそろったときに、グッと可能性が広がるのを感じられる。それは役者業の醍醐味だと思います。相手がいることで、自分の芝居が変わっていく。一人では絶対にできなかったものが、誰かとの出会いによって、まったく知らない自分を引き出してもらえるというのは、とても面白いことです。そして僕は、役者って『現場が楽しかったです』で終わらせてはいけない職業だと思っています。観客の方の糧や、何かになれるようなものを生み出さないといけない。誰かの心を動かす芝居をしなければいけないということには難しさも恐ろしさも感じますが、現場で味わえる醍醐味、誰かに何かを届けられること。その両方を叶えられる仕事ができていることは、本当にありがたいことだなと思っています」と喜びをにじませる。

画像5(C)2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会
画像6(C)2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会
■「自分だからこそできる芝居を」唯一無二を目指す覚悟

役者としてもそうだが、こうしてインタビューで対峙していても自身の胸の内をしっかりと言葉にするなど、藤ヶ谷の“伝える力”には目を見張るものがある。藤ヶ谷は「それはジャニーズ事務所で学んできたもの。ジャニーズって、いろいろなことをできないといけない。ジャニーズにいるからには、あらゆることにおいてある程度の合格ラインに達していないといけないのかなと思っています」とキッパリ。アイドル業、MC業、役者業など活動は多岐に渡るが、それらをどのように両立させていくかは「いつも自分の課題」だという。

「お芝居をやってその難しさに真正面からぶつかると、『自分は芝居ができないんだ。もっと芝居に挑戦したい』と感じます。そういう思いが強くなったとしても、僕はバラエティ番組にも出ることがありますから『僕がバラエティ番組に出ている時間にも、ほかの俳優さんはお芝居をしている』と焦りを感じている時期もありました」と正直に明かしつつ、「でも今は『芝居をする』という以上に、『表現をする』という大きな括りで考えるようにしています。バラエティをやっていたら、俳優業においても、お芝居だけやっている人とはまた違うリズムを作れるかもしれない。MCをやっていれば、そこで培った“聞く力”をお芝居に生かすこともできるかもしれない。そう信じて、活動のすべてを大事にしたいなと思っています」と吐露。

「そうすると、バラエティやMC業もやっている自分だからこそできる芝居が、死ぬ前くらいに見つかるんじゃないかなって」と微笑みながら、「いつか『全部を手放さないでよかった、これは自分にしかできないんだ』と思えたら、最高だなと思っています」と清々しく、そして力強く語っていた。

画像7(C)2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会

藤ヶ谷太輔 の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

止められるか、俺たちを

止められるか、俺たちを NEW

2012年に逝去した若松孝二監督が代表を務めていた若松プロダクションが、若松監督の死から6年ぶりに再始動して製作した一作。1969年を時代背景に、何者かになることを夢みて若松プロダクションの門を叩いた少女・吉積めぐみの目を通し、若松孝二ら映画人たちが駆け抜けた時代や彼らの生き様を描いた。門脇むぎが主人公となる助監督の吉積めぐみを演じ、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」など若松監督作に出演してきた井浦新が、若き日の若松孝二役を務めた。そのほか、山本浩司が演じる足立正生、岡部尚が演じる沖島勲など、若松プロのメンバーである実在の映画人たちが多数登場する。監督は若松プロ出身で、「孤狼の血」「サニー 32」など話題作を送り出している白石和彌。

青春ジャック 止められるか、俺たちを2

青春ジャック 止められるか、俺たちを2 NEW

若松孝二監督が代表を務めた若松プロダクションの黎明期を描いた映画「止められるか、俺たちを」の続編で、若松監督が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台に描いた青春群像劇。 熱くなることがカッコ悪いと思われるようになった1980年代。ビデオの普及によって人々の映画館離れが進む中、若松孝二はそんな時代に逆行するように名古屋にミニシアター「シネマスコーレ」を立ち上げる。支配人に抜てきされたのは、結婚を機に東京の文芸坐を辞めて地元名古屋でビデオカメラのセールスマンをしていた木全純治で、木全は若松に振り回されながらも持ち前の明るさで経済的危機を乗り越えていく。そんなシネマスコーレには、金本法子、井上淳一ら映画に人生をジャックされた若者たちが吸い寄せられてくる。 前作に続いて井浦新が若松孝二を演じ、木全役を東出昌大、金本役を芋生悠、井上役を杉田雷麟が務める。前作で脚本を担当した井上淳一が監督・脚本を手がけ、自身の経験をもとに撮りあげた。

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命 NEW

19世紀イタリアで、カトリック教会が権力の強化のために7歳になる少年エドガルド・モルターラを両親のもとから連れ去り、世界で論争を巻き起こした史実をもとに描いたドラマ。 1858年、ボローニャのユダヤ人街に暮らすモルターラ家に、時の教皇ピウス9世の命を受けた兵士たちが押し入り、何者かにカトリックの洗礼を受けたとされるモルターラ家の7歳になる息子エドガルドを連れ去ってしまう。教会の法に則れば、洗礼を受けたエドガルドをキリスト教徒でない両親が育てることはできないからだ。息子を取り戻そうとする奮闘する両親は、世論や国際的なユダヤ人社会の支えも得るが、教会とローマ教皇は揺らぎつつある権力を強化するために、エドガルドの返還に決して応じようとはせず……。 監督・脚本は、「甘き人生」「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」「シチリアーノ 裏切りの美学」などで知られるイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ。教皇ピウス9世役はベロッキオ監督の「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」にも出演したパオロ・ピエロボン。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

コカイン・ブライド

コカイン・ブライド NEW

娘・ダーシャの将来のため、暴力的な夫から逃れようとマッチング・サイトに登録したニーナは、アメリカで暮らす裕福な引退した外科医・カールと出会う。すぐさまロシアからアメリカへと渡った親子は、ささやかな結婚式を行い、幸せな生活を楽しみにしていた。しかし、結婚式の直後から、ニーナとダーシャに不可解な現象が次々と降りかかる。頼りにしていたニーナの親戚は結婚式の帰路で事故死し、ダーシャは屋敷の中で女の幽霊を見るようになる。そんななか、ニーナはカールがコカインを吸っているところを見てしまう。ダーシャの将来を考えやりきれなくなったニーナは、人里離れた屋敷から出ていくことを決意するが…。

キャンディ・ウィッチ

キャンディ・ウィッチ NEW

現世に残る死者の声を聞く能力者のリースとその相棒兼恋人のキャットは、霊障に悩む人々からの依頼を受け、心霊現象の調査と除霊を行っている。ある夜、ルースという女性から「キャンディ・ウィッチに苦しめられている」と連絡を受けたリースは、キャットと共にヘザーの家を訪れる。お菓子の杖で子供を襲うキャンディ・ウィッチの正体は、かつて町の子供たちを虐待し苦しめた邪悪な乳母の悪霊だという。しかし、調査を進めるにつれ、キャンディ・ウィッチの呪いに隠された町の暗部が明らかになっていく。果たしてリースは、この悪霊の殺戮を阻止し、町にはびこる邪悪な呪いを解くことができるのか?

蒲団

蒲団 NEW

文豪・田山花袋が明治40年に発表した代表作で、日本の私小説の出発点とも言われる「蒲団」を原案に描いた人間ドラマ。物語の舞台を明治から現代の令和に、主人公を小説家から脚本家に置き換えて映画化した。 仕事への情熱を失い、妻のまどかとの関係も冷え切っていた脚本家の竹中時雄は、彼の作品のファンで脚本家を目指しているという若い女性・横山芳美に弟子入りを懇願され、彼女と師弟関係を結ぶ。一緒に仕事をするうちに芳美に物書きとしてのセンスを認め、同時に彼女に対して恋愛感情を抱くようになる時雄。芳美とともにいることで自身も納得する文章が書けるようになり、公私ともに充実していくが、芳美の恋人が上京してくるという話を聞き、嫉妬心と焦燥感に駆られる。 監督は「テイクオーバーゾーン」の山嵜晋平、脚本は「戦争と一人の女」「花腐し」などで共同脚本を手がけた中野太。主人公の時雄役を斉藤陽一郎が務め、芳子役は「ベイビーわるきゅーれ」の秋谷百音、まどか役は片岡礼子がそれぞれ演じた。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る