(C)2020 SN Movie Holdings Ltdクリスマスイブのディナーパーティー。ネル(キーラ・ナイトレイ)とサイモン(マシュー・グード)、息子のアート(ローマン・グリフィン・デイビス)たち家族のもとに、親友たちが次々と集まってくる。しかし、今年はいつものクリスマスとは違っていた。あらゆる生物を死滅させる謎の猛毒ガスが地球全土を席巻し、明日にもイギリスに到達するのだ。大人たちはパーティーを満喫した後、政府が配布した“EXITピル”という自殺用の薬を飲み、共に“尊厳ある死”を迎えるという協定を結んでいた。
「ジョジョ・ラビット」のときから身長が高くなり、声もぐっと低くなったデイビス。母であるグリフィン監督とはとても仲が良い様子で、監督好みの映画を一緒に家で見ていることも話してくれた。ちなみに、劇中のアートには双子の弟がいる設定で、この弟2人もデイビスの実の双子の弟である。
カミラ・グリフィン監督――クリスマスと世界の終末という組み合わせが斬新でした。本作のストーリーはどのように思いつきましたか?
グリフィン監督:最初にアイデアを思いついてからストーリーを書き出しました。10ページくらい書いてから、この話は夏だと変だと感じたんです。以前から、クリスマスに対して複雑な気持ちを持っていました。楽しい時間であると同時に、孤独な人にとってはつらい時間でもあるからです。以前はクリスマスにセンチメンタルになるようなこともあって、連絡を取ることのない友人たちは今何をしているんだろうと考えることもありました。それなので、感傷的になることもあるクリスマスの設定がいいと思いました。
――ローマンさんが重要な役で出演されています。最初から彼を想定していたのでしょうか。
ローマン:母はずっと映画が撮りたくて、何年も脚本を書いて、書く度に僕に読ませてくれました。母の短編には出たこともありましたが、一緒に仕事をするのが好きなんです。一緒に仕事をするとよりオープンになれるし、演技に関して質問をすると自分の役にも立ちます。この役はオーディションをしなくてよかったんだよね?
グリフィン監督:(演技を確認するための)テープは作ったよね。
ローマン:でも、母には僕以外の選択肢はなかったんじゃないかと思います。これで僕を起用していなかったら、お互い気まずかったと思います(笑)。
グリフィン監督:私は今48歳で、初めて短編を作ったときは19歳でした。ずっと映画を作りたくて、何度も脚本を書きましたし、助成金が欲しくていろんなところに応募もしましたが、イギリスの映画産業では全然お金がもらえませんでした。なので、今使えるものを使って、低予算の自主映画を作ろうと思ったんです。役者はローマンを想定して脚本を書いたのですが、その脚本に
マシュー・ボーン(「
キングスマン」シリーズ)が興味を持ってくれて、サポートをしてくれたんです。彼が関わってくれたことで、きちんとお金が出る映画になりました。
そういう経緯もあってローマンをイメージして映画を作りましたが、一応テープは作りました。ほかのスタッフたちに見せて、やっぱり彼はできるねと言ってもらえたんです。家族だから贔屓していると批判されたこともあるんです。でも、そうではありません。彼は素晴らしい俳優ですし、たまたま自分の息子だった。家族として一緒に仕事ができることは嬉しいですし、今回は内容がデリケートなので、ほかの子どもを使うのが難しいということも事実でした。
ローマン・グリフィン・デイビス――プロデューサーを務めた
マシュー・ボーンの力が大きかったということですが、今回どのように関わっていますか。
グリフィン監督:私はマシューの初監督作品でカメラアシスタントをしていたので、長い付き合いになります。マシューにアドバイスしてもらおうと思って、この作品の脚本を彼に見せたのですが、「これで映画を作ったほうがいい」と言ってくれました。彼がいなければこの映画はできませんでした。小さい映画ですが、とても野心的な作品です。この映画を良くするために、「もっとできる」と励まして、私を追い詰めるんです(笑)。
(C)2020 SN Movie Holdings Ltd――お2人がどんな映画に影響を受けてきたのか教えてください。好きな映画監督や作品はありますか?
デイビス監督:そう。昔から「
グラン・ブルー」が好きで、ヌーベルバーグも大好き。フランス映画が大好きなんです。
ウッディ・アレンの作品も、彼をどう思うかは別として好きです。「
ローズマリーの赤ちゃん」もよく見ていて、ローマンの名前は
ロマン・ポランスキー監督からとっています。なるべくいろんな映画を見るようにしているのですが、ローマンは我慢強くいろんな映画を見るタイプで、私が好むアート作品も一緒に見てくれるんです。
ローマン:両親が見ている作品が好きなので、僕は古い映画が好きです。キューブリックのスケールの大きさやメッセージ性のあるところも好きです。ロックダウン中には、
マーティン・スコセッシの作品も見ました。
(C)2020 SN Movie Holdings Ltd「サイレント・ナイト」は、11月18日からグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国公開。
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