「パトレイバー」新作は“アレ”がない? 却下された「特車二課の解体」とは? メカニックデザイナー・出渕裕が語る
2022年10月30日 11:30

第35回東京国際映画祭のジャパニーズ・アニメーション部門で10月29日、押井守監督の「機動警察パトレイバー2 the Movie(サウンドリニューアル版)」が上映され、メカニックデザイナーの出渕裕が東京・角川シネマ有楽町でのトークショーに出席した。
今作は、「機動警察パトレイバー」シリーズの劇場版第2作。2002年、突如として横浜ベイブリッジが爆破される事件が発生。自衛隊機によるものと報道されるが、該当する機体は存在しなかった。同様の不審な事件が都内でも相次ぎ、警察と自衛隊の対立が深刻化。政府は実働部隊を治安出動させ、警視庁特車二課第2小隊隊長の後藤らが、東京に戦争を再現させたテロリストの正体を追う。
司会の藤津亮太氏(アニメ評論家)が、製作が決定しているシリーズ最新作「パトレイバーEZY(イジー)」の話題をあげると、出渕は「これは別に言っても支障がないと思いますが、実は『EZY』の話が具体化する前に、別の形で軽い打診があったんです。メーカーさんなどから『パトレイバーはまだやれるタイトルじゃないか』と相談をされた」と告白。その際に提案したというストーリー概要を明かした。

出渕「『刀狩りじゃだめ?』と言ったことがあって。要するに、もう使えなくなったレイバーとかを没収するというか。危険なものだとわかりはじめたから、それで……」
藤津氏「銃刀法的な扱いでということですよね」
出渕「そう。隠したり、引き渡さない者に対してね。それが完了すれば、取り締まる相手もいなくなるわけですから、特車二課が解体されるという話。そうすればきれいに終われるんじゃないかなと思ったんです」
藤津氏「仕事を完遂すると用がなくなる組織という設定ですね」
出渕「でも、そういう話をしたら『それは夢を壊すからやめてください』と却下されたわけです(笑)」
幻のストーリーとなった「特車二課の解体」。さらに本部門の特集テーマが「アニメと東京」であることから、出渕は「今はどんどん東京の風景が変わっていますよね。渋谷にしても変わっていて。今度、新宿も再開発で。再開発に困っているんですよ。今ある風景だと、それをベースにしてきっちり作れるんですけど、完成予想図だとかなりファジーなんですよね」と苦労を語る。
そのうえで、「スカイツリーがあるじゃないですか。あれはできているからいいと思うでしょ? でも使うのに許可がいる。なかなか許可を出してくれないのかな? だから、うちらの作品以外でも映像作品にスカイツリーはあまり映らないんですよね」と説明し、「ケチだよね(笑)。東京タワーはいくら使ってもいいのに。シンボルとして。それで決めたんです。どうせパラレルなんだから、今回作るパトレイバーの新作は、スカイツリーがない世界です。使わないとかじゃなくて、そこにない! 存在しない(笑)」と新作は“スカイツリーのない世界”であることを明かすと、客席から笑いが沸き起こっていた。
第35回東京国際映画祭は11月2日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
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