“ゼロ距離”でつくった「雨を告げる漂流団地」がたどり着いた新境地 「これが今の率直なところ」
2022年10月30日 21:00
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第35回東京国際映画祭のジャパニーズ・アニメーション部門で10月30日、オリジナル劇場アニメ「雨を告げる漂流団地」が東京・角川シネマ有楽町で上映され、石田祐康監督がアニメ評論家の藤津亮太氏とともにトークに臨んだ。
同作は、「ペンギン・ハイウェイ」などを手がけるスタジオコロリドによる長編アニメーション第3作。取り壊しの進む団地に入りこみ、不思議な現象によって団地ごと海を漂流することになった小学6年生の少年少女たちが繰り広げる、ひと夏の別れの旅が描かれた。
藤津氏から長編1作目の「ペンギン・ハイウェイ」の時と製作時の心構えの変化を聞かれた石田監督は、「ぐるぐる(思考が)回りながら色々考えました」と述懐。原作のあった「ペンギン・ハイウェイ」は主人公のアオヤマ君に感情移入しながらも、作品と一定の距離をとって俯瞰(ふかん)してつくれたが、オリジナル作品である「雨を告げる漂流団地」は、色々な人の意見を聞きながらつくっていくなかで作品との距離が自然と“ゼロ距離”に近いところまでいってしまったところが前作とは大きく違っていたと話す。
作品のすべてにおいて「これが今の率直なところ」と言えるほど、当時の石田監督が置かれた状況、製作期間と被ったコロナ禍の雰囲気などがビビッドに反映されているそうで、「キャラクターの気持ちの部分をまず率直に描いていかなければ」という方向に流れていったと石田監督は振り返る。それゆえに今作では、石田監督の過去作「ペンギン・ハイウェイ」「陽なたのアオシグレ」で見られた、キャラクターの感情と行動が一気に解き放たれるようなクライマックスにはなっていない。その点を藤津氏は、「キャラクターの感情を丁寧に演出したところは石田監督の新境地だったのではないか」と指摘する。
劇場公開・配信開始から約1カ月半が経ったいま、石田監督は「痛々しいぐらいに“率直に描く”」ことに一定の手ごたえを感じていると話しながら、その一方で「多くの人に見てもらうときには“さじ加減”も必要だと感じた」と今後の課題についても“率直に”明かした。それらすべてを今後の糧にしたいと話す石田監督は、観客に来場への感謝を述べながら「これからも頑張っていきたい」と意欲をのぞかせた。
第35回東京国際映画祭は、11月2日まで開催。
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