「零落」竹中直人監督×斎藤工×趣里×MEGUMIで映画化 浅野いにおが描いた“漫画家の極限の業”
2022年10月27日 08:00
漫画家・浅野いにお氏の新境地となった衝撃作「零落」(読み:れいらく)の映画化が決定し、2023年3月17日に全国公開されることがわかった。監督を務めるのは、竹中直人。主人公を斎藤工が演じ、趣里、MEGUMIが共演する。あわせて、浅野氏による描き下ろしイラストも披露された。
「ソラニン」「うみべの女の子」「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」などで知られる浅野氏。「ソラニン」から約11年後に連載された「零落」は、 漫画家として残酷なまでの“業”をテーマにした作品。圧倒的な空虚感という極限状態を経験して初めて現れる、人気漫画家の本当の姿、漂流する“表現者”の魂の喪失と覚醒が描かれている。
俳優、歌手して活動する一方、映画監督もこなすなど、マルチに活躍している竹中監督。主演も務めた初監督作「無能の人」をはじめ、「119」「東京日和」「サヨナラCOLOR」「ゾッキ」などがあり、本作が“監督作10本目となった。映画化のきっかけは、竹中監督が本屋に訪れた際の出来事。原作の帯に描かれている猫顔の少女の視線と出会い、「零落」という文字に惹かれ手に取り、読み終えた後「絶対に映画にしたい!」と心が叫んだという。
俳優のみならずプロデューサーや映画監督としても活躍する斎藤は、売れっ子漫画家から落ちこぼれ漫画家となった主人公の深澤薫役。表現者なら誰もが共感する“業”に真っ正面から挑み、敗北感にとらわれ孤立する漫画家像に、リアルな魂を宿している。
趣里は、物語の鍵を握るミステリアスな風俗嬢・ちふゆ役。いつも何かに漠然と苛立ち、蜃気楼のように実態があるようでないような不思議な女性像を生み出した。MEGUMIは、夫の深澤薫と衝突を繰り返しながらも、漫画家としての彼の才能を信じ、一途な愛を貫こうと葛藤する漫画編集者・町田のぞみ役で参加。プロデューサーも兼任しており、自身の出演シーン以外でも足繁く撮影現場に通い、作品そのものにも寄り添っていたようだ。
「零落」は、2023年3月17日にテアトル新宿ほかで全国公開。監督&キャストのコメントは、以下の通り。
私の中で「零落」は浅野作品の中でも特別な位置付けにある作品。
浅野いにおさん自身の根幹部分に最も近付けた様な気がするからだと思います。
浅野作品が何故こうまでも内臓に響くのか、その理由の様な"苦しみの原動力"が赤裸々に描かれている。
映画『零落』は、その得体の知れない人間の業、感情に、生身の人間達が挑んだ記録なのかも知れません。
竹中組の皆で『零落』に向かい、作り上げる中、深澤と言う概念は、全ての人の中に"心当たり"がある気もしました。
この感覚は竹中監督の『無能の人』を観た時に近いのかも知れません。
無条件で己の奥にあるモノを引っ張り出されると言うか。
映画館は未知の世界と出逢える夢の場所であると同時に、目を逸らし続けて来た現実と、自分自身と対峙する場所なのだと、試写を観て思いました。
これはあなたの物語なのかも知れません。
劇場で味わって頂けたら幸いです。
いにお先生の描く世界の中で、ちふゆとして生きられたこと、本当に嬉しく、光栄でした。ちふゆは今どこでなにをしているのか、撮影が終わった今でも想像してしまうほど、濃密で、素敵な時間でした。その一瞬一瞬が、悲しいけれど、美しく、自分以外の誰にもわかってもらえないことに寄り添ってくれている、そんな感覚になりました。素晴らしいキャスト、スタッフの皆様と紡いだ「零落」、参加することができてとても幸せでした。楽しみにしていただけたら嬉しいです。
若い時に描いた自分とは明らかな違い。
少しづつ堕ちていく感覚。
複雑すぎる日々。
大人の思春期に真っ直ぐ向き合った今作が、観た方の日々をそっと照らします様に。
【竹中直人監督】
とある日、本屋さんに立ち寄るとひとりの少女に出会った。
その少女はじっとこちらを見つめてる。その少女をそっと手に取った。
少女から目を逸らすと《零落》という文字が浮かび上がった。「れ・い・ら・く」その言葉が思わず口を衝いて出る。そして…原作がなんと【浅野いにお】!その文字に脳が震える!
一枚、一枚ゆっくりとページをめくってゆく…
どれくらいの時間が経ったのか最後のページを閉じた時、「…映画にしたい…!《零落》を絶対に映画にしたい!」と心が叫んでいた。
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