岨手由貴子監督による映画的アプローチ 「すべて忘れてしまうから」に生じた“良質な余白と余韻”
2022年10月2日 16:00
阿部寛主演で作家・燃え殻氏のエッセイをドラマ化する「すべて忘れてしまうから」が、Disney+(ディズニープラス)のコンテンツブランド「スター」の日本発オリジナルドラマシリーズとして配信がスタートしている。沖田修一(「さかなのこ」)、大江崇允(ドライブ・マイ・カー」脚本)とともに、監督・脚本を担当しているのが、岨手由貴子監督だ。
2015年に公開された「グッド・ストライプス」で長編商業映画デビューを果たした岨手監督。21年公開の長編監督第2作「あのこは貴族」が、国内外の映画祭に出品され高い評価を獲得。今後の日本映画界をけん引していく監督のひとりである。
ハロウィンの夜に突如姿を消した恋人をめぐる、ミステリアスでビタースイートなラブストーリー。初の配信ドラマとなった阿部(ミステリー作家“M”役)のほか、尾野真千子(“M”の失踪した彼女“F”役)、Chara(“Bar 灯台”のオーナー役)、宮藤官九郎(“Bar 灯台”で働く元バンドマンの料理人役)、大島優子(謎の美女役)、酒井美紀(F”の姉役)が出演。エンディング楽曲を毎話異なる10組のアーティストが担当するという点にも注目が集まっている。
味わい深くレトロ、しっとりとした大人のドラマに、ミステリアスなラブストーリー要素が溶け込んだ本作は、上質な雰囲気に醸し出している。それを強調しているのが、16ミリフィルムで撮影された映像だ。昨今の日本映画でもフィルム撮影は、年々減っている。そのうえで「連続ドラマ作品でフィルムを使用する」。この点について、岨手監督は「記憶というものをテーマにしたストーリーに、あの粒子の美しさがピッタリ。この物語は本当にフィルムが似合う作品です」とフィルム撮影の意義を感じていたようだ。
初のドラマ作品を手掛けることになった岨手監督は、余白と余韻をたっぷりと含ませる“映画的なアプローチ”で撮影に臨んでいた。大切にしていたのは“画面で描かれていないことを観客が読み取ろうとする作り手と観客のコミュニケーション”。これを重視することで、観客への信頼を置いていたと語っている。
特に、本作の内容については、言語化が難しい作品だったと明かしている。「例えば、『どうして大人になると友達がいなくなるのか?』という問いに対して、一般論として出るような答えじゃないところを描いている。大枠からはみ出してしまう感情とか人物像を描いているから、観客側が補完することでしか説明ができないんです」と説明。ただ、わかりやすく描くのではなく、“わからないことを考える”映画的な楽しみ方を提供しているのだ。
「すべて忘れてしまうから」は、ディズニープラス「スター」で独占配信中。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
ショウタイムセブン
【阿部寛がヤバすぎる】異常な主人公 VS イカれた爆弾テロ犯…衝撃のラスト6分、狂気の向こう側へ
提供:アスミック・エース
芸能生活50年で“初”体験!
【無料】映画の面白さが何倍にもなる特別番組…貴重な瞬間を見逃すな!(提供:BS10 スターチャンネル)
「アベンジャーズ」と関係するかもしれない“大事件”
【物語のカギは“日本”!?】このマーベル最新作は観るべきか、否か――?
提供:ディズニー
セプテンバー5
【“史上最悪”の事件を、全世界に生放送】こんな映像、観ていいのか?ショッキングな実話
提供:東和ピクチャーズ
次に観るべき“珠玉の衝撃作”
【余命わずかの親友から奇妙なお願い】「私が死ぬとき隣の部屋にいて」――魂に効く“最高傑作”更新
提供:ワーナー・ブラザース映画
激しく、心を揺さぶる超良作
【涙腺が危ない】切なすぎる物語…さらに脳がバグる映像美×極限の臨場感にド肝を抜かれる!
提供:ディズニー