【「プリンセス・ダイアナ」評論】社会的な側面と人間的な側面の接点からダイアナの特異性を解き明かすドキュメント
2022年10月2日 09:00

エリザベス女王の崩御とチャールズ国王の即位によって、話題に上る機会が増えたダイアナ元皇太子妃。このドキュメンタリーは、チャールズとの婚約が噂された時から1997年に交通事故で不慮の死を遂げるまで、16年間の彼女の足跡をたどっている。
最大の特徴は、ニュースをはじめとするアーカイブ映像のみで構成されていること。とはいえ、アーカイブのどこを切り取り、どうコラージュするかによって、作り手の意図と視点は明確になる。エド・パーキンズ監督は、英国と王室にとってダイアナはどういう存在だったかという社会的な側面と、ダイアナがどのような女性だったかという人間的な側面に着目。双方の接点から、プリンセス・ダイアナの特異性を解き明かしていく。
ダイアナが嫁いだ英王室は、閉鎖的な旧世界だった。その世界で、20歳の初心なダイアナに求められたのは世継ぎを産むことであり、しきたりに服従することだった。しかし、想定外の事が起こる。親近感あふれるダイアナに国民が共感を寄せ、チャールズをはるかに上回る人気を獲得したのだ。劇中、スーパーマーケットの店内放送でダイアナの懐妊がアナウンスされる場面が出てくるが、ここからも、ダイアナの人気がいかに庶民に根付いていたかがわかる。
言うまでもなく、人気者のダイアナはマスコミを引き寄せた。そして、彼女に群がったマスコミは、旧世界の扉をこじ開け、スキャンダルを白日の下にさらした。このとき、直接的にせよ間接的にせよ、スキャンダルの矢面に立たされたダイアナは、王室の権威を失墜させた張本人とみなされてしまう。本来なら守ってくれるはずの夫に背かれ、女王をはじめとする王室メンバーにやっかい者扱いされ、居場所をなくした孤独なダイアナ――。しかし、彼女はしぶとかった。離婚調停のあと、マスコミが大挙して押し寄せると知ったうえで、ダイアナは結婚指輪と婚約指輪をはめて現れる。「離婚は不本意。私は結婚を続けるために努力した」という意思を示すために。人間ダイアナの真の強さを、パーキンズ監督は強烈に印象づける。
その後、私人になって俄然輝き始めたダイアナについては、ナオミ・ワッツ主演の「ダイアナ」の題材にもなったが、このドキュメンタリーは、そこに至るまでの成長の記録として興味深い。「スペンサー」のエキセントリックなダイアナとも、「ザ・クラウン」の悩めるダイアナとも違う、負けなかったダイアナがここにいる。
(C)Kent Gavin
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