「映画ワンピース」とも関係する「映画プリキュア」の意外な制作力とは?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2022年9月24日 06:00

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
9月23日(金)から「映画デリシャスパーティ・プリキュア 夢みる・お子さまランチ!」が公開されました。(※タイトルの「・」は白抜きハートマークが正式表記)
2005年の「映画ふたりはプリキュア マックスハート」から始まった「映画プリキュア」シリーズは、本作で31作目となります。
そもそも「プリキュア」シリーズは、2004年からテレビアニメ化され、「デリシャスパーティ・プリキュア」は17代目のプリキュアとなっています。
では、なぜ映画は17本ではなく31本にもなっているのか、というと、これは主に「映画プリキュアオールスターズ」といった形で「アベンジャーズ」のように、それまでのプリキュアが集結して戦う仕組みを作ったためです。

例えば、2009年に公開された「プリキュアオールスターズ」第1弾の「映画プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合!」はシリーズ初の興行収入10億円を突破しています。
ちなみに、「ONE PIECE STAMPEDE」(ワンピース スタンピード)の大塚隆史監督は、この「映画プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合!」が長編映画監督デビュー作品となっていて、それ以降も「映画プリキュア」シリーズを手掛けています。
また、目下メガヒットを記録し続けている「ONE PIECE FILM RED」(ワンピース フィルム レッド)でも取り入れられた「応援上映」といった「参加型上映」が、今や日本の映画館でも定着してきています。

実は、邦画において「映画館での参加型の手法」が初めて導入されたのは、2007年公開の「映画Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!」からで、入場者特典として「ミラクルライト」が配られたのです。
観客が、この「ミラクルライト」を映画館のスクリーンに向かって照らすことにより、窮地におちいったプリキュアがスーパープリキュアに変身するといったような演出で、今も「光るグッズ」は入場者特典として導入され続けています。
ちなみに「映画プリキュア」シリーズは、「アクションシーンの作画のクオリティーが非常に高い」という特徴がありますが、特にこの「映画Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!」の作画は光っていました。
それもそのはず。監督を務めていたのは、のちに「ONE PIECE FILM Z」や「ドラゴンボール超 ブロリー」といった名作を生み出した長峯達也だったのです。
「映画ワンピース」シリーズで第1作目から4作品を手掛けた志水淳児監督が「映画プリキュア」シリーズでも第1作目から7作品を担当していたりと、「映画ワンピース」と「映画プリキュア」は同じ「東映アニメーション作品」ということもあり、かなりベースとなる関係性が強いわけです。
しかも、「映画プリキュア」シリーズは毎年1本は公開されているので、制作の技術が磨かれている面も大きいのです。


さて、「デリシャスパーティ・プリキュア」は「ごはん」をモチーフにしたシリーズなので、本作「映画デリシャスパーティ・プリキュア 夢みる・お子さまランチ!」の舞台は「お子さまランチのテーマパーク」になっています。
プリキュアの協力者として、LGBTQを意識したようなキャラクターが自然に登場していたり、プリキュアと一緒に戦う男の子「ブラックペッパー」が登場したりもしています。
実は、「プリキュア」シリーズは意外と「攻めた作り」にもなっていて、2018年2月4日から2019年1月27日まで放送された13代目「HUGっと!プリキュア」では、最終回に中学生の主人公の10年後が描かれ、母親となり、出産シーンで幕を閉じるという意外な展開で話題になりました。

この13代目の2018年公開「映画 HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」の段階では、総勢55人のプリキュアが登場。ギネス記録に「アニメーション映画に登場する最も多いマジカル戦士の数」で認定されていたりと、「プリキュア」シリーズは、まだまだ拡大と挑戦を続けています。
本作「映画デリシャスパーティ・プリキュア 夢みる・お子さまランチ!」は、2部構成となっていて、後半の同時上映作では、14代目「スター☆トゥインクルプリキュア」、15代目「ヒーリングっど・プリキュア」((※「・」はハートマークが正式表記)、16代目「トロピカル~ジュ!プリキュア」も登場します。

この後半の作品は、CGを駆使したものになっています。実は「映画プリキュア」シリーズは、かなり早い段階からエンドロールのライブシーンなどでCGを駆使しモーションキャプチャーを使った映像化に挑戦し続けていました。
これらの試行錯誤が、今メガヒットをしている「ONE PIECE FILM RED」で重要な「ウタ」のライブシーンにも貢献していると考えると感慨深いものがあります。
このところ、新型コロナの影響を大きく受ける形で興行収入が停滞している「映画プリキュア」シリーズですが、前売券が前作よりも売れるなど徐々に回復の傾向を見せてきているようです。
果たして、「映画デリシャスパーティ・プリキュア 夢みる・お子さまランチ!」はどこまで回復できるのか注目したいと思います。
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